智美がショッピングモール内を歩いていると、ふいに千代子と佳乃の姿が視界に入った。智美は愛想のいい笑みを浮かべて近づき、声をかける。「あら、奇遇ですね。お二人もお買い物ですか?」千代子と佳乃は、智美が提げている大量の買い物袋に目をやり、揃って蔑むような目を向けた。千代子が作り笑いを浮かべる。「ええ、ちょっとね。そういえば、羽弥市でお仕事を始めるって聞いてたけど?お義母様も、家に縛り付けたりしないっておっしゃってたわよね。どうしたの、働くのやめちゃったの?」智美は小さくため息をついた。「羽弥市は大桐市と違って、何の縁もゆかりもない土地ですから。起業するにしても簡単じゃありません。悠人が仕事を片付けてから、一緒に市場調査をしようと思っているんです。そのほうが仕事も始めやすいですし。悠人も焦らなくていい、ゆっくりでいいって……それに最近は、妊活も考えていて。仕事で忙しくしすぎると、体調に響くといけませんし」千代子は大げさに相槌を打った。「悠人さんの言う通りね。結婚したのに夫婦揃って忙しくしていたら、家庭はどうなるのよ。子供のことだって大事だし、先延ばしにできないものね」三人は当たり障りのない会話を交わし、千代子と佳乃は智美の前を立ち去った。車に乗り込むなり、千代子の顔から笑みが消え失せ、嘲るような口調に変わる。「明日香さんと菊江さん、あの子のこと散々褒めちぎってたわよね。自立心があるだの、外で働いてお金を稼ぐことも許すだなんて……ふん、蓋を開けてみれば、ただの金遣いの荒い女じゃない。結婚したばかりなのにもう化けの皮が剥がれたわね。さっき見たでしょう?数千万もする限定バッグを買ってたわよ。よくあれだけ使えるわね!外で働いて一ヶ月でそんなに稼げるわけないでしょう。全部、岡田家のお金じゃない。それに妊活だなんて、子供を作って自分の立場を固めようって魂胆ね。笑わせるわ。あんな女、明日香さんと菊江さんみたいなお人好しにしか認められないわよ」佳乃もすぐに同調する。「明日香と菊江さんの見る目なんて当てにならないって、前から言ってたじゃない。あの女、これからどれだけ恥をさらすことか。岡田家の評判もガタ落ちね」……智美は午前中だけで、一億円も散財していた。後ろに控えるボディーガードに荷物を持たせると、彼女は尋ねた。「羽弥市で一番
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