まるで陰口を叩いているところを本人に聞かれてしまったかのような、気まずい空気が流れた。司野は氷のような声で言い放った。「今後、素羽の前に二度と現れるな」その一言に、楓華は黙っていられず、勢いよく反論した。「なんであんたの言いなりにならなきゃいけないわけ?これからも素羽とは仲良くするし、あんたに止められる筋合いなんてない!私が素羽と同じ布団で寝てた頃、あんたはどこで何してたかも分からないくせに!」司野のやつ、いったい自分を何様だと思っているのか。だが司野には楓華と口論するつもりなどさらさらなく、まくし立てる隙も与えずに即座に電話を切った。さらに素羽の目の前で、その番号を迷わず着信拒否にした。素羽は驚き混じりに言った。「……何してるの?」「ろくでもない人間とは関わるな」司野は冷たくそう言った。素羽は道徳に反するような交友をするつもりなど毛頭なかったが、司野の一方的で俺様な態度にも反発を覚えていた。「あなただけ好き勝手やって、私には勝手なルールを押し付けるなんて、納得できないわ」交友関係にまで干渉されるのは、さすがに度が過ぎている。しかし司野は答えず、代わりに素羽の身体を軽々と抱き上げ、そのままベッドに寝かせた。そして自らも隣に横になり、後ろから強く抱き寄せる。起き上がろうともがく素羽を、司野は逃すまいと強く抱き締めた。彼女の首筋に、疲労のにじむ低くかすれた声が落ちる。「動くな……もう丸一日以上、休んでないんだ」言葉を発するたび、熱を帯びた吐息が素羽の首筋に触れた。「素羽、俺たち……これからちゃんとやっていこう。将来、お前を裏切ることはしない」素羽の抵抗する身体が、ぴたりと止まった。伏せられたまつげが影を落とし、瞳の奥の感情がそっと隠される。もしこの言葉をもっと前に聞いていれば、素羽はきっと喜んでいた。だが今は、心が微動だにしなかった。失望が積もり積もれば、人はもう期待しなくなる。司野は素羽の腰に手を添え、向きを変えさせて彼の方に向かせた。そして確信を持った声で言う。「今後、二度とお前を傷つけたりしない」しかし素羽の胸には、繰り返し聞かされたオオカミ少年の言葉のように、響くものはなかった。司野は声を柔らかくした。「俺たち、ちゃんとやろう……な?」素羽は司野の瞳を見つめた。距離はわずかで
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