だが、紗音はそれ以上何も答えなかった。どれだけ問いかけても、ただ黙って水琴の服の裾を固く握りしめたまま、決して離そうとはしなかった。「すまない、すっかり君に依存してしまっているようだな」 灼也は申し訳なさそうに眉を下げた。水琴は少し不思議に思いつつも、紗音に服の裾を握らせたまま微笑んだ。「気にしないでください。今は安心感がなくて、誰かに寄り添っていたいだけですよ」時間ももう遅い。こんな状態の紗音を見て、水琴もこのまま帰すのは忍びなかった。「よければ、今日は紗音ちゃん、うちに泊まっていきませんか?」実は灼也も車中で同じことを考えていた。だが、水琴の赤く腫れたままの足を見て思い直す。「君自身も怪我をしているのに、どうやって紗音の面倒を見るんだ。やはり俺が連れて帰るよ」今日の発作はひどかった。自分一人でも抑えるのがやっとだったのに、怪我をしている水琴に何かあれば取り返しがつかない。そう考えた灼也が紗音の腕を引こうとした瞬間、彼女は再び泣き出した。今度は大声で暴れるのではなく、部屋の隅に縮こまり、膝を抱えて可哀想に啜り泣くのだ。誰もが同情してしまうような、あまりにも痛々しい姿だった。「嫌だ……水琴お姉ちゃんから、離れたくない……」その呟きを聞いて、水琴は完全に絆されてしまった。「大丈夫ですから、泊めてあげましょうよ。この様子なら、暴れたりもしないでしょう?」「……発作が起きた時が心配だ。今夜は俺も残る。ソファで寝るから、何かあったらすぐ呼んでくれ」水琴はとっさに断ろうとしたものの、灼也の疲労の色が濃い顔を見て思いとどまった。今日一日、彼は多くのトラブルに対処し、誰よりも疲れているはずだ。「ソファなんてダメです。紗音ちゃんは私と一緒に寝ますから、空いているゲストルームを使ってください。お布団はクローゼットにあるので、自分で敷いてくださいね」「……ありがとう」灼也は真剣な面持ちで礼を言った。「お気になさらず」水琴はふんわりと笑う。「今日はいろいろと助けていただきましたし」コンテストのトラブルから医務室での手当てまで、彼女は灼也の不器用で優しい庇護に心から感謝していたのだ。夜が深まり、紗音はすでに静かな寝息を立てていた。だが、水琴はベッドで寝返りを打つばかりで一向に眠れなかった。今日の紗音の反応は、あまり
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