「ただいま戻りました」 苓さんと一緒に、家に入る。 休日の今、家の中には最低限の使用人しかいない。 いつもは帰宅するとお母様が出迎えに来てくれるけど、今お母様は体調を崩している。 「茉莉花、茉莉花はお母様の部屋に行ってあげてください。俺は食堂に食材を持って行きます」 「ありがとうございます、苓さん。お母様のアイス……、その……溶けちゃったけど、お母様の部屋の冷蔵庫に入れて来ますね」 私がそう言うと、苓さんは口角を上げて色っぽい笑みを浮かべる。 苓さんの笑みを直視してしまった私は、顔を一気に真っ赤に染め上げるとアイスの入った袋を手に下げて慌てて廊下を走った。 背後から苓さんの低い笑い声が聞こえ、走ったら危ないですよ、と声をかけられたけど。 私は聞こえていない振りをして、お母様の部屋まで私は小走りで向かった。 「お母様、茉莉花です。失礼しますね」 コンコン、とノックをして扉を開ける。 いつもだったら私の声にお母様の声が返ってくるけど、お母様は熱を出していた。 多分今は眠っているのだろう。 だから私はそっと音を立てないように慎重に扉を開け、お母様の私室に入室する。 私はお母様の私室に備え付けられている小さな冷蔵庫を開け、冷凍庫にアイスを入れる。 そして足音を忍ばせてお母様の寝室へ向かう。 お父様が出張で居ない今、お母様は自分の部屋の寝室で眠っている。 寝室の扉をそっと開け、お母様のもとへ向かった。 「──お母様?」 「……茉莉、花?」 小声でお母様に声をかける。 すると、お母様は私の声に反応して、ゆっくりと目を開けた。 だけど、未だに熱があるからだろう。 お母様の視界はぼんやりとして定まっていないように見える。 「お母様、少しだけ額に触れますね」 「……ええ」 弱々しく答えるお母様。 お母様の顔は未だ熱で赤い。 熱が全然下がっていないように見えて、私はお母様の額に手を触れる。 そして、触れて驚いた。 「──熱い……まだ、全然熱が下がっていませんね、お母様……。このままだと良くないです、中央病院に行きましょう?」 「……大丈夫よ、茉莉花。多分疲れが出ただけよ」 「だけど、熱が下がっていません……。このままだと心配です。お父様が帰ってきた時、元気な姿で迎えてあげたいでしょう?」 私の言葉に、お母様はぐっと
Last Updated : 2026-07-07 Read more