美月side「……はい、何でしょう」「あなたが、私との出会いを原動力に自分の人生を好転させたこと、そして自由を手に入れたこと。それは、本当に素晴らしいことです」世羅は一度言葉を切り、深く息を吸い込んだ。「ですが、先ほどもお伝えしたように、あなたの努力の結果なんです。私は、ちょっとしたきっかけに過ぎません。あなたには、自分の力で立つ強さがある。」昼間とは違う優しい口調だが、暗に『あなたは一人でも大丈夫』と突き放すような言葉にも聞こえて、世羅の瞳をまっすぐ見ていた。一人でも生きていける。自分は必要ないとでも言われる前に、この目に世羅の姿を焼き付けておこうと思った。「次にお会いする時、もうあなたは私に感謝を伝える必要はありません。次は、会えなかった期間、会社のためにどんなことをして、どう改善したか聞かせてください。私はあなたの憧れではなく、同じ時間を共有した知人としてあなたのことを聞きたい。」「……ありがとうございます。とても嬉しいです」憧れから知人への昇格、思ってもいなかった言葉に私の瞳は潤んで雫となって目の際に大きな粒となろうとしている。そんな私に、世羅は穏やかな笑みを見せた。「楽しみにしています。それでは、酒井さ
Last Updated : 2025-11-18 Read more