走って行く足柄店長の後ろ姿を見ながら、少し申し訳ない気持ちになってしまう。 「何だか……急かすような形になってしまって申し訳ないですね」 私が苓さんに向かってぽつりと呟くと、苓さんはゆるりと首を横に振った。 「いえ、大事な事ですよ。茉莉花が細やかな部分にまで気付いて下さって良かったです。今後、2号店、3号店とオープンする際に事前に用意出来ますからね」 「それなら、良かったです……!」 苓さんの優しい声と笑顔に、私はほっとする。 「じゃあ、茉莉花。他にもスロープが必要な所がないかどうか、庭園を見て回りましょうか」 「はい、そうしましょう」 段差を降りる際、苓さんが手を差し出してくれる。 有難くその手を取って、私と苓さんはゆっくりと庭園を歩き始めた。 「小さな橋と池は人気の散歩スポットになりそうですね」 「ええ。この近くに腰掛けるベンチなどがあれば少し腰を落ち着けてゆっくりできそうです」 「ああ、確かに。ベンチを用意すれば、ご年配の方が利用しやすくなりますね」 私と苓さんは庭園内を散策しながら、ここはこうした方がいいんじゃないか、と意見を出し合う。 「庭園内に、2、3箇所追加でスロープの設置をした方がいい場所がありますね。ベンチの件も合わせて足柄店長に伝えましょうか」 「その方がいいかと思います」 私の言葉に、苓さんも頷いてくれる。 そして、苓さんはポケットからスマホを取り出す。 「結構追加設置が多くなりそうですね。うちの会社にいる大工にスケジュールを確認しておきますね」 「ありがとうございます、苓さん。お願いします」 苓さんが小鳥遊建設の大工さんに連絡を取ってくれている間、私は店内に戻る事にした。 今苓さんと話していた事を、なるべく早く足柄店長に共有した方が良い。 そう思い私が店内に戻ると、先程の女性スタッフが私に気が付いた。 「──あ、あのすみません。足柄店長はスタッフルームにいますか?」 「……」 あれ? 私の声が届いていなかったのかな、と思い、私は更に足を進めてその女性スタッフに声をかける。 「あの──」 「なんですか?今、私たち店舗スタッフは忙しいんです」 私の言葉に、先程の女性スタッフは冷たい口調と態度で答える。 私に一切顔を向けず、吐き捨てるように告げた女性スタッフに、私は呆気に取られてしまう
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