「河野さん、無断で外仕事でもしてるんじゃないの?さっき他の人から聞いたんだけど、このところ連日遅刻が続いているそうね」それを聞いて、周りのみんなは驚いて、一斉に晴香のほうを見た。ルナオーケストラの給料は十分に良いはずなのに、どうして他所で稼ぐ必要があるの?晴香は焦り、とっさに嘘をつこうとした。だがそこへ、凪が静かに近づいてきた。「その仕事の相手って、『山下さん』って人でしょう?」「……」言葉が喉につかえ、晴香は一言も返せなかった。なんでバレてるの!?この女、前は自分が出演するはずの演奏会の席を横取りした。今度は、私が外で別の仕事を請けていることまでバラすなんて……晴香は怒りのあまり声を荒げた。「私をこっそり調べたのね!そうやって私を追い出して、私の代わりに自分がルナオーケストラに入るつもりでしょ!?」凪は晴香が急に騒ぎ出したことに驚いた。しかし、すぐに冷静になって言った。「あなたの外仕事の件、もうみんな知っていますよ。ルナオーケストラでの立場を守りたいのなら、ルールを破るべきではありませんでしたよ」言い終えた凪は、自分が部外者であることをわきまえて、対応を琴音に委ねた。自分でボロを出してしまった晴香は、ここで初めて事の重大さに気づいた。「松尾さん、違うんです……」「言い訳は聞きたくないわ。河野さん、今日をもってあなたはクビよ。退職の手続きは後で連絡するわ」琴音はそれ以上の弁解を許さなかった。他のスタッフに晴香をドアの外へ追い出させて、笑顔で周りのメンバーに向き直った。「これで全員揃いましたね。さあ、練習を始めましょう!」部屋に美しい音色が響き渡る。そこにはもう、晴香の居場所などなかった。晴香は唇を噛み締めながら、みじめに去っていった。凪は琴音の決断力に好感を抱いた。そして、空いている席へと腰を下ろした。オーケストラのメンバーが熱心に練習する中、凪は静かに作曲に打ち込む。3時間後、すべてのインスピレーションを書き留め終えた彼女は、完成した楽譜を琴音に差し出した。琴音は嬉しそうに凪に抱きついて言った。「これでまた一緒に仕事ができるわね!」「ええ、一緒に作曲するのなんて久しぶりだわ」凪も琴音を抱き返した。二人は顔を見合わせ、微笑み合った。琴音はまだオ
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