これでもう二年分の決算は安泰だな。父親を相手に、凪は損な取引をするつもりはなかった。彼女は眩しい日差しを浴びながら、ふっと笑って言った。「じゃあ、私にはどんなメリットがあるのかしら?」「プロジェクトは二宮グループに渡すんだ。それが君の手に入るのと、何が違う!これ以上何を望む?!」やはり金の話になると、大地の態度は手のひらを返したように変わる。「お父さん、勘違いしてるんじゃないかしら。上にはお父さんやおじさんたちがいるのに、どうしてそれが私の手に入ることになるの。二宮グループはあなたたちのものよ。私はお嫁入り道具として、ほんの少し株を持っているだけ」「じゃあ、どうしろって言うんだ?」顔を見なくても分かる。今ごろ父は苦虫を嚙み潰したような顔をして、こちらの思う壺にはまったことを後悔しているに違いない。「二宮グループの株、10%よ」凪は、聞き逃されないようにわざとゆっくりと言った。向こうは間髪入れず、大声で叫んだ。「なんだと?!凪、君は、頭でもおかしくなったのか!」凪はスマホを耳から少し遠ざけた。想像するに難くない。今頃、大地は怒りのあまり顔を歪めていることだろう。「よく考えて、また連絡して」ばっさりと電話を切り、凪は支社の人間が空と淀みなく話しているのを目の当たりにした。どうやら自分の出番など全くないようだ。その時、彼女ははっとした。黒崎グループには、Y市に支社がある。じゃあ、自分は何のためにここに来たの?これでは、ただの無駄足じゃない?しかも、空がそれを断らなかったのも、なんだかおかしい。眉をひそめて考え込んでいると、空の視線を感じた。目が合うと、彼が手招きをしていた。凪は足早に空の元へ行き、その隣に立った。「二宮家の人間か?例のモールの件で?」立て続けの質問に、凪は彼の洞察力に感心するしかなかった。「ええ。お父さんがこのプロジェクトを欲しがっていて、私に仲介を頼んできましたの」「たいした野心だな。それで、君は何を要求したんだ?」空は軽く手を振って支社の人間を下がらせると、面白そうに彼女を見つめた。「10%の株です」凪が言い終わるか、終わらないかのうちに、隣の男がクスっと笑うのが聞こえた。「本気で仲介する気はないみたいだな」凪は頷いた。彼に見抜か
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