「いや、俺が急いで帰りたいのは、ただ玲に会いたいからだけじゃない」友也の言葉を聞き、秀一は表情を引き締め、低い声で続けた。「さっき、茂が捕まって、美穂が連れて行かれたあの瞬間から胸騒ぎがするんだ。玲に何かあったんじゃないかと……」愛し合う者同士なら、離れていても心は通じ合う――よく、そう言われる。今もなお、秀一と玲のあいだには、拭いきれないわだかまりが残っていた。それでも秀一は、自分の想いが一瞬たりとも玲から離れたことはないと、はっきり感じている。だからこそ、胸に嫌な予感が芽生えたその瞬間、病室で計画の成功を喜ぶ暇もなく、彼は外へ飛び出した。――玲は今、きっと自分を必要としている。そう確信していた。車を運転しながら、友也は首を傾げる。「秀一……流石に考えすぎじゃないか?玲さんは毎日、家で安静にしてるんだ。何か起きるはずないだろ」「わからない。だが、俺の直感は外れたことがない」秀一は眉間に深く皺を刻み、運転席を鋭く睨みつける。「まともに運転できないなら、今すぐ降りろ。俺が代わる」「ちょ、ちょっと待って!ちゃんと飛ばすから、追い出さないで!」実のところ、友也自身も雨音に会いたかった。慌てて答えると、意識を運転に集中させ、アクセルを強く踏み込む。次の瞬間、車は矢のように前方へと走り出した。その結果、本来なら三十分はかかる道のりを、わずか十数分で走り切った。車が止まるや否や、秀一はドアを開け、最速で車を降りる。ちょうどそのとき――玄関前で、雨音が鍵を開けようとしていた。二人の姿を見て、彼女は目を丸くする。「え?二人ともどうしたの?玲ちゃんを面倒ごとに巻き込まないように、しばらく会わないって言ってたでしょう?」「それはそうだけど、今日、秀一の計画が大成功して、茂と美穂も――」「……今日、朝から家にいなかったんですか?」次の瞬間、友也の説明を遮るように、秀一が低く問いかけた。その表情に、雨音は一瞬戸惑いながらも、首を縦に振る。「はい。午前中、急ぎの仕事が入って……朝早くに出たんです。でも出かけるとき、玲ちゃんには声をかけました。仕事を片付けたら帰るから、一緒にご飯を食べようって」玲は雨音と一緒に暮らしているが、自分の面倒がちゃんと見れる大人だ。お腹の子が三か月を越え、体調も安
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