「──事、件……?事故じゃ、ないんですか……?」 お父様の言葉に、私は唖然としてしまう。 まさか。 ただの、事故じゃなかったの? 誰かが、わざとこんな事をした可能性が、あるの──? 色々な感情が胸に込み上げ、頭がぐらぐらする。 そんな私の手を苓さんが握ってくれて。 私を支えつつ、お父様に顔を向けた。 「事件性があるって事は、何か証拠が……?」 「──いや、はっきりとした証拠が出ているわけではない。だが……あの時間帯……、奇妙な事に複数の救助隊が別案件に動いてしまっていた」 「……だから茉莉花さんのお祖父様の救助に時間がかかったんですね?」 「その通りだ」 苓さんとお父様の会話に、私は驚く。 救助隊があの時、複数出払っていた──? 苓さんとお父様の言う通りなのだとしたら。 それは、もう──。 「お祖父様の救助に行けないように……細工していたって事、ですか……?」 どうして、何で。何のために……お祖父様を。 私の頭の中が、混乱していた──。 ◇ お祖父様の病室には、見張りをつけて私たちは場所を移動した。 誰にも話を聞かれる可能性がない、個室の料亭。 お祖父様を救出してから何もお腹に入れていない事を思い出したお父様は、一旦話をする場所を変えよう、と私たちは病院を後にした。 そこで注文を済ませ、室内には私とお父様、そして苓さんの3人だけになる。 お父様がグラスの水を一口飲み、喉を潤してから口を開いた。 「茉莉花。今回の一件が事故ではなく、事件の可能性が出て来た以上、これからは1人での行動はなるべく避け、ボディーガードを常に傍に付けておくんだ」 「……もし、事故を装った事件だとしたら……。犯人に心当たりはありますか……?」 私はお父様に問う。 だけど、お父様は首を横に振って肩を竦めた。 「誰かの恨みを買うような真似はしていない。……と、思いたいが……私たちの会社は大きい。知らない所で恨みを買っている場合もあるだろうな……」 「では、今の所は……相手方の目星はついていないって事……そう言う事ですよね?」 「ああ。情けない限りだが……」 お父様の言葉が静かな室内に落ちる。 それまで、私とお父様の会話を黙って聞いていた苓さんが、口を開いた。 「──私がお話してもいいですか?」 「小鳥遊くん?何か知っている事が
Last Updated : 2026-02-06 Read more