乱入してきたあの偽男は、太一に首根っこを掴まれ、そのままどこかへ連行されていった。それを見た汐莉は、針のむしろに座らされたような恐怖に襲われた。あの男、尋問されて私の名前を吐くんじゃ……慌てて霜花と対策を練ろうとしたが、霜花はすでに京介の背中を追って足早に部屋を飛び出した後だった。柊也と詩織が帰ってしまったことで、京介はすっかり興行を削がれていた。沙羅に簡単な別れを告げると、足早に店を後にした。彼が帰るのを見た霜花は、必死にその後を追いかけた。『ラウンジ・ノクターン』のエントランスで、ようやく彼の背中に追いつく。外はいつの間にか雨が降っており、肌寒い湿気が立ち込めていた。霜花はすがるような声で彼を呼び止めた。「京介!雨が降ってるの……家まで送ってくれない?」京介は車のドアに手をかけたまま動きを止め、振り返った。その視線は、この夜に降りしきる雨よりも冷ややかだった。「今夜の騒ぎ、お前が一枚噛んでるのか?」霜花の顔色が変わった。……江崎詩織のために、私を責めてるの!?彼女は引きつった笑顔を顔に貼り付け、必死に誤魔化そうとした。「な、何のこと?私はただ、あなたのお誕生日を祝いに来ただけで、何のことだか……」「霜花」京介は冷たく彼女の名前を呼び、その言葉を遮った。彼女を見下ろす瞳に同情の欠片はなく、ただ深い失望だけが沈んでいた。「俺の目を誤魔化せるとでも思ったか?」霜花の顔から、一瞬にして血の気が引いた。彼の前で惨めな姿だけは晒したくなかったのに、こらえきれずに涙が溢れ出す。「ええ、そうよ。認めるわ!」彼女は突然金切り声を上げた。か弱く可憐な偽りの仮面は完全に砕け散り、その下から醜く歪んだ本性が露わになる。「あの子が目障りなのよ!だから大勢の前で赤っ恥をかかせてやりたかったの!」雨粒が彼女の髪を伝って落ち、化粧が崩れる。街灯の下に浮かび上がったその顔は、狂気じみていた。京介は、まるで赤の他人を見るような静かな目で彼女を見つめ続けている。「でもね、私がこんなことをしたのは……あなたを愛してるからなのよ!」「いい加減にしろ」京介の声は重く、冷徹だった。「無駄な真似はよせ。俺とお前はもう終わったんだ。その現実をいい加減受け入れろ」「でも、あの子には好きな人がいるのよ!」「だから
閱讀更多