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113.伝えたい気持ち・知りたい気持ち⑯

Auteur: Aica
last update Dernière mise à jour: 2025-11-03 22:18:37

「それ……やめませんか?」

「え?」

「あたしが最後には離れていく前提で考えるの」

「でも……。わかんないだろ」

社長が契約にこだわろうとしていたこと、恋愛に前向きじゃないこと。

きっとここは、何か意味あることで繋がっているような気がして。

社長はまだきっと全部の心を開いてくれていない。

何かをまだ隠しているような……。

何かまだ一歩踏み出せていないような、そんな感覚。

多分、社長の中に何かがあって、多分それが社長を邪魔している。

何か少し引っかかる。

だけど……。きっと社長はあたしに対しても少しずつ心を開いてくれていて、そして新たな関係を進めようとしてくれている。

恋愛に関して、社長は何かしら構えてて、慎重で、誰に対しても、表立って口にする言葉と、どこか心に秘めて言わない言葉があって。

それがお酒を飲んだタイミングで、少し見え隠れする。

普段は、決して女性と必要以上に近づこうとせずに警戒するほど慎重なのに、お酒を飲むと、なぜか結婚の話が出たり、相手がその気になる関係にまでなってしまう。

最初その話を聞いた時は、ただ単に酒癖が悪い、女性にもだらしない人なのかと思ったけど。

だけど、普段の社長は、女性からの露骨なアプローチも受け入れないような人。

そんな人が、お酒を飲んでしまった時見せる姿や口にする言葉は、ホントは一体どんな意味が隠されているのか。

ホントは、そこに何か意味があるのか。

そして、好意を持っていると自分で意識しても、そこからは慎重に契約という形を取ろうとする。

だけど。なんとか、あたしのプッシュの強さで、付き合うカタチまでにはこじつけたことで、ここから始めようとしてくれている。

そして、なぜか社長のその言葉に、仕事ではこんなに成功している人なのに、何か自信のないようなそんな感情をどこか感じて。

それはあたしに対して……という訳ではなく、社長自身が何かそう感じているような……。

だから。

なぜだか、そんな社長をあたしが守ってあげたい、と思ってしまった。

あたしごときが、なんでそんな感情になったのかもわかんないけど。

ましてや、恋愛経験もないあたしが、社長に何も出来るはずもないんだけど。

だけど。今こうやって少しずつ、あたしに対して心を開いてくれている社長に、あたしが出来ることをなんでもしたいと思った。

それは身の回りの世話とかそういうのだけじゃなく、社長
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