美月side「仕事場に個人的なことで来られるのは困るので突き放すような態度を取りましたが、あなたの言葉を全く聞く気がなかったのは悪かったと思いまして。同僚からあなたの会社の名刺を渡されて。昼間は、不快な思いをさせてしまいました。本当に申し訳ありません」世羅の落ち着いた誠意のこもった声が耳に響いた。「いえ、私こそ突然押しかけてしまい申し訳ございませんでした。悪いのは私です。ご丁寧にお電話ありがとうございます」「以前、名古屋の大学で行った講演会に来てくれましたよね?チケットなくされて困っていた」「そうです。その時、柳さんが関係者席に案内して下さって。あの日の講演会が、私の人生を大きく変えるきっかけになったんです」「……覚えています」世羅が、あの日の出来事を覚えていてくれたことが嬉しくて私の胸がじんわりと温かくなる。「私、あの日から誰かに流される人生はもう嫌だから変わろう。そう思って今まで生きてきました。それで、そのお礼をどうしても伝えたくて、今日……」私が一気に話すと世羅は静かに耳を傾けていたが、不意に話題を変えてきた。「&
Last Updated : 2025-11-13 Read more