まずはエミリアの投稿から調べてみよう。 リサはエミリアのInstagramにアクセスした。アレックスとの関係が分かればしめたものだ。 美しい風景や楽器を演奏するエミリアの華やかな姿が掲載されている。リサはそれぞれの写真に添えられたキャプション、そしてコメントを注意深く読んでいった。 しかし、エミリアが悩んでいる様子は特に見受けられなかった。彼女の言動も、ファンや知人の書き込みも、疑念を抱かせるようなものは一切ない。 次にリサは、エミリアのXにアクセスした。 日常の些細な出来事や感じたことが書いてある。興味深いのは、ある日を境に投稿が途絶えていたことだ。「最後の投稿の日付……。目撃証言があった日と一致している」 掲載された幾つかの写真の風景は見覚えのあるものだった。ついこの前、美咲と一緒に行った山の風景だ。「エミリアは確かに山に行っている」 写真は風景写真ばかりだった。誰かと一緒に写っている写真は見当たらない。 一人で来たのだろうか。しかし、エミリアにはファンがいる。ファン以外の人、例えばアレックスと一緒に写ることはしないのではないか。 幾ら親しい間柄とは言え、表向きにはアレックスは一緒に演奏を共にする音楽仲間の一人だ。少なくとも、ファンはそう思っている。ファンとは嫉妬深い生き物だ。その人たちを悪戯に傷つけるような真似をするとは思えない。「失踪のカギとなるような書き込みや写真はなし。しかし山に行ったのは事実。目撃情報は間違ってはいない」 リサは調べて分かったことを手帳に記載していった。 時間を確認しようと、携帯電話に手を伸ばした時、美咲からメールが届いていることに気付いた。メールの件名は『至急連絡を』だった。リサはすぐにメールを開いた。 メールの内容はこうだった。《エミリアが失踪する前日にエミリアと話をしていた人物を見つけたの。とにかく直接話がしたいから、メールを見たらすぐに連絡して》 一体何だろう。と訝しく思いながら、リサはすぐに美咲に電話をかけた。電話が繋がるまでの間、リサの心臓は小刻みに高鳴った。「美咲、メール見たよ。何が分かったの?」 リサは逸る気持ちを抑えながら尋ねた。「エミリアを山に呼び出した人が分かったの。今から会えない?」 美咲の声は緊張に満ちていた。 リサは一瞬、言葉を失った。 本当だろうか? そんな
Last Updated : 2025-09-10 Read more