All Chapters of 氷のCEOは、愛の在処をもう知らない: Chapter 141

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 兄妹がそこまで話した時、祖父である雅臣が通りかかった。「おや、2人とも。お茶の時間かい? おじいちゃんも混ぜてもらおうかな」「もちろん! こっち座って!」 柚葉がソファの席を詰める。樹はティーカップをもう1セット持ってきて、ポットから紅茶を注いだ。「ありがとう。樹は紅茶を淹れるのが上手だよね」「うん、ひいおじいちゃん直伝だからね。……ねえ、おじいちゃん。聞きたいんだけど、パパとママは若い頃に何かあったの?」「……何か、とは?」 雅臣は慎重な目で孫を見た。 樹は自分の古い記憶を語ってみせる。 雅臣はふうと息を吐いて、カップを置いた。「まあ、色々あったねえ。楽しい話も、そうでない話もある。僕の口から言うのではなく、智輝と結菜さんから聞くべきだろうね」 祖父の思いのほか重い口調に、孫たちは目を丸くした。◇ そうして兄妹は、両親の秘密の過去を聞き出そうと決意した。 なかなか話したがらない父と母を説き伏せて、とうとう聞き出したのだ。 ただし結菜は、智輝が彼女を手酷く傷つけたのは黙っていた。今の智輝は良き父で、子供たちもパパが大好きだったから。 勘違いですれ違った、と言うに留めた。「ええーっ。じゃあママは5年も1人でお兄ちゃんを育てたの? 凄すぎる」 柚葉が目を丸くしている。「父さんは何やってたんだ。会社の力もあるんだし、調べようと思えば調べられただろ」 樹は不満そうだ。結菜が苦笑した。「樹が生まれたと知らせなかったから。知らなければ、調べようもないでしょ」「でも、図書館で偶然再会しなければ、ずっとすれ違ったままだったってこと?」「そういえば、そうね」「その場合、私は生まれなかったってこと!?」 柚葉が愕然としている。智輝が深いため息をついた。「そう思うとぞっとするな。あの時、もう一度結菜に出会えて本当
last updateLast Updated : 2025-12-09
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