あんな程度の薬で、大掛かりな開発だの祝賀会だのと大騒ぎして。恥知らずにもほどがある。当初、桃子が彼を漢方医院から引き抜いた時は、このプロジェクトは絶対に成功する、研究開発業界を震撼させると太鼓判を押していたのに。それが今は……まあ、ある意味で業界を震撼させることになるかもしれないが。――衝撃!我が社は巨額の資金を投じ、他社がとっくに発売している癌治療薬をようやく開発しました、とな。桃子は一瞬呆気に取られた。「上がってきたデータ、本当に確認したの?」梨花があれほど吹聴していた、「副作用ゼロの癌特効薬」じゃなかったの?薬効が……市販の薬と大差ないなんて、どういうこと?颯真は机を叩きつけんばかりの勢いで言った。「当然確認しましたよ!それも、何度も!」「まさか……」「社長、一杯食わされたんじゃないですか?」その言葉を聞いて、桃子の顔色が変わった。ハッとして、すぐに状況を飲み込んだ。やってくれたわね。あの梨花のやつ、三浦家だけじゃなく、黒川グループも、そして竜也さえも騙していたなんて!黒川家に巨額の資金を投じさせておいて、結局あの女は、何一つ開発できなかったというわけだ。桃子が逆に笑みを浮かべたのを見て、颯真はいぶかしげに尋ねた。「何がおかしいのです?黒川家にどう説明するか、考えはあるんですか?俺を巻き込まないでくださいよ……」颯真は知っていたのだ。彼女のバックにいる投資家が、黒川家のあの大御所、篤子であると。桃子は余裕の笑みを浮かべた。「安心して、篤子さんはね、むしろ喜んでくれるはずよ」何しろ、あのババアの最終目的は、梨花を一生飼い殺しにして、言いなりにさせることなんだから。今や梨花は、三浦家と竜也の両方を完全に敵に回そうとしている。竜也とあんな人目を忍ぶ関係だろうと関係ない。商人は利を追うのが本能だ。化けの皮が剥がれれば、後ろ盾になるどころか、彼女を殺したいとさえ思うでしょう。そうなれば、篤子が手を下すまでもなく、三浦家と竜也が梨花を生き地獄に突き落としてくれる。颯真が離れた後、桃子はその光景を想像し、笑いがこみ上げて止まらなくなった。ひとしきり笑った後、彼女は電話をかけた。「もしもし、私よ。梨花の方の治験データは出た?」「まだです」「出たら、真っ先に知らせ
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