病院へと向かう車中、真琴はどうにか平静を保とうと自分に言い聞かせ続けたが、胸の奥から湧き上がる不安を抑えつけることはできなかった。耳の奥で激しい鼓動が鳴り響き、指先は氷のように冷たくなっている。数年前にも一度、これと同じ感覚を味わったことがあった。二十分後。救急外来のエントランスに車が到着するや否や、真琴は救命センターへと駆け込んだ。処置室前の廊下では、紀子夫婦が魂が抜けたように肩を落とし、ベンチに座り込んでいた。血相を変えて現れた真琴に気づくと、二人は弾かれたように立ち上がった。その目は真っ赤に腫れ上がっている。「お嬢様……っ」紀子の前に歩み寄ると、真琴はその両手をきつく握りしめ、縋り付くように尋ねた。「一体、何があったの?先生はなんて……?」紀子は乱暴に涙を拭い、震える声で話し始めた。「朝食のお時間になっても、旦那様がいらっしゃらないので……お部屋へお呼びしに上がったのです。でも、いくらノックしても中からお返事がなく……恐れながら扉を開けてしまいました」そこまで言って、紀子は嗚咽に言葉を詰まらせた。かろうじて呼吸を整え、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。「そうしたら……旦那様が、床にうつ伏せで倒れていらして……駆け寄ってお体を揺すっても、何度お呼びしても、全く……反応がございませんでした。慌てて救急車を呼んで、それからすぐにお嬢様にご連絡を……」祖父がうつ伏せに倒れていたというその言葉に、真琴の視界は溢れ出した涙でじわりと滲んだ。紀子の手を握りしめる両手が、小刻みに震えている。真琴が目を真っ赤にしたまま言葉を失っていると、紀子は救命室の扉を振り返り、力なく言った。「まだ中で処置が続いております。詳しいことは、まだ……」その言葉を聞き、真琴は必死に自分を奮い立たせるように声を絞り出した。「大丈夫。お爺ちゃんは絶対に大丈夫よ。お父さんとお母さんが、きっと守ってくださるわ」紀子に言い聞かせるその言葉は、何より自分自身が崩れ落ちないための、切実な祈りでもあった。紀子もまた、縋るように何度も頷いた。「ええ、必ず旦那様をお守りくださいます」その言葉にかろうじて支えられ、真琴は握っていた手をそっと離した。壁に手を突き、ベンチへと歩み寄って崩れ落ちるように腰を下ろした。大丈夫。絶対に、何
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