毎年、家族と近しい親族だけが参列する康平の命日に、美宜はいったいどんな立場で足を運んだのか。素羽は、司野がいつものように使用人に先に追い払わせるのだろうと思っていた。まさか自ら出向いて会いに行くとは、夢にも思わなかった。素羽は思わず両手を握りしめる。「司野は何しに行ったの?」もともと悲しみに沈んでいた琴子も、席を立つ司野の動きに気づいた。素羽は正直に答えた。「美宜が来たのよ」琴子は一瞬、言葉を失った。「こんな時に……どうして夫を行かせたの?」それは司野自身の判断であって、素羽の手に負えるものではない。それに、止めたところで彼が耳を貸すはずもない。式はまだ続いており、締めくくりは息子である司野が務めるべきだった。幸雄が尋ねた。「司野はどこだ?」琴子は慌てて答える。「会社からちょうど電話があったみたいで……対応しに行ったんです」幸雄は返事をしなかったが、翔太が先に口を開き、含みのある声音で言った。「兄貴もずいぶん『気が利く』よね。こんな大事な時に、わざわざ時間を割いて用事を済ませに行くなんて」言いながら、彼の視線はちらりと素羽へ向けられた。その意図は、素羽にもはっきりと分かった。翔太も、美宜が来たことを知っているのか。幸雄はそれ以上何も言わなかったが、琴子は素羽を急かし、早く司野を呼び戻すよう促した。本当は行きたくなかったが、この場で拒むわけにもいかない。墓地を出て、素羽は使用人に司野の居場所を聞き、直接探しに向かった。前庭の松の木の前――美宜は涙を湛えた目で司野を見つめていた。司野は素羽に背を向けていたため表情は見えなかったが、美宜の涙を拭う司野の動きは驚くほど優しく、その憐憫は隠そうともしていなかった。雪のように白いその姿が眩しく、素羽は目が焼けるような痛みを覚えた。「素羽さん……?」素羽の姿を認めた美宜は、驚いたように声を上げた。司野も声に反応し振り返ったが、その表情は落ち着いていた。「どうして来たんだ?」「お邪魔だったかしら?」美宜は慌てて言った。「素羽さん、私たち何もありません。本当に、考えすぎです」その瞬間、素羽はふと、白い雪が彼女によく似合うと思った。純粋無垢な雰囲気が、いっそう際立って見えた。口元をひきつらせ、素羽は嘲るように言う。「私が考
続きを読む