「お母さんが離れたのは、慧さんを愛しているからこそで、決して慧さんが嫌になって離れたんじゃないです。離れていてもずっと愛してる……。これが、あの時、本当に慧さんに伝えたかった言葉です」あたしは慧さんの手を握り締めながら、慧さんに届くようにと願う。「慧さんと離れてから何度も後悔して何日も泣き続けてたって、あたしに話してくれてた時も涙されてました。慧さんのことを忘れた日はないって、そう伝えてくれたお母さんからは、すごくすごく……慧さんへの大きな愛情を感じました」あたしのこんな言葉だけでは、全然その想いを伝えられないのがもどかしい。きっと本人のその言葉で伝えるのが一番で、どれほど大切に想ってるかは、きっと会って話せばすぐにわかるはずだから。それでもその何分の一でも慧さんに伝わってほしい。慧さんはずっと愛されていたということだけでも、ちゃんと知ってほしい。だけど、その言葉を聞いても、慧さんは何も反応をしない。何かを考えるかのように、あたしから視線を逸らし、そのまま下の方に視線を落とす。そして、あたしもそれ以上言葉にせず、黙って慧さんの手を握ったまま慧さんを静かに見つめる。「依那……」すると、しばらくして、慧さんがあたしの名前を静かに呼ぶ。「はい……」あたしが返事をすると、あたしが重ねていた手を動かし、今度は逆に慧さんがそっとあたしの手を握り直し、優しく触れながら静かに微笑む。正直そんな反応が返ってくるなんて思わなくて少し驚く。あたしに返してくれたその表情は、とても穏やかだった。「オレは、依那に会えなかったらどうなってたんだろうな……」「え……?」「もしかしたらそんな現実があったかもしれないと思ったら、怖くてたまらないよ……」「慧さん……?」呟くように静かに伝える慧さんに、あたしも思わず声をかける。「ありがと。依那」そう言って、穏やかに優しい表情で微笑む慧さん。「依那はどれだけオレ
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