奏多side「麗華が……社長?」耳を疑うとは、まさにこのことだ。俺は椅子に深く背を預けたまま、目の前で意気揚々と胸を張る麗華と、その背後で借りてきた猫のように縮こまっている五十嵐を交互に見やった。「そうよ! 私ならSNSのフォロワーもたくさんいるし、宣伝効果も抜群だわ。今の時代、会社のトップには発信力が必要なの。令嬢だって男性の影に隠れずに成功している姿はきっと世の中の女性の賛同をうけるわ。それに私、ずっと奏多のそばで経営の話を聞いてきたから、普通のサラリーマンを社長にするより、よっぽどあなたの意図を汲み取れるはずだわ」麗華はまるで新しいアクセサリーをねだるような軽さと異常なまでに高い自己肯定感で、一企業の代表権を欲している。 経営は、そんな簡単なことではない。ましてやフォロワー数など関係ない。華やかで豪遊している人もいるかもしれないが、それはほんの一部の人間だ。そして、その一部の人間も努力を重ねた結果が結びついてこそで、人知れないところで並大抵ではない行動を起こした結果なのだ。楽して成功する人間なんて皆無と言っていいだろう。実際は、収支や事業の経営判断、労務管理、そして時には非情な決断を下すこともある。今の五十嵐の会社に必要なのは「華やかさ」ではなく、実務能力や正しい方向へと舵を切れる判断力と知識を持つ人材なのだ。「麗華、ふざけるな。経営は遊びじゃないんだ。ましてや今、あの会社は月島銀行の厳しい監視下にある。国際公認会計士の厳しい監査を終えたばかりの場所に、何の専門知識もないお前を据えるなど、対外的にも許されるはず
Baca selengkapnya