「なんで400万円もの大金を借りるの?どうしたの、まさか二宮家が破産でもしたの?それとも潤は400万円も用意できないとでもいうわけ?」明里は慌ててスピーカーフォンを切った。彼女は急いで言った。「ごめん、今ちょっと手が離せないから。後でかけ直すね」そして電話を切って振り返ると、案の定、潤は不機嫌そうな顔をしていた。「400万円とは何の話だ?」彼は尋ねた。「借金でもしたのか?」明里は小さく頷いた。潤は彼女を見つめた。「お前が400万円ごときで借金しているなんて知られたら、二宮家のメンツはどうなる?」「誰にも知られたりしないから」明里は言った。「胡桃は他人に言いふらしたりしないさ」潤はそれ以上何も言わず、スマホを取り出して何かを操作し始めた。「前に渡したカードはどうしたんだ?もう使い切ったのか?」明里のスマホに通知が届いた。画面を見ると、潤から2000万円が振り込まれていた。前のカード?そういえば、結婚した時、潤からカードを何枚か渡されていたが、一度も使ったことはなかった。特にお金を使う当てもなく、ブランド品を買い漁る趣味もなかったからだ。明里は俯いてスマホを操作し、その2000万円をそのまま送り返した。「あなたのお金は要らない。今まで……実家のことであなたに迷惑をかけたけど、これからはもう、あなたのお金は受け取らないから」潤は眉をひそめて彼女を見た。「明里、離婚しない限り、お前は二宮家の人間だ」「あなたの顔に泥を塗るようなことはしない」明里は言った。「とにかく……あなたのお金は要らないの」「だったら他人に借りるというのか?」潤は不機嫌そうに言った。「もう二度としないから」潤との関係で明里が引け目を感じる大きな要因の一つは、自分にお金がないことだった。だからこそ、気後れしてしまうのだ。これ以上惨めな姿を見せまいと、明里は背筋を伸ばした。「潤、あなたには滑稽に見えるかもしれない。でもね、この世にはお金じゃ買えないものがたくさんあるのよ」彼女は潤とこれ以上話したくなくて、バスルームへ向かおうとした。その時、彼のスマホが鳴った。潤はすぐに応答した。「慎吾か?」明里はビクッと体を震わせ、彼を振り返った。慎吾?あの子が、どうして潤に電話を?電話の向こうの声は、明里には聞こえなかっ
Read more