とろり、と甘さを含んだ瞳を向けられ、私は自分の胸がどきり、と脈打つのを感じる。 じり、と小鳥遊さんの瞳に確かな熱が灯ったのを感じて、私は咄嗟にその場に立ち上がった。 「そうだ!小鳥遊さん、別邸の中もご案内いたします!和風庭園も素敵ですが、中も素敵なんです!」 ぱっと小鳥遊さんを振り返り、そう告げた私に、小鳥遊さんはぽかんとしていたけれど、すぐに苦笑いを浮かべて「お願いします」と答えた。 小鳥遊さんの瞳に浮かんでいた熱が、今は消えていてほっとする。 あの目に見つめられてしまうと、どうしたらいいのか分からなくなってしまう。 戸惑うけど、決して小鳥遊さんの気持ちが迷惑じゃない。嫌でもない──。 嫌だったり、迷惑じゃない事が、信じられない。 そんな気持ちを誤魔化すように、私は小鳥遊さんの腕を手に取り、室内に入った。 和風庭園に合うように、別邸も純日本家屋。 室内に入ると、私たちを広い和室が出迎えてくれた。 「今は誰も使っていないんですね…」 「ええ。お母様が入院してから、お父様はここに来るのがお辛いらしくて…維持のために掃除や庭師が頻繁に来ているくらいです」 「一部屋一部屋、拘って作ったのが分かります。襖一つとってもそれが分かりますし、欄間もとても素晴らしいですね。自然光が入りやすく装飾も工夫されていて、採光の入り方をこの目で見てみたいです」 感心したように話す小鳥遊さんの言葉に、私も頷いた。 小鳥遊さんは興味津々といった様子で、室内を細部まで見て回り、楽しげに私にこの部屋の素晴らしさを説明してくれる。 その様子がとても楽しげで、聞いているこちらまで楽しくなってしまう。 「──それで……っ、失礼しました…さっきから俺ばかり喋っていて…楽しくないですよね?」 途中、自分だけが喋り続けている事に気付いた小鳥遊さんがはっとして口を噤んだ。 けど、謝って欲しくなくて、私は慌てて首を横に振った。 「いえ、とんでもない!小鳥遊さんのお話はとても興味深いですし、勉強になります。私も、もっと建築について学ばないと駄目ですね」 「茉莉花さんの知識は十分だと思いますよ?」 「いえ、まだまだです。先程、小鳥遊さんがお祖父様とお話している内容も、恥ずかしながら半分以上が分からない事でしたから…」 これか
آخر تحديث : 2025-11-09 اقرأ المزيد