Semua Bab 偽りの婚姻から脱出、御曹司は私に惚れ: Bab 811 - Bab 812

812 Bab

第811話

すべての証拠は、その男を指していた。逮捕された当初、男は犯行を頑なに否認していた。だが、ほどなくして耐えきれなくなり、自白した。彼の供述によれば、当時彼は健司に必死で見逃してほしいと懇願した。しかし健司は応じず、そのせいで逆恨みするようになった。出所後はずっと、健司への復讐を企てていたという。そして、奈穂は健司が最も大切にしている一人娘。だから彼女を狙ったのだ、と。警察はすでに男を拘留している。一見すると、事件は解決したように見えた。だが警察も、正修も、奈穂も、誰もが違和感を抱いていた。あまりにも順調すぎる。どの手がかりも簡単に見つかり、しかもそのすべてが、不自然なほど露骨に男を指していた。まるで誰かが意図的に、その男を彼らの前に差し出し、「こいつこそ真犯人だ」と全員に思わせようとしているかのようだった。疑念はあった。だが誰一人、それを口にはしない。まるで本当に犯人が確定し、この事件への関心を失ったかのように振る舞っていた。……深夜。若菜のもとに、音凛から電話がかかってくる。「全部片付いたわ。用意していた身代わりも逮捕された。もう心配する必要はない」もちろん、音凛が親切心から若菜を安心させようとしているわけではない。ただ、若菜がずっと怯え続け、どこかでボロを出すのを警戒していただけだ。「本当に?それならよかった……」若菜は安堵の息を漏らした。「もうこれ以上、捜査は続かないですよね?」「黒幕まで捕まってるのに、何を調べる必要があるの?」音凛はやや苛立った声で言う。「もう少し肝を据えなさいよ」若菜は目の前のパソコン画面に視線を向けた。そこでは、いくつものファイルが転送中になっている。若菜は心の中で冷笑する。――自分が臆病なら、こんなことできるわけがない。だが、そんな本音を音凛に明かすつもりはない。だから反論せず、静かに尋ねた。「次の計画はありますか?」「あの人」から指示されていた仕事は、もうすぐ終わる。つまり、これからは自由に動ける時間が増えるということだ。もし音凛が今後も奈穂を陥れるつもりなら、若菜としては喜んで協力する気だった。「次があるならまた連絡するわ。でも川岸市の件が起きたばかりだし、九条正修も水戸奈穂も今はかなり警戒してるはず。少し待ちましょう
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第812話

自分がここまで必死になってきたのは、すべて烈生のそばに行くためだった。今さら諦めるわけにはいかない。それに、今の自分には、もう後戻りする道など残されていない気がしていた。……朝、奈穂が目を覚ますと、隣に正修の姿はなかった。もう会社に行ったのだと思っていた。だが、体を起こして伸びをした瞬間、浴室のドアが開き、正修が出てくる。「まだ行ってなかったの?」奈穂は意外そうに目を瞬かせた。正修はベッドに歩み寄り、彼女の額にかかる髪をそっと撫でる。「行くつもりだったんだが、さっき電話が入ってな。君を起こしたくなくて、浴室で電話に出てた」そこで奈穂は、彼がすでにきっちり身支度を整えていることに気づいた。端正なスーツ姿。どこか禁欲的で知的な雰囲気をまとっている。それに比べて、自分は今、何も身につけていない。何度も肌を重ねてきたはずなのに、なぜか今さら急に恥ずかしくなった。そんな様子を悟られたくなくて、彼女は無意識に布団の中に少し潜り込む。「こ、こほん……じゃあ今から会社?」正修は彼女を見つめる。その眼差しが、ゆっくり熱を帯びていった。「……急に、行きたくなくなった」奈穂が反応する前に、彼はそのまま唇を重ねてくる。強い独占欲を感じさせるキスだった。奈穂は息を呑み、瞬く間に体の力が抜けていく。気づけば両腕は自然と彼の首に回り、その突然の口づけに応えていた。乱れた呼吸と激しい鼓動だけが、静かな部屋に響く。奈穂はすっかり力が抜けて、手も半ば本能のまま動いていた。ようやくキスが終わり我に返ると、正修のシャツのボタンがいくつも外れていることに気づく。しかも、それを外したのは自分だった。正修は掠れた声で笑う。「どうやら今、奈穂は俺と同じことを考えてるみたいだな」「……っ」奈穂は頬が熱くなるのを感じ、唇を噛んだ。そして誤魔化すように彼を睨む。「うるさい!」言うなり、彼のネクタイを掴み、そのままベッドに引き倒した。結局その日、二人は午前中いっぱい寝室から出なかった。カーテンも閉じられたまま。奈穂はまるで夢見心地のまま、ずっと意識がふわふわしていた。ようやく時間を確認しようと思い、スマホを手に取る。表示された時刻を見て、彼女は思わず声を上げた。「もう十二時過ぎてる!」「ん…
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