灼也はひらひらと手を振り、キッチンへ向かった。すでに煎じ終わっていた薬を器に注ぎ、テーブルへと運んでくる。「温かいうちに飲んで。水分を多めにしてあるから、全部飲み干すんだよ」目の前に置かれた器を見て、水琴は目を丸くした。彼女の顔よりも大きい、まるでどんぶりのようなサイズだ。「いくらなんでも、多すぎません?」そう言った時には、灼也はすでに土鍋までテーブルに運んできていた。そこにはまだ丸々一杯分が残っている。「みーちゃんの体のためだからね」彼はにっこりと、ひたすら甘く微笑んだ。水琴は思わず頭を抱えそうになりながらもスプーンを取り、一口ずつちびちびと掬って飲む。こっそりと視線を上げると、彼の深く澄んだ瞳とバッチリ目が合い、ひどく落ち着かない。「高遠さん、もう夜も遅いですし、早く帰って休んでください」これほどの量の薬を飲み干すまで、じっと見つめられ続けるのはご免だった。今回ばかりは彼も引き下がり、コートを手にした。「ちゃんと全部飲むんだよ」その言葉を残して、彼は部屋を後にした。口の中に広がる薬は強烈に苦く、飲み込むだけでも一苦労だ。目の前の途方もない量を思うと、すっかり気が滅入ってしまう。だが、スプーンを置こうとするたび、キッチンに立っていた彼のスーツ姿の凛とした背中が頭をよぎるのだ。星のように美しい瞳と、「全部飲むんだよ」という優しい声。水琴はふうと息を吐き、さらに二口分を多めに掬って飲み込んだ。不思議なことに、先ほどより少しだけ苦味が和らいだ気がした。コンテスト当日。小林菫の登場は、事前の予想通り熱狂的な反響を呼んだ。理事会の手配により、大学の正門前には大勢のメディアや記者が詰めかけている。菫がキャンパスに到着すると、水琴は自ら十数名の学生を率いて出迎え、彼女を講堂の中まで丁重に案内した。一方、講堂の反対側には参加学生たちが集まり、待機していた。紗音はそこで雅の姿を見つけた。紗音が口を開くより早く、雅が嫌味たっぷりに絡んでくる。「紗音、あなた水琴とすごく仲がいいじゃない。どんな問題が出るか、こっそり教えてもらったんじゃないの?よかったら私たちにも共有してくれないかしら?」わざと声高に放たれた雅の言葉に、周囲の学生たちが注目する。紗音はムッとして彼女を鋭く睨みつけた。「水琴お姉ちゃんは、権力にすり寄ることしか
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