遥side会場を包み込んでいた熱狂的な拍手が波を引くように静まり返っていく。ダンスを終え、月島さんの腕に導かれてホールの中央に立つ私は、心地よい高揚感の中にいた。対照的に、そこから数メートル離れた場所では、怒りと屈辱で顔を真っ赤に染めた麗華が、荒い息をつきながら立ち尽くしている。(……何よ、今の……。今日は、私の就任パーティーなのよ! あなた、自分が何をしたか分かっているの!?)麗華は、重いドレスの裾を振り乱しながら詰め寄ってきた。その形相は、もはや社長の器など皆無で、ただ自分を引き立て役として使われたと怒り狂っているだけだった。「あら、遥さん。お上手なのね。それも、そうよね。あの東宮家の出身だもの。家政婦でもあるまいし、まさか踊れないなんてことないわよね。」私の過去をところどころにちりばめながら話す麗華に、私の隣に立つ月島さんが一歩前に出た。その表情は、冷静で射抜くような鋭さを持っている。「星野社長。お言葉ですが、あなたのその振る舞いこそが周囲に何を印象付けているか、ご自覚がないのですか?」「何ですって……!? 部外者のあなたが口を出さないで!」「部外者? 私は五十嵐工業のメインバンクの担当者として、ここに立っています。……今、この会場にいる数百人の経営者や役員たちは、あなたのダンスではなく、あなたの『品格』を査定しています。公の場でゲストを侮辱する。……そんな人物が率いる企業に、誰が明るい未来を想像すると思いますか? 経営者としての資質以前に、人間としての格が彼女とはあまりに違いすぎる」月島さんの言葉は、麗華を打ちのめすのに十分だった。麗華は言葉を失い、金魚のように口をパクパクと動かすことしかできない。月島さんはさらに追い打ちをかけるように冷たく言い放つ。「これ以上の醜態は、住吉グループやあなたのご実家の星野グループにも影響しますよ。……遥さん、行きましょう。これ以上、ここに留まる価値はありません」月島さんのエスコートを受け、立ち尽くす麗華の隣を堂々と胸を張ってすれ違い、その場を去った。その光景を、奏多は壊れた石像のように見つめている。奏多は、私のことだって、そしてこの場で麗華のことも庇おうとしない。(月島さんや俊のように大切な人を守るような態度を取ることなんてないんだ……)会場をあとにしようとエレベーターホールで待っていると、少し遅れ
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