どうして今日は、こんなにも苦しいのだろう。しばらくそのまま座り続け、外がすっかり暗くなってから、奈穂はようやく立ち上がり、会議室を後にした。その時、君江からボイスメッセージが届いた。再生した瞬間、スピーカー越しに彼女の大きな声が響く。【奈穂ちゃん!今夜カラオケ行かない?もう個室は押さえてあるし、友達も何人か呼んでるよ。来ようよ来ようよ、みんなで遊ぼう!】メッセージの最後には、わざとらしく調子外れに歌う声まで入っていた。奈穂は、思わず口元を緩めた。君江が自分を元気づけようとしていることは、分かっている。正修との冷戦で、ずっと沈んでいる自分を放っておけないのだ。その気遣いを無駄にしたくなかったし、何より今の自分には、気分転換が必要だ。奈穂は短く【いいよ】と返した。すると、すぐに住所が送られてきた。【待ってるね。ところで、夕飯はもう食べた?まだなら、何か用意させるよ】【まだ。サンドイッチを一つでいい】それ以外は、正直あまり喉を通りそうになかった。君江からは【OK】のスタンプが返ってきた。奈穂は会社の地下駐車場へ向かい、車に乗り込んだ。ほどなく車は走り出したが、彼女は気づかなかった――駐車場の出口付近に、一台の車が停まっていた。その車の中で、ある人物が、彼女の車が遠ざかっていくのをじっと見つめていた。完全に視界から消えるまで、目を離さなかった。運転席の二郎は、バックミラー越しに正修の表情を見て、なかなか言い出せなかった。しかし、しばらくして、やはり我慢できずに口を開いた。「社長……そこまで水戸さんのことが気になるなら、直接会いに行けばいいじゃないですか。何も、こんな……」こんなふうに、こっそり人の会社の駐車場の外で待ち伏せする必要があるのか。しかも、本人の姿すら見られず、車が出ていくのを見ただけだった。二郎には、正直よく分からなかった。一体、何をやっているのか。それに、正修のそばで長く働いてきたが、こんな正修を見るのは初めてだった。――やつれている、という表現が正しいのかは分からないが。表面上は、いつもと変わらない。だが、その疲弊感は、内側から滲み出ているようだった。よほど正修をよく知っている人間でなければ、気づかない程度に。二郎はそう言い終えてからもしばらく内心びくびくしていた。叱られ
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