下着の一件はあったものの、SNSのフォロワーはその後も順調に増え続け、三ヶ月で一万人以上を獲得した。憧れていた海外ブランドのバッグやキッチン雑貨を紹介する案件依頼も届くようになり、私のインフルエンサー活動は順調だった。料理も、今まで習っていた家庭料理の教室から、パーティーのテーブルコーディネートも学べる、より専門的な教室に切り替えた。毎日の料理ではなく、見て楽しみ悦ばせる、セレブ妻にふさわしい料理を学ぶことにした。「今までは結婚した人にお料理を食べてもらう姿を想像したけれど、今は食事すら別々だし、それなら反応をくれる人に届けるまでよ。でも……」SNSで多少の承認欲求は得られるものの、現実の虚しさは消えない。そして、律との距離はこのままではいつまで経っても縮まらない。三年という期間限定の生活が本当に終わってしまうかもしれないという焦りが私の心をざわつかせる。(プライドとか言っている場合じゃない。行動しないと。)意を決してスマホを取り出して、律にメッセージを送った。『凛:ご飯一緒に食べない?何か食べたいものがあったら作るわ』メッセージはすぐに既読になったが、返事は一向に来ない。ソファでハーブティーを飲みながら動画を見て過ごしていると、二時間以上経ってからようやく返事が届いた。『律:どういうつもりだ、何を企んでいる?』
Last Updated : 2025-09-25 Read more