ざあざあ、と雨の勢いは増している。 下山した方が絶対に良い天候だ。 だけど、お父様の話を聞いて下山なんて出来るはずがない。 私は、苓さんと一緒にゆっくりと、だけど着実に先を進む。 お父様達が休憩していた場所から、本当にそれ程離れていなかった事が幸いした。 歩き始めて、20分。 20分程で、お父様と。お祖父様と一緒に登っていた人達数人の姿が確認出来た。 「──お父様!」 雨の音に掻き消されてしまって、私の声はお父様には届いていないのだろう。 私は、ふらつく体を苓さんに支えてもらいながらお父様達へと近付く。 「お父様っ!」 「──茉莉花!?それに、小鳥遊くんも一緒か!」 私の声がようやくお父様に届き、お父様が顔をこちらに向ける。 「2人とも、無事で良かっ──」 お父様は私と苓さんの姿を見て、怪我が無い事を確認したのだろう。 ほっと安心したような表情を浮かべる。 けれど、私と苓さんの後ろに御影さんの姿がある事を確認して、顔を顰めた。 「どうして彼が茉莉花と一緒に居る?」 お父様の視線が、まるで射るように鋭く冷たく細められる。 御影さんに問う声も低く、重い。 私と苓さんの後ろを着いて歩いていた御影さんは、びくりと肩を震わせた。 そして、気まずそうにお父様から視線を逸らしつつ言葉を返す。 「──いえ、たまたま……お会いしまして……」 「──そうか。これ以上は茉莉花に着いて来なくて結構だ。……茉莉花に小鳥遊くん。状況を説明する、こっちへ」 「分かりました、お父様……」 「はい、藤堂社長」 御影さんをその場に残し、お父様は私と苓さんを手招いて開けた場所まで誘導した。 ◇ お父様が居た場所には、数人の人が居た。 そこには苓さんのお兄様、圭吾さんの姿もある。 その場に残っていたのは、藤堂の系列会社の社長や、本社の役員などが数名。 皆の顔は真っ青で、疲弊している。 勿論お父様もその例に漏れず、疲弊しているのがひと目で分かった。 だけど、お父様からお祖父様の身に何が起きたのか。 それを説明してもらわないとならない。 私は、震える手を握りしめてお父様に問う。 「それ、で……お父様。お祖父様に一体何が起きたのですか……お祖父様は今、どこに?」 「茉莉花……」 お父様はぐっと辛そうに顔を歪めた後、顔をとある方向に向
Last Updated : 2026-02-01 Read more