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All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 71 - Chapter 80

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71.恋に気づいた日④

その日のお昼休み。会社の外へ桜子とランチへ。そのあと会社に戻ってきてエレベーターを待つ。「はぁ~お腹いっぱい」「いや~今日のランチ当たりだったね~」「明日はどこ行こっか」「いや、依那。もう明日のランチの話?(笑)」「だってこの会社の周りホント美味しいお店多いからさ。あたし的にはそれ全部制覇したいんだよね~」「まぁ依那はルイルイか食べ物の話かどっちかしてる時が一番イキイキしてるからね~」あっ、その言葉。社長もこの前言ってたな。桜子のいうイキイキは、自分でもそうだと思う納得の理由なんだけど。社長が言ってたイキイキとは、果たしてあたしは社長にどんな感じに映って、どんなあたしがイキイキだと言ったんだろう。あたしはどういう風にしてたら、社長が安心してくれるのかな。あ~最近、ホント社長のこと想い出しすぎて困る。ルイルイのことでこんな風になってる時は、ほとんど幸せなことだったりしてたけど。社長のことはまだまだわからないことが多くて、ルイルイの時とは全然違う。でもまだこれが社長っていうだけでもよかったかも。あたしこんなの同僚とか同じ課の先輩とかだったら、いろいろ気になって仕事手につかなかったかも。それを思えば会社に来てれば社長の会社ではあるけど、直接顔見ていろいろ考えたりはしなくて済むもんね。そのタイミングでエレベーターが到着して、乗り込もうとその中を見ると。うわっっ社長!!いや、社長のこと考えてたタイミングで目の前に社長いるのはさすがにビビる!あっ、でも社長お仕事モードで、隣の秘書さんと話し中だ。さすがに話に集中して、あたしには気付いてないか。っていうか、こんな所で、もちろんあたしごときが声かけられるはずもないけどさ。案の定、社長と今度は目も合わず、そのまますれ違う。そうだとわかってはいても、家とのギャップが大きすぎて、やっぱり少し寂しく感じてしまう。会社でのあたしと社長は、本来なら気軽に関わるような状況なんて絶対ないはずの関係性。仕事に戻ると、それを嫌というほど突きつけられる。「うちの秘書さんってさ、美人のレベル、ヤバくない?」エレベーターを降りて部署に戻る途中で、桜子がそんなことを言い出す。「え?」「さっきの社長の隣にいた秘書さん。九条さんだっけ? あの人相変わらず顔もスタイルも抜群だよね~。うちの秘書ってそ
last updateLast Updated : 2025-09-25
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72.恋に気づいた日⑤

そんなモヤモヤを結局夜まで引きずっている自分……。デッキ繋いでルイルイのライブ鑑賞会をするはずが、前回に続きまたもや集中できず。せっかく社長がいない間に、このデカいテレビでライブ会場ばりに一人盛り上がって楽しもうと思ってたのに。なんか社長が気になってそういう気分になれないんだよな~。なんか最近推し活にもちょいちょい社長ごとが影響してきてるような気がする……。だけど、とりあえず社長に言われた通り、お風呂には先に入って、いつでも部屋に戻れる準備までにはした。待ってなくてもいいとは言われたけど、やっぱり気になって社長が帰ってくるまでは部屋戻れないな……。てか、もうすぐ0時回るよね。社長今もまだあの秘書さんと一緒にいるのかな。ってかもう狙われて喰われちゃってたり!?でも本物の彼女でもないから何も口出し出来ないしな。実際何かあって帰ってきても、あたしはそれ確かめる方法もないし、そもそも社長も話してくれないだろうし。いや、っていうかそこまでになってるなら記憶飛んでるよな……。うわ~一生わからない事実とかありそうなんてすけど~!えっ、どっかで実は社長の子妊娠してました、みたいになってる人とか出てきたりしない!?実は隠し子何人も潜んでるとか……。うわ~なんか無駄に妄想が大きくなってしまう~!その時、玄関の方で何か音がする。ん? ドアが閉まった音?社長帰ってきた!?社長が気になって、ソファーから立ち上がり玄関の方へ向かう。「おかえりな……!」“おかえりなさい”と声をかけようとしたら、うなだれた社長を支えながら帰ってきた本村さんの姿が。えっ! 本村さん!?それってヤバくない!?誰にも内緒なのに、あたしここにいるとか絶対マズいよね!?しかも本村さんとも話したことあるし、ある意味社長よりガッツリ最初は話してたし、もし憶えてたらどう言い訳したら……。と、頭の中でグルグルいろんなこと考えて声をかけられずにいると。「フッ。何一人百面相してんの?」「え!?」「大丈夫。ちゃんと慧から君のことは聞いてるから」「え! そうなんですか!?」よかったー!マジで寿命ちょっと縮んだ。「それよりこの面倒なの一緒に運んでくれない?」「あっ、はい!」本村さんに言われ、そこまで駈け寄り、うなだれてる社長の空いてる身体を一緒に支える。「ソファーま
last updateLast Updated : 2025-09-25
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73.恋に気づいた日⑥

「ビックリしたでしょ。こいつのこんな姿」「あっ。はい。まだここまでの姿は見たことなかったんで」「あっ、君も座ったら?」「あっ、はい。失礼します」そして自分も空いてるソファーへと座る。「社長。いつもこんな感じなんですか?」「まぁかなり飲み過ぎた時はね。でも、ここまでなる時は大抵オレがいるとわかってる時にしかならないけどね。一人だと絶対警戒してるから自分で抑えるんだけどさ。オレがいるとこうやっていつも最後に回収するってわかってるから、安心して飲んじゃうこと多いんだよね」「なるほど……」「あっ、じゃあ今日は本村さんも一緒だったんですね」「うん。そうだよ」「よかった……」あの九条さんって秘書の人と二人だけかと思ってたから、つい安心して心の声が漏れる。「ん?」「あっ、いえ! なんでもないです!」「何? もしかして九条と二人だけかと思った?」「え!!??」何この人エスパーなの!?「大丈夫。よっぽどのことがない限りは絶対オレがついてるから。秘書と二人だけとかこいつ何されるかわかったもんじゃないでしょ(笑)」「え!? そんな皆が認識してる感じなんですか!?」「そう。特に九条なんていつも鼻息荒くしてるからね。オレがこうやって守ってやらないと危ないのなんのって(笑)」「フフッ。本村さん社長のボディーガードみたいですね(笑)」「ホントまさにそんな感じだよ(笑)」そっか。ちゃんと側にいる本村さんもそういうことわかってるんだ。なら、あたしのいない時でも安心だな……。「まぁ、オレがいない時は、君がボディーガードになってくれてるみたいだけど?(笑)」「あっ、いえいえ! そんな! 大それたものでは!」「大それたって(笑)  でもまぁプライベートでは君が近くにいてくれて、オレ的には安心してるんだよ」「えっ!? あたしといてですか!?」「そう。慧ってさ、自分一人で抱えるとこあるからさ。正直オレがいない時とかオレが知らないところでも自分一人でなんとかして頑張っちゃおうとするところあるから」「あぁ。確かに。それ、わかります」「でもさ。こいつのこれって体質じゃん。なのに仕事では酒飲まない訳にはいかないし。正直それ自分で守るっていっても限界があるからさ」「ですよね」「それを自分で守れる程度ならいいんだけどさ。まぁこいつ見てわかるようにこのイケメ
last updateLast Updated : 2025-09-26
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74.恋に気づいた日⑦

「あっ、じゃあさ……」本村さんが社長の方を見ながら少し笑って呟く。「ちょいちょい」「ん?」本村さんにこっそり手招きされて本村さんの方に近づく。そして。「(君がまだ知らない慧のこと、もっと知りたくない?)」と、なぜかコソッと耳打ちしてくる本村さん。「知りたいです……!」と、本村さんの方に振り向くと、思ったより近くに顔があって。「あっ、すいません!」それに気付いて、すぐに身体を離す。「じゃあ、これからオレに任せといて」そう言って本村さんはニッコリ微笑む。それはなんか少し企んでいるような表情に見えるような見えないような……。「よ……よろしくお願いします」そして、あたしはよくわからないままそう挨拶する。「んんっ……」「あっ、慧。目覚ましたかも。ごめん。起きたらあいつに水飲ませてやってくれる? 水飲んだらちょっとスッキリすると思うから」「了解しました!」さすが。こういう時の社長の対処法もしっかりわかってるんだな。うん。本村さんがいたら頼もしい。なんかあったら本村さんに相談したいな。「あっ、そうだ。連絡先交換しとく?」「え!?」「あいつに何かあった時、連絡してくれたらすぐ対処出来ると思うし」「あっ、そうですね! 有難いです! あたしも今、本村さんにそういう時連絡出来たら有難いなって思ってたので」「じゃあ、これ。オレの連絡先」「はい! 登録させてもらいます!」本村さんから差し出された連絡先を携帯にすぐに登録する。「あいつのことで聞きたいこととかあったらいつでも連絡してきて」「はい! 助かります! ありがとうございます!」「まぁ君も、あいつのプライベートの彼女役も生活のフォローも、面倒だとは思うけど、なんとかよろしくね」「いえ! あたしの方こそ、こんな有難い役目光栄です! 社長にはホントにいつも優しくしてもらってるんで」「えっ!? あいつに優しくしてもらってる……?」「はい」え、何か変なこと言った?「いや、君最初に出会った時、それ真逆のこと言ってたから(笑)」「……あーっっ!! そうでした!! いや、あれはホント撤回したいというか!」「そっか。君にはちゃんと優しくしてるんだ、あいつ」「はい。社長ビックリするほどお人よしというか、すごく気にかけてくれるというか」「フッ。それは多分君だからなんじゃない?
last updateLast Updated : 2025-09-29
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75.恋にきづいた日⑧

社長大丈夫かな……?このまま起きるまでそっとしておいた方がいいのかな?「んっ……」すると、社長が目を覚ましたのか、少し身体を動かす。あっ、起きたかも。とりあえずお水持ってこよ。冷蔵庫から冷えたお水を持ってきて、すぐ飲めるように準備する。それから、社長が気になって顔を覗き込むと。「ん~……」身体を起こしたものの、目はそのまま閉じたままで、少し唸るような声を出してそのまま停止している社長。え、可愛い。子供みたい(笑)ってか、まつ毛長いし、顔もホント整って綺麗だし、目開けてても閉じてもやっぱ美しいモノってまったく変わらないよな。羨ましい。「社長? 大丈夫ですか?」とりあえず社長に声をかけてみる。「ん~……」「お水飲みます?」「ん~」同じように唸りながらも、あたしの声が聞こえてるのか、小さく返事するように頷く。「ちょっと待ってくださいね」ペットボトルの蓋を開けて飲ませようとするも、顔がうなだれていて、どうにも飲ませにくい……。とりあえずペットボトルを口に持っていって、ちょっと傾けてみる。すると、ちょっとだけ飲んでいるように見えるも、口から飲ませた水が零れてしまう。あぁっっ! 零れてるーっっ!!そう思いながら社長を見ると。うっ……! 水が口から零れて、なんかすげー色気がダダ漏れてるんですけど!!いや、これか……。確かに社長こういう時、無意識なせいか、逆にめちゃ色気が溢れてんじゃん。何この気だるさの中から漏れるエロい雰囲気。うん……これは……狙われちゃうな……。肉食女子だと、これ絶対どうにかしちゃいたいやつ……。あたしもそこまでの人間じゃないと思ってたのに、この目の前の色気に持ってかれそうになる。いや、寝てるのにこれって、この人ホント……。ってか、お水どうしようかな。って思ってたら……。おーっと危ない!そのままフラついて倒れそうになっている社長を思わず抱えながら支える。あぁ、これ赤ちゃん的な感じでお水飲ませる?いや、デカい赤ちゃんだな。とりあえず一回起きてもらうかな。ずっとこのままにもしておけないし。そして支えながら手を伸ばして水を取る。「社長~。お水飲めますかー!?」とりあえず社長に聞こえるように声をかける。「失礼しますよ~」そう言いながら、とりあえず社長の口元に水を持って行って飲ま
last updateLast Updated : 2025-10-01
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76.恋に気づいた日⑨

「あっ、社長起きました?」この体制が気になりつつも、とりあえず社長に声をかける。「何……楽しそうにしてんだよ……」「ん?? ……あぁ! 本村さんのことですか!? 社長こんななってたから送ってきてくださったんですよ~。ホント本村さん優しいですよね~」「お前には……オレが……いるだろ……」「え……?」見下ろして寝そべっている社長の、トロンとした表情と気だるい雰囲気と纏う色気。そんな社長にまっすぐこんな至近距離で見つめられて、そんな言葉を呟かれて、あたしの心臓はまた急に早くなり始める。いや……絶対、これ……ヤバい……。「何……コソコソ……話してんだよ……」「いや……え……?」なんか社長の様子がおかしい。だけど、その色気と囁きに思考停止して、あたしはそのまま手を掴まれたまま動けなくて。「他の男に……そんな嬉しそうな顔してんじゃねぇよ……」「しゃ……ちょ……!!」"社長"と言おうとした瞬間、そのまま手を強く引っ張られて社長の身体にそのまま倒れこむと、そのまま片方の手で頭も引き寄せられ、社長と唇が重なる。「んっ……!!??」え……今、何が起こってる……!?!?!?頭がパニックになって何も考えられなくなる。だけど、重なる唇は頭を押さえつけられて、あたしが覆いかぶさってることによって、しっかりと重なり、パニックになりながらその感触をしっかり感じてしまう。え!? あたし社長の寝込み襲っちゃってる!?!?いや、違う違う! これ社長に引き寄せられて、たまたま重なっただけで……!!でも、後ろから頭を引き寄せられてることで、意図的に社長の意思も感じてしまう。え!? これ事故!? それとも社長が!?え!!??だけど、初めて感じるその感触に、そのまま意識が持ってかれそうになる。
last updateLast Updated : 2025-10-06
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77.恋に気づいた日⑩

すると、しばらくして、力が緩み、身体もその手も離れ、社長がまた寝落ちする。……え????いやいやいや。え、ちょっと待って。ホント、マジで今何起きた……?え、あたしが夢見てた?ってか、何こんなことして、自分は気持ちよさそうに寝てんのよ……!いやいや、心臓バクバクで壊れそうになってんのあたしだけじゃん!!マジなんなの! どういうこと!?もしかして、これが社長の酒癖……?はぁ!? めちゃめちゃタチ悪いじゃん!!っていうか、今のって意識あったの!?でもあの社長の言葉、あたしと本村さんが話してるの聞いて……だよね?なんか当たり前のことを見たまま言ってただけだったような……。てか、社長なんて言ってた……?なんかいろいろと心臓すごくなるようなこと言ってた気するけど……。あー! 衝撃が強すぎて思い出せん!!っていうか、マジこれどう判断すればいいの……。これ社長起きた時絶対記憶なくしてるやつだよね……。そうなるからあたしとの契約が成り立ってる訳だし……。え……、もしかして、社長毎回こんなことなってるってこと……?こんな無意識で酔っぱらったら簡単にキ……ス……とか……しちゃう訳!?いや、そんなキ……だなんて、今のあたしとの出来事は、そんな分類にも入らないんだろうけど。事故……だよね……?でもこんな状態じゃ、普段から酔っぱらった時、ホントに社長どんなこと口走って、何してるかわかんないってことだよな……。っていうか、社長から引き……寄せたよね……?てことは、そういう時、やっぱりちゃんと社長の意思も存在してるってこと……?あー!もう!!これ、あたし一人だけでこの秘密抱えていかなきゃじゃん。こんなの社長にも言えないよ……。だけど、この瞬間。ずっとわからなかった感情がハッキリと明確になる。あたしの社長への”好き”という感情は、男性として、恋愛感情として、”好き”なのだということだ……。例え事故でも、社長と唇が重なった瞬間、半端じゃなくドキドキして半端じゃなくキュンキュンした。素直に嬉しいと、思ってしまった。あぁ……やっぱそういうことだよな……。なんとなくそうなんじゃないかとは思っていたけど、まさかこんな形で自覚することになるとは……。それなら、せめて、もっと、ちょっとだけでもロマンチックな、酔ってない時に、”実はオレお前が
last updateLast Updated : 2025-10-06
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78.意外な協力者①

翌朝。非常に目覚めの悪い朝……。結局あれからほぼ眠れなくて、とりあえず起きる2時間前くらいに寝れたような気は……する。だけど、寝たら寝たで、眠りが浅いのもあって、タイミング合わせたかのように社長の夢見ちゃうし……。はぁ~。いや、どんだけあたし振り回されてんだ……。でも、社長はそんなの知ったこっちゃないし、あたしは気持ち切り替えてなんとか乗り切らなきゃ!よしっ、気合入れるぞ!そして、とりあえず気持ちを切り替えて、身支度をし、朝食の準備をする。「はよ」あー社長来たー!「おはっ……おはよう……ございます!」やばっ、完全に声裏返った。いかん、まったく動揺隠せてない……。「朝食出来てますんで先食べ始めてください!」「ん? お前もテーブルつくまで待ってるけど?」「いえ! お構いなく!」いや、何がお構いなくだ。これはいつもの社長のパターンじゃないか。「すぐあたしも行きますんで!」無駄に気合の入った話し方になってしまう。「あっ、じゃあ……いただきます」社長はそんないつもと様子が違うあたしに気付いてるような気がするけども、とりあえず言われたまま先に朝食を食べ始める。いや、だってこんな状況で目の前で食べるのはまだハードルが……。といっても、このままあたしはキッチンで食べる訳にいかないしな。それだとあまりの不自然だし、それで問いただされても答えに困っちゃうし、これは社長に気付かれないように普通に接するしかないよな。「いた……だきます……」そしてあたしも観念してテーブルについて朝食を食べ始める。「うん。今日のもウマい。このオムレツ、中に何入ってんの?」「あぁ……えっと。ベーコンと玉ねぎとピーマンとパプリカとマッシュルームです。あっ、あとミニトマトも入ってます」「へ~具だくさんだな」「はい」と、オムレツを食べてる社長に目をやる。うん、今日も至って何も変わらないいつもと同じ社長。だけど、いつも通り美味しそうに食べてくれてる。毎朝、ちゃんとメニューも何入ってるとか聞いてくれるし、ちゃんとあたしの労力に目向けてくれてるんだよな。だから、何出しても適当に何も言わずに食べてしまうんじゃなく、ちゃんと一つ一つ確認してくれて視覚と味覚どちらでも味わってくれる。こういう気持ちで返してくれるから、毎日朝食何しようかって考える楽しみもある
last updateLast Updated : 2025-10-12
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79.意外な協力者②

「ん? どした?」「い、いえ!!」きっとあたしの言動がいつもと違うこと、少なからず社長気付いてるんではなかろうか……。いや、でも普通にすることはやっぱ無理なんですよ……。っていうか、昨日のこと社長が知らなければ、あたしが挙動不審の理由もわからないはず。フフ。さぞかし、あたしの気味悪い挙動不審っぷりに疑問がるといい!あたしだけこんな悶々としてんのやっぱ不公平だ!それから社長に出来るだけ目をやらないようにして食べ進める。「あっ、今日。早いから」「え?」「仕事。普通に早めに終わりそうだから、夜ごはんも頼むな」「えっ!? うちで食べるんですか!?」「えっ、なんで? なんか都合悪い?」「あっ、いえ……」なぜこのタイミングで、わざわざ早く帰ってきてしまうのか……。出来れば今日もなんかのパーティーに行って日付変わってあたしが寝た頃に帰ってきてほしかった……。あっ、ていうか、都合悪いって言えばよかったー!桜子とご飯食べてきたら、少しの時間は逃げれたのに。なぜにあたしはそこで素直に返事をしてしまったんだ……。あぁ……どうしよう……。絶対気まずい……。っていうか、今すでに気まずい……。あぁ……とりあえずもう今がちょっと無理だ……!それから急いであたしは朝食を食べ終わって。「ごちそうさまでした!」「えっ、はやっ」先に食べ始めた社長よりも先に食べ終えて、ごちそうさまする。「あのっ……、あたし今日もう出るんで、食器、シンクに置いておいてください!」「あっ、うん……。っていうか、今日そんな急ぎの仕事やってたっけ?」え……社長に仕事の進捗把握されてる……?「いや……えっと、ちょっと早めに行ってやりたいことあって……!」「やりたいことって?」「やりたいことは、やりたいことです! では!」「いや、おい」完全に言い逃げ状態だ。でも、それ以上問い詰められても困る。だって、実際早く行って別にやることなんて何もないから!今社長と一緒にいるのが耐えられなくて早く家を出たかった! それだけです!あれ以上一緒にいたら意識しすぎて、あたしが悶々としすぎておかしくなってしまいそうだ。 で、とりあえず先に出たのはいいものの……。さて、問題は夜だな……。さぁ夜をどうやって乗り越えるか……。でも今更なぁ、都合悪かったとかも言いづらいし。
last updateLast Updated : 2025-10-12
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80.意外な協力者③

すると、前に本村さんの姿を見つける。本村さん……。本村さん……!!ここはもうこの人に頼るしかない!!タイミング良く朝早くの会社に来たせいか、まだ周りには誰も社員も出社してなくて、本村さん以外誰もいない。これはチャンス!そう思ったらすぐに本村さんの元にダッシュで駈け寄っていく。「本村さん……!」「えっ!? 何!? あぁ、逢沢さん!?」「本村さん! おはようございます!」「え、どしたの。そんな必死に走ってきて」あまりにもあたしの必死な形相に若干引いてるっぽい本村さん。「本村さ~ん!」「何、どしたどした」「助けてください~!!」そう言いながら本村さんに泣きつく。「は!? 何!? どういうこと!?」当然意味がわからずそういう反応を示す本村さん。「もうあたしどうしたらいいか~!」そしてそのまま泣きつきながら助けを求める。「あーわかったわかった! まだ仕事始まるまで時間あるから、ちょっと会議室開けるから、そこで話聞くわ」「はい……」あー情けない。結局あたしはこうやって本村さんに泣きつくしか方法が見つからなかった……。「はい。これ飲んで。飲み物どっちがいい?」「この甘い方で……」会議室を用意してくれて空いてる席に座らせられると、自販機で買ってきてくれたカフェオレを本村さんが差し出してくれる。「とりあえずそれ飲んでちょっと落ち着いて」「ありがとうございます……」そして受け取ったカフェオレを口につける。「甘いです~」「うん……そりゃ甘いカフェオレだからね……」「染みます~」「で、君は昨日の今日でなんでそんなおかしなことになってんの?」「いや、それがですね……なんというか……」「昨日君に任せて帰ったよね?」「はい……」「あのあと、何かあった?」「え!!??」「いや、わかりやすいな。っていうか、君がオレにそんな泣きついてくるなんてそのことしかないでしょ」「はい……。あっ、でもこれ勝手に話していいのかどうか……。いや、でもそもそも事故なら社長的には記憶ないから勝手にも何もないし……。結局はあたしが一人抱えてることなら別にここで話してしまっても……」「いや、なに一人ブツブツ言ってんの? 用がないならオレもう行くけど」「あー! ごめんなさいー! ちゃんと話しますから行かないでくださいー!」「だから、何? 
last updateLast Updated : 2025-10-13
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