一切の未練なく遠ざかっていく悦子の背中を見つめながら、汐莉は心臓が真っ逆さまに底なし沼へと転げ落ちていくような、果てしない絶望感を味わっていた。政志の顔色もまた、妹以上に暗く沈み込んでいた。詩織に付け入る隙すら与えられず、完全な拒絶を突きつけられたことは、彼にとって致命的な痛手だった。現在、サンライズ・エナジーが市場シェアを奪取するためには、華栄キャピタルが握る最新のAI技術が喉から手が出るほど必要なのだ。他社の技術力では到底中博に太刀打ちできない。もしここで中博と組めなければ、日進月歩の市場競争から完全に淘汰されてしまうのは目に見えている。だが、この提携の命綱を握る詩織が首を縦に振らない限り、サンライズに未来はない。今のこの絶望的な局面を招いたのが、すべて汐莉の安いプライドと軽口のせいだと思い知るたび、政志は怒りで奥歯が砕けそうになった。もしここが公衆の面前でなければ、迷わず妹の頬を思い切り張り飛ばしていただろう。悦子という唯一のコネクションを失った二人に、パーティー会場へ潜り込む術などもう残されていなかった。逃げるように、惨めな姿でその場を立ち去るしかない。政志は半歩先を歩きながら、今にも殺意が漏れ出しそうなほど陰惨な顔をしていた。その後ろを、汐莉がカツカツとハイヒールを鳴らしながら、ふらつく足取りで必死についていく。その目元は悔しさに赤く染まっていたが、怯えて声一つ出すことができなかった。会場の外へ出た矢先、最悪のタイミングで政志は宿敵と鉢合わせてしまった。ライバル企業、和光モータースの河本社長だ。政志の足がピタリと止まる。河本も政志の姿に気づくと、薄ら笑いを浮かべて声をかけてきた。「おや、これは榎崎社長じゃないですか。どうしました、そのお通夜みたいな顔は。まさか……交渉決裂ですか?」政志の顎の筋肉がギリッと引きつり、目尻から隠しきれない怒りの炎が噴き出しそうになった。敗北感にまみれた榎崎兄妹を尻目に、河本は我が世の春と言わんばかりの満面の笑みで、意気揚々とパーティー会場へと吸い込まれていった。その夜、詩織は間違いなくこのイヤーエンド・パーティーにおける絶対的な主役だった。きらびやかな会場の空気を完全に支配し、次々と訪れるゲストたちと優雅に、かつ余裕を持って渡り歩いていく。今回の華
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