私の言葉に、お父様とお母様が驚いたように目を見開いた。 そして、じわじわと嬉しそうな表情に変わって行く。 「それは……本当か?」 お父様が嬉しそうに、だけど少しだけ不安そうに私と苓さんに視線を向けた。 私と苓さんはお互い顔を見合わせて笑い合うと、繋いだ手に力を込める。 そして、苓さんがお父様の言葉に答えた。 「ええ、全部思い出しました」 私と苓さんが笑い合う姿を見て、ようやくお父様もお母様もそれが本当なのだと理解してくれたみたいで。 お母様は自分の顔を両手で覆い、嬉しそうに笑った。 お父様も安心したように笑顔を浮かべ、ただ一言「そうか」と告げて頷いた。 苓さんと一緒に家に帰って来て、私と苓さんはお父様とお母様4人で遅い昼食を共にした。 「そう言えば……苓くんの記憶が戻った事は喜ばしい事だが……記憶を失ってから今までの間の記憶もあるのか?」 食事の手を止めて、お父様がふと尋ねる。 すると苓さんも手を止めて、頷いた。 「──はい。問題ありません、全て覚えています。なので、今後の仕事についても何の問題もありません」 それを聞いたお父様は、ほっと安心したような顔になる。 「そうか、それも良かった──」 お父様の言葉の後、苓さんはすっと真面目な表情になると、少しだけ前のめりになって口を開いた。 「……馨熾さん、それで、その……。茉莉花、の……茉莉花さん、のお見合いの件は……」 言いにくそうに告げる苓さん。 苓さんの言葉を聞いたお父様は「そうだったな」とはっとしたように目を開き、私に顔を向けた。 「茉莉花、どうする。先方へは──」 「正式にお断りをお願いいたします。……昨夜、先方と少しだけお話いたしました。……苓さんの記憶が戻った以上、私は他の方と結婚するつもりはありません。……それに、万が一苓さんの記憶が戻っていなくても、今回のお話はお断りする事になっていたと思います」 私は、背筋を伸ばししっかりお父様の目を見返して答える。 そう──。 苓さんの事が無かったとしても、今回のお話はお断りだ。 あんなに私生活にだらしのない方と将来を共に歩ける訳が無い。 私の視線を真っ直ぐ向けられたお父様は「分かった」と頷いてくれた。 ◇ 昼食が終わり、お母様から2人でお散歩でもしてきたら?と提案を受けて、私と苓さんは家の庭を散策する事
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