美月side翌週の金曜日の夜、駅前の静かな居酒屋に入り、涼真の到着を待っていた。理恵が私の婚約破棄を告げると、涼真は驚いて言葉を失っていたそうだが、やがて「美月と会って話がしたい」と言ってくれた。涼真と別れてからしっかりと顔を合わせるのは一年半ぶりになる。お互い誤解を持ったまま別れていた可能性が強く、今日はどうしてもその誤解を解きたかった。「お待たせ―――――」スーツ姿の涼真は、どこかやつれて見え、少しよそよそしく私に声を掛けて向かいの席に座った。「大丈夫。来てくれてありがとう。飲み物、何か頼む?」「ああ、それじゃビールにするよ」店員を呼んで生ビールを二杯を頼むと、久しぶりの再会が気まずく、しばし沈黙の時間が流れていた。あっという間にビールが到着し、グラスを鳴らして乾杯をしてから一口飲むと、涼真が静かに口を開いた。「婚約、破棄したんだってな。理恵から聞いた」「うん。色々あって、自分が自分でなくなっていくのが怖くなって決心したの」「え、美月から破棄を言いだしたのか?」婚約破棄をしたこと
Last Updated : 2025-11-07 Read more