それを聞いて、梨花は思わずハッとした。あの連中が投獄されたのは二十年前。善治がM国に行ったのも二十年前。善治は養子に出されており、DK製薬を継いだのもここ数年のことだという。彼女は思考を巡らせ、核心に迫ろうとした。「つまり、DK製薬の本当の黒幕は、別にいる可能性があるってことですか?」「鋭いですね」彰人は、彼女がわずかな断片情報から問題の核心を突いたことに感心した。「ところで、母がここ数日、紅葉坂へ戻ることになって、往診の件は少し先延ばしにしてもらえますか」梨花は頷き、少し考えてから尋ねた。「奥様はどれくらい紅葉坂に滞在されるんですか?治療の効果が出始めたところなので、あまり間隔を空けたくないんですが」彰人の声は、玉のように滑らかで穏やかだ。「一週間くらいです。祖父の誕生日祝いが済めば戻ってきます」「わかりました」梨花は承諾した。それくらいの期間なら、大きな影響はないだろう。実のところ、梨花自身も紅葉坂へ帰るつもりでいた。あと二日で両親の命日なのだ。夜、帰宅してそのことを話すと、綾香は額を叩いて悔しがった。「しまった、うっかりしてた。数日待ってくれたら、仕事片付けて一緒に行けるんだけど」事務所から大きな案件を振られたばかりで、彼女は当分手が離せない状態だ。梨花は微笑んだ。「一人で大丈夫よ」お腹の子供も、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんに合わせてあげたい。命日の当日、梨花は早朝に潮見市を出発し、車で紅葉坂へ向かった。お寺に到着すると、両親のお墓の前にはすでに雛菊と向日葵の花束が供えられていた。最初はそれほど悲しいとは思っていなかったのだが、墓石に刻まれた名前を目にした瞬間、涙が止めどなく溢れ出してきた。「母さん、父さん……」彼女はゆっくりとしゃがみ込み、墓石のありもしない埃を手で払いながら、笑顔を作ろうとした。だが、涙は激しくなるばかりだ。「私、今すごく幸せだよ。でも、母さんと父さんはあそこでどうしてるのかな。私の作った新薬が発売されたの。安心して、私も父さんたちみたいに、たくさんの人を救えるように頑張るから」彼女は鼻をすすり、お腹に手を当てると、ようやく笑顔を見せた。「そうだ、母さん。私、赤ちゃんができたの。私も母になるんだよ。母さん、父
Read more