太一は小声でマネージャーを怒鳴りつけたが、相手は困り顔で弁解するばかりだ。「ですが……桐島社長は以前にもご利用いただいておりますので、裏メニューをご存知でして……」「……柊也」太一は助けを求めるように名を呼んだが、柊也の声からは完全に感情が抜け落ちていた。「客の要望だ。好きにさせろ」平坦な言葉とは裏腹に、彼が強く握りしめたグラスには、今にもヒビが入りそうなほどの力が込められていた。チーフが一礼して下がると、太一は頭を抱えて唸った。「なんだってんだよ、もう!あの女たち、羽目を外すにも程があるだろ……」文句を垂れ流しながらも、太一は気が気ではない。結局、心配のあまり、様子を探るために部屋を出たり入ったりと落ち着きなく動き回ることになった。一方、VIPルーム。チーフに先導されて八人の長身イケメンたちがぞろぞろと入ってきた瞬間、詩織はようやく沙羅の言う「特産品」の意味を理解した。「おー、いいじゃんいいじゃん! あの子なんて最高!」ミキは品定めをしながら、詩織の脇腹を肘で小突いてきた。「ほら詩織、あんたも一人選びなよ」「勘弁してよ……」詩織は力なく首をたれて降参のポーズをとる。すると、沙羅がグラスを傾けながら横から口を挟んだ。「諦めなさいよ、ミキ。私、詩織とは長い付き合いだけど、男遊びしてるとこなんて一度も見たことないわ。時々、本当は女が好きなんじゃないかって疑うレベルよ」その言葉に、ミキが目を細め、意地悪そうにニヤリと笑う。「……まさかあんた、まだあのクズ也のこと引きずってるわけ?」「……」詩織は言葉を失った。どうして話がそこへ飛躍するのか。「いい?聞いて詩織。女はお肌のためにもホルモンバランスが大事なの。つまり、男の潤いが必要不可欠ってこと!」謎の理論を力説するミキに、沙羅も「その通り」と言わんばかりに深く頷いた。詩織は悟った。今夜のこの二人は、完全にタガが外れている。ここで自分が空気を読まずに拒否し続ければ、耳にタコができるまで説教されるに違いない。二人の注意を逸らすため、詩織は視線を泳がせ、適当に指をさした。「じゃあ、彼で」ミキが視線の先を追い、次の瞬間、素っ頓狂な悲鳴を上げた。「うわっ!詩織ってば、ほんっとなんにも変わってない!」「は?何が?」「選んだ男、クズ也にくりそつじゃん!
Read more