Semua Bab あなたの「愛してる」なんてもういらない: Bab 71 - Bab 80

95 Bab

71話

カツン、と不自然に足音が私の近くで止まった事に、不思議に思う。 この庭園カフェに来たお客さんなら、私の近くにある出入口の扉に真っ直ぐ向かうはず。 それなのに、その止まった足音はお店に入るでもなく、何故か私の座るベンチに近付いてきた。 不思議に思い、私が顔を向けようとした時。 「──茉莉花お嬢、さん……?」 「──え」 過去、とても恋しくて。 彼に名前を呼んでもらうだけで幸せを感じた声が、私の名前を呼ぶ。 ここ最近は彼の事を思い出す事なんて1度も無かった。 苓さんの声に名前を呼ばれる事が多くて、苓さんの声に慣れていた私の耳には、彼の私を呼ぶ声が少し不快に聞こえた。 見なくても分かる。 分かるけど、名前を呼ばれてしまった以上、彼に挨拶を返さなくては失礼。 私はそっと苓さんのマフラーから手を離し、呼ばれた方に顔を向けながら立ち上がる。 「……御影さん。お久しぶりです」 「あ、ああ…。どうして茉莉花お嬢さんがここにいるんだ…?」 御影さんが私のいる方に歩いて来ようとした瞬間、彼の影に隠れていたのだろう。 速水涼子が怯えたように小さく声を漏らした。 「──ひっ」 「涼子……!」 御影さんはハッとしたように表情を変え、私から涼子を守るように立ちはだかった。 「まさか……俺の行動を監視していたのか…?」 「──え?」 「もうこう言う事はやめてくれ。涼子だって茉莉花お嬢さんに怯えている。これ以上俺の周りをうろちょろしないでくれ」 「な、何をいきなり…!」 御影さんの事なんて、全く頭になかった。 苓さんと過ごしている間、御影さんの事なんて思い出しもしなかったのに。 こんな言いがかりはないわ。 だから、私は御影さんに言い返そうとしたのだけど、私が口を開くより先に御影さんが吐き捨てるように告げた。 「茉莉花おじょうさんも執拗い人だ。……まさか、あの時の熱愛記事も、茉莉花お嬢さんがわざと記者にリークしたのか?呆れた女だな……」 「なっ、なんて事を言うんですか!?それは言い過ぎですし、記事なんて私知りません!言い掛かりはよしてください!」 「こうやって俺の周囲を嗅ぎ回っているのがいい証拠だろう。こうやって先回りしても俺は茉莉花お嬢さんなんて好きじゃないし、君と婚約を結び
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-14
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72話

御影さんの態度に、唖然としてしまう。 彼は、あんなにも無礼な人だったの──? しかも、人に対して暴力的で、感情を抑える事も出来ない人間だったとは、と私は失望する。 私を嫌っているのは分かっていた。 だけど、自分の感情をコントロールする事もできず、こんな誰が見ているか分からない場所で大きな声を上げて。 それに、わざとじゃないにしても誰かに怪我をさせてしまったのに謝罪もしない。救助もしない人だったとは、と彼の人間性に私はガッカリしてしまった。 このまま地面に蹲っていたら、車を取ってきてくれた苓さんがびっくりしてしまう。 私はその場に立ち上がろうとした。 だけど──。 「──いたっ」 ズキッ、と膝が痛み、私は痛みを感じる場所に目を向けた。 「──しまったわ」 すると、そこはストッキングが破れて血が滲んでいるのが見えた。 私は急いでコートの裾を直し、膝を隠すように整える。 ロングコートを選んで良かった。 これなら、怪我をしてしまった事を上手く隠せるだろう。 そう考えた私はほっと安堵して、座っていたベンチに戻る。 ピリピリとした痛みは感じるけれど、全然我慢できる程度だ。 私がベンチに戻った時、苓さんの車が視界に入り、私のすぐ目の前の道路に止まった。 「茉莉花さん!お待たせしました、すみません!」 寒くなかったですか?と私を心配して駆け寄ってくれる苓さんに、ほっとしてしまう。 「苓さん。大丈夫です、わざわざ取りに行っていただいて、すみません」 「俺は全然。茉莉花さんのお家までお送りしますね」 「ありがとうございます」 「──
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-15
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73話

◇ 時は、少し遡りカフェ店内。 茉莉花を置き去りにしてカフェに入った御影は、涼子と一緒に席に座り、注文を済ませた。 「さっきはありがとう、直寛。……私、怖くて怖くて藤堂さんから隠れる事しかできなくって…」 「そうなるのは当然だ、涼子。今まで散々な目に遭ってきたのだし、それに…」 御影は、ちらりと涼子のほっそりとした腕に視線を向ける。 御影の視線に気付いた涼子は、苦笑いを浮かべつつ、御影の視界に入らないように自分の腕をさっと隠した。 「……熱湯をかけられて、火傷の痕まで残ってるんだ。……トラウマにもなる」 「でも、痕ももう薄っすら残ってるくらいだから……私も、藤堂さんを許さなくちゃね」 「涼子は優しすぎる。事件にすれば良かったんだ。もしかしたら握り潰されてしまったかもしれないが、両親に茉莉花お嬢さんの醜悪さを知らせる事はできただろう」 「でも…怖いわ。藤堂家は、凄く大きな家だし…権力だって、私の家とは桁違いだもの…」 ふっ、と悲しく笑う涼子の顔を見て、御影は益々怒りを抱いた。 いらいらしながら窓の外に視線をやって、そこで茉莉花の姿を見つける。 「──……」 だが、と御影は考える。 いくら涼子に酷い仕打ちをしたからと言って、先程のあれはやり過ぎたのでは、と思う。 あれだけ派手に転ばせてしまったのだ。 怪我はしているだろう──。 「涼子、少しだけ待っていてくれ」 「……?お手洗い?」 「ああ、そのようなものだ。注文品が来たら先に飲んでて」 「分かったわ、直寛」 涼子が笑顔で答えたのを見て、御影も頷いてその場を離れる。 (今回の件で、茉莉花お嬢さんが大怪我を負ったからと難癖を付けられて責任を問われても面倒だ。また婚約を結べと言われる可能性もある) 婚約破棄も、茉莉花の計算だろう、と御影は今も尚そう考えていた。 あれだけまとわりついてきたのだ。 それに、今回自分と涼子がこのカフェに来る事も調べて先回りしていた。 (ここで口先だけでも謝罪して、金輪際関わるな、ともう一度強く言っておけば、流石に茉莉花お嬢さんもつけ回す事をやめるだろう……) そう考えた御影が、茉莉花のもとに向かおうとカフェの出入口扉に手をかけた瞬間──。 苓が茉莉花に駆け寄って行くのが見えた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-15
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74話

◇ 車に乗り込んだ私と苓さん。 苓さんは、真剣な表情でアクセルを踏み込み、車を走らせた。 「近くの薬局で薬とガーゼを買いましょう。少しだけ我慢してくださいね」 「何だかすみません、苓さん。ありがとうございます」 「いえ。茉莉花さんの肌に傷が残ったら大変ですから」 真剣な表情で前を見据えていた苓さんが、薬局を見つけて駐車場に入る。 「すぐ買ってきますから、ちょっと待っててくださいね!」 「あっ、苓さ──」 私が呼び止める暇もなく、苓さんは慌てた様子でドアを開け、外に出て薬局に駆けて行ってしまった。 「もう…大した怪我じゃないのに…」 私の怪我を心配してくれて、あんな風に急いで薬局に行ってくれる苓さんに、私は何だか擽ったい気持ちになる。 私が怪我をしようが、冷たい態度を見せた御影さん。 逆に、少しの怪我でも見逃さずに心配してくれる苓さん。 私は苓さんの優しさに小さく微笑みを零して彼が戻ってくるのを待った。 「茉莉花さん、お待たせしました。痛みは大丈夫ですか?」 「苓さん。わざわざありがとうございます、大丈夫ですよ」 お店から出てきた苓さんが、紙袋を手に戻ってきた。 中から消毒液とガーゼ、そしてガーゼを止めるテープを取り出して、封を切る。 そこで、苓さんははた、と手を止めて困ったように私に視線を向けた。 「茉莉花さん…このままだと、上手くテープが貼れないかもしれません…」 「え…?あっ、そうですね。ストッキングが…」 確かに苓さんの言う通り、消毒は出来てもストッキングが邪魔をしてテープがしっかり止まらな
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-16
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75話

ビッ、とストッキングが破れる音が耳に届き、次いで消毒液が染みるピリピリとした痛みに、私は僅かに眉を寄せた。 「痛い、ですよね?すみません、もうちょっとだけ我慢して下さい」 「大丈夫です、ありがとうございます、苓さん」 苓さんは消毒を終えると、ガーゼを当て、手際よくテープで固定していく。 「できた。出先なので、応急処置しか出来てませんから帰宅したらしっかり手当を受けてくださいね」 「分かりました」 苓さんの言葉に頷く。 そして、私は自分の不注意でこんな事になってしまい、苓さんの手を煩わせてしまった事に自己嫌悪に陥った。 「すみません、せっかくカフェで楽しい時間を過ごしたのに、最後にこんな事になって…」 「大丈夫ですよ、気にしないでください」 苓さんは「それよりも」と、少し言いにくそうに言葉を濁した。 「茉莉花さん、どうしてこんな怪我を……?何かあったんですか……?」 ぎくり、と体が強ばる。 だけど私は笑みを浮かべて苓さんに答えた。 「ちょっと、転倒してしまったんです」 「ベンチに座ってたのに……?あの場所は道も平だったのに…茉莉花さんは落ち着いた人でしょう?だから、茉莉花さんが転倒してしまう何かがあったんじゃあ……?」 鋭いな、と思う。 確かに、私は子供の頃から活発な方ではなかった。 遊んで転んで怪我をする、なんて事は殆ど無かったし、大人になった今でも周囲の同年代の人と比べてみると落ち着いている、と言えるかもしれない。 怪我という怪我もした事がないのだ。 私が体を強ばらせた事に気づいた苓さんは「やっぱり…」と悲しそうな顔をして呟く。 だけど、苓さんにそんな顔をして欲しかった訳じゃない。 私は慌てて苓さんに告げた。 「すみません、ちょっと昔の知り合いと会って…急いで転んでしまっただけなんです」 落ち着きのない人だ、と思われてしまうだろうか。 苓さんにそう思われてしまうのは、何だか嫌だな、と思う。 けど、私の心配など杞憂だったかのように苓さんは納得してくれたようで、安心したように頷いた。 「それだったら…良かった、と言うのもおかしいですが…茉莉花さんが危害を加えられた訳じゃなくて良かったです。理由が分かって安心しました」 「落ち着きがない、と呆れましたよね…
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-16
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76話

藤堂家の駐車場に車が止まる。 苓さんが先に運転席から降りて、助手席のドアを開けてくれた。 「茉莉花さん、大丈夫ですか?」 「はい。ありがとうございます」 苓さんが差し伸べてくれた手のひらに、自分の手を重ねる。 すると、ぐっと引き寄せられて、あっという間に苓さんに抱き上げられてしまった。 「このまま家の中までお送りしますね」 「だ、大丈夫ですよ!?自分で歩けますし──」 「駄目です。茉莉花さん、消毒してる時痛がってたじゃないですか。あまり歩かない方がいいと思います」 真剣な表情で真っ直ぐ私の目を見て話す苓さんに、きっとこれ以上下ろして、と頼んでも聞いてくれないだろう、と悟る。 存外、苓さんは自分が決めた事を曲げる事はない、と出会ってまだ短い期間だけど、彼の性格が分かった私は、がっくりと項垂れた。 「茉莉花?どうしたんだい」 「あ──、お祖父様」 「お邪魔しております」 家に入ると、お祖父様が出迎えに来てくれて、苓さんに抱えられた私を見て目を丸くしていた。 苓さんはお祖父様に向かって頭を下げると、この状態の説明をしてくれる。 「藤堂会長、申し訳ございません。本日、茉莉花さんと一緒に出かけていたのですが、私の不注意で茉莉花さんが怪我をしてしまいました」 「──なに?」 苓さんの説明に、ぴくりとお祖父様の眉が動き、険しい顔になる。 このままだと、苓さんが私に怪我を負わせた、と勘違いしてしまう。 私はお祖父様に向かって口を開いた。 「お祖父様、苓さんのせいじゃないんです。苓さんが車を取りに行ってくれている間に、私の不注意で」 「……そうだったのか
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-17
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77話

部屋に着いた私たちは、苓さんにそのまま中まで入ってもらい、ソファのある場所まで運んでもらった。 「下ろしますね、茉莉花さん」 「ありがとうございます、苓さん」 そっと優しくソファに下ろしてくれた苓さんに、私はお礼を告げる。 苓さんは優しく私に笑い返し、すぐに部屋を出ようとした。 けど、このまま苓さんを帰してしまうのは流石に失礼過ぎる。 私は慌てて苓さんに声をかけた。 「れ、苓さん!お茶でも飲みませんか?今日のお礼もさせてください!」 「え?そんな、気にしないでください。茉莉花さんはしっかり手当をしてもらった方がいいですよ」 「苓さんが手当をして下さったから、大丈夫です。怪我をしてから移動するのも、苓さんが抱き上げて下さっていたから痛みもありませんし…だから、ぜひ」 私の言葉に、苓さんは迷うように視線を彷徨わせ、根負けしたように頷いた。 私は苓さんと隣合ってソファに座り、紅茶を振る舞う。 「海外の紅茶をお土産で頂いたんです。香りも味も良くて、最近のお気に入りなんです」 「確かに……凄く香りがいいですね。落ち着く、と言うか……」 「ふふ、味も確かなので期待してください」 ポットからお湯を注ぎ、蒸らす。 時間が経った事を確認して、私は苓さんのティーカップを彼に手渡した。 「苓さん、どうぞ」 「ありがとうございます、茉莉花さん。いただきますね」 私は笑みを浮かべたまま頷き、自分のカップに紅茶を注ぐ。 すると、苓さんが感動したように声を漏らした。 「──美味しいです」 「本当ですか?良かった……!気に入っていただけて嬉しいです」 私が苓さんに笑いかけると、苓さんも笑みを返してくれる。 世間話を交えながら談笑していると、紅茶を飲み終わった苓さんがカップをテーブルに置き、腰を上げた。 「茉莉花さん、ご馳走様でした。とても美味しかったです」 「いえ、とんでもないです……」 なぜだか、先程から苓さんの態度がそわそわしているような気がする。 どこか挙動不審な感じも見て取れて、私は苓さんにその理由を聞いてみた。 「苓さん、どうしてそんなに早く部屋から出たがっているんですか……?」 「──えっ!?」 いつも礼儀正しい苓さんが、こんなに慌ただしく出て行こうとするなん
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-17
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79話

苓さんは、私に危機感を持って欲しかったのかもしれない。 こんな風に言われてしまうから、気をつけて、と言う意味で窘めるつもりだったのだろう。 だけど、私は本気にして、本当に苓さんにキスをして──。 恥ずかしい!穴があったら入ってしまいたいくらいだわ! 私が自分の顔を両手で覆って羞恥に悶えていると、隣に座っている苓さんが身動ぎした気配が伝わる。 そして、苓さんが近付いてきたような気がして、私は指の隙間からちらりと苓さんを盗み見た。 「もっかい、茉莉花さん──」 「へ…っ?あ、ちょ……っ」 とろり、と蕩けたような苓さんの瞳。 ちらりと浮かぶ熱のような物を感じた瞬間、苓さんの顔が間近に迫った。 ふに、と柔らかな感触が私の唇に伝わる。 驚き、目を見開いていた私だったけど、何度もついばまれる内に、私もそっと目を閉じた。 どれだけの間、そうしていたのだろう。 気づいたら私の背中はソファの座る部分に付いていて。 私の体の上には苓さんが。 キスも、唇同士を擦り合わせるようなそれ。 あの夜のような深く絡め合うようなものではなくて。 可愛らしいちゅ、と言う音が何度も繰り返されていて、私も自然と苓さんのキスに応えてしまっていた。 1度、ぐっ、と長く唇を重ねられる。 「──んっ」 「……は」 そして、苓さんの顔が離れて行った。 私がぼうっとして苓さんを見上げていると、何とも言えない、何かを耐えるような顔をした苓さんが、ぎゅっとそのまま私を抱きしめてきた。 大きく息を吸い込み、ぐりぐりと私の肩に頭を擦り付ける。 「えっ、え?苓さん?」 「もう…、ほんと…っ、茉莉花さんは……っ」 「ちょっ、擽ったい…っ、ふふっ擽ったいです苓さん」 「可愛い事ばかりしないでください。俺の心臓が持たないです」 「か、可愛いって」 「こんな…こんな…、自分に好意を持ってる男を部屋に上げてっ、キスまでさせたら駄目なんですよ…あなたが危険な目に遭うかもしれないのに…っ」 ぎゅうぎゅう、と私を抱き締める苓さんの腕の力が強くなる。 私はそっと苓さんの胸元に顔を寄せた。 苓さんの心臓が忙しなく鼓動を刻んでいて、その音を聞いていると何
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-18
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80話

どすん!と大きな音が鳴り、びっくりした私はソファから身を起こす。 苓さんがソファから落ちてしまったのでは──。そう思った私は、苓さんに声をかけようとしたけど、私が声を発するより先に苓さんが口を開いた。 「きょ、今日はありがとうございました茉莉花さん。足の怪我、ちゃんと手当てを受けてくださいね。その…っ、俺はここで失礼します!また!」 「あっ、苓さ──」 苓さんは勢い良く頭を下げると、部屋の扉から素早く外に出て行ってしまった。 私は苓さんが出て行ってしまう姿をぽかんとしながら見送るだけしかできなくって。 苓さんが帰り、途端静かになった自分の部屋で1人きりになった瞬間、恥ずかしさがこみあがって来た。 「わ、私は…っ、さっきまで苓さんと…っ」 苓さんとこの部屋でしていた事を思い出し、ぶわわっと顔が真っ赤になる。 それに、苓さんは冗談のつもりでキスを強請った、と言っていた。 もっと危機感を持って、と私に言いたくて。 それなのに、私は本当にキスしてしまって──。 はしたない、と。 苓さんに呆れられていないだろうか、と不安になる。 けど──。 私は、自分の唇にそっと触れた。 「苓さんが、もう1回、って…キスしたもの…」 何度も何度も、唇が重なり合った。 あの夜のような深いキスじゃなかったけど。 可愛らしい音を奏でて、何度もついばまれて──。 そこまで思い
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-19
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