Home / BL / 血と束縛と / Chapter 1091 - Chapter 1100

All Chapters of 血と束縛と: Chapter 1091 - Chapter 1100

1152 Chapters

第31話(6)

**** 翌朝、病院に向かう守光を見送った和彦は、慌しく出勤の準備を整える。 長嶺の本宅から出勤することは、すでにもう珍しくもなく、図々しい話だが、もう一つの自宅のような感覚さえある。だがさすがに、総和会本部からの出勤となると、勝手がまったく違う。 一挙手一投足を観察されているようでもあるし、主がいなくなった住居を、自分が自由に使える状況にあるというのも、なんだか居心地が悪い。そもそもこの特権は、和彦が守光のオンナであることで、得られているのだ。 いまさら、他人からどう思われようが、気にかける時期は過ぎているのであろうが――。 アタッシェケースを持って玄関を出た和彦を出迎えてくれたのは、守光の身の回りの世話をしている男だった。守光に同行するのかと思っていたが、あくまで男の仕事は、守光の住居空間を守ることにあり、この建物を一歩出てからのことは、護衛担当の者たちに任せるのだそうだ。「そうはいっても、病院は完全看護なので、護衛ができることは病院の外を張って、人の出入りを確認するだけです。検査の間は、千尋さんが付き添ってくださるそうですが」 エレベーターに乗り込みながらそう説明を受けた和彦は、総和会だけではなく、長嶺組も大変だなと思う。総和会にとっては会長である守光が、長嶺組にとっては跡目である千尋が気がかりだろう。この二人がともに行動するとなれば、普段であれば大勢の護衛が周囲を囲むのに、病院では二人だけなのだ。しかも夜は、守光は一人で病室で過ごすことになる。「それは心配ですね……」「長嶺会長の代になってから、総和会という組織そのものは融和を謳って、対外的には穏やかな姿勢を取っています。そのおかげで、敵対行動を取られることはずいぶん減りました。ただ、総和会を今の形に作り上げるために、長嶺会長自らは、厳しい姿勢を見せることがありました。我々が危惧しているのは、組織の外よりも――」 男はここで言葉を呑み込む。しかし和彦は、続きの言葉を察することはできた。これまで、守光本人だけではなく、賢吾や千尋もそれとなく匂わせてきたことだ。「今、長嶺会長に何かあれば、総和会内は
Read more

第31話(7)

 礼を言って車に乗り込むと、途端に疲労感に襲われる。それと同時に、こめかみがズキリと痛んだ。明け方まで何度も守光の様子をうかがっていたため、睡眠不足気味だということもあるが、外の曇天具合を見るに、気圧のせいかもしれない。 もしくは悪い前触れか、と考えたところで和彦は、これは不吉すぎるなと、ブルッと身震いをしていた。** 午前中の最後の患者の施術を終え、手を洗いながら和彦は一声唸る。すぐに治るかと思われた頭痛に、まだ苛まれていた。我慢できないほど痛いというわけではないが、神経に障る。 鎮痛剤を飲む前に、何か食べておいたほうがいいのだろうと思いながらも、外に出るのが億劫だ。なんといっても、クリニックの外で待機しているのは、総和会の護衛なのだ。男たちの視線を気にかけつつ食事をするのは気が進まない。仕方なく和彦は、近くのコンビニに弁当を買いに行くというスタッフに、自分の分も頼む。 平日は、自分の足で歩くといえばクリニック内がほとんどのため、昼食時は数少ない外の空気を吸う機会なのだが、そうもいっていられない。「……ああ」 デスクの引き出しに入れておいた携帯電話の電源を入れて、小さく声を洩らす。千尋からの留守電を聞いた和彦は、仮眠室に入ってから電話をかける。待ちかねていたように、千尋はすぐに電話に出た。「今、話して大丈夫なのか?」『うん。じいちゃんが使っている個室にいるから、平気。そのじいちゃんは、検査に行ってるよ。先生から説明受けたけど、心電図をとる機械をつけたまま、明日まで過ごすんだって』「それで、会長の様子は?」 一度はベッドに腰掛けた和彦だが、外が気になって窓を開けてみる。相変わらず天気は悪いが、雨は降っていない。午後から天候が荒れるのではないかと、ふと考える。昨日から今日まで気忙しく過ごしていたため、天気予報を見ていないのだ。『心配ないよ。調子が悪そうって感じでもないし、泰然自若としてる。むしろ俺のほうが、何かあるんじゃないかって、緊張で胃がキリキリしてさ』「怖いことを言うなよ。ぼくまで胃がどうにかなるだろ」『――心配してくれてる? じいちゃんと
Read more

第31話(8)

** 昼間飲んだ鎮痛剤が切れたのか、ふいにズキリと頭が痛む。疲れと眠気の両方から、後部座席のシートにぐったりと身を預けていた和彦は、沈鬱なため息をついた。 自宅マンションに帰り着いたら、さっさと鎮痛剤を口に放り込み、ベッドに潜り込みたかった。少し休まないと、思考が正常に働きそうにない。 さらに深くシートにもたれかかろうとした和彦だが、車が本来曲がるはずの道をまっすぐ進んだことで、目を見開く。まさか、と思って口を開きかけた瞬間、間が悪いことに携帯電話が鳴った。反射的にジャケットのポケットに手を突っ込もうとして、携帯電話の着信音が違うことに気づく。 微妙な表情となって和彦は動きを止める。ハンドルを握る男が、バックミラー越しにこちらを一瞥した。早く出ろと急かすように鳴り続ける着信音に我慢できず、仕方なくアタッシェケースを開け、もう一台の携帯電話を取り出す。里見との連絡に使っているものだ。 表示されているのは、里見の携帯電話とは別の番号だった。『感心だな。番号を替えなかったのか』 電話に出ると、前置きもなしに皮肉に満ちた口調で言われた。ここでまた頭が痛み、和彦はなんとなく理解した。朝から悩まされていた頭痛は、確かに悪い前触れだったのだ。 総和会の車に乗っている最中に、英俊から電話がかかってきたのだ。組み合わせとしては、最悪だ。「替えたところで、里見さんに迷惑がかかるだけだと思ったからね。だけど、こうして声を聞くと、やっぱり替えておけばよかった」『プリペイド携帯だと、いくらでも替えがきくだろ。――携帯の番号から、少しは何かわかるかと期待したこともあったんだがな。お前にあれこれアドバイスしている人間は、慎重だ』 そんなことまでしていたのかと和彦は絶句すると、気配から察したのか、楽しげに囁くような声で英俊が言った。『――お前、自分の父親が、どの省庁で権力を振るっているのか、忘れたわけじゃないだろ。今は、わたしがお前を追っている。しかしわたしも、暇ではないんだ。いい加減、厄介事を片付けたいと思っている』「つまり、これまでは本気でなかったと言いたいのか」『兄弟で平和的な話し合いがケリがつくなら
Read more

第31話(9)

「父さんが失いたくないのは、〈佐伯和彦〉だ。手に入れるために、あの父さんが奔走したぐらいだそうだし」『どうして――』 英俊が何か言いかけたが、和彦のペースに巻き込まれていることに気づいたのだろう。一呼吸間に、いつもの落ち着きを取り戻していた。『今、お前の面倒を見ているのが、どれだけ頼りになる人間かは知らないが、ずいぶん強気だな。だが――父さんは甘くはないぞ。わたしと違ってな』 さきほどの英俊の宣言めいた言葉も相まって、不穏な影に足首を掴まれたような感覚に襲われる。英俊は、苦し紛れのこけおどしなどしない。こうも俊哉の存在を仄めかすということは、何かが、あるのだ。『お前の発言は、しっかりと父さんに伝えておく』「……携帯の番号は、替えるから」『別に、替えなくていいぞ。わたしはもう、かけるつもりはない』 唐突に電話が切られる。和彦は、耳元から引き剥がすように携帯電話を離すと、そのまま少しの間、ぼうっとしてしまう。我に返ったのは、運転手の男に呼ばれたからだ。「――佐伯先生」 ハッとした和彦は、前方を見る。「到着しました」 車は、総和会本部の前に停まっていた。 朝の時点で和彦は、漠然とした不安は感じていたのだ。総和会は、自分を自宅マンションに送り届けるつもりはないのではないか、と。その不安は的中したというわけだ。 和彦は手にしていた携帯電話の電源を切ると、アタッシェケースを持って車を降りる。ここで抗議をするほどの気力は、和彦には残っていなかった。** 身の置き場がないとは、まさに今の自分の状況を指すのだろう。 ダイニングのイスに腰掛けた和彦は、手持ち無沙汰から鎮痛剤の箱を手の中で弄ぶ。夕食後に飲んだ鎮痛剤はとっくに効き目が表れ、今のところ頭痛は治まっている。英俊と話して興奮したせいか、一時は吐き気がするほどひどかったのだ。 風邪の症状が出ているわけでもないので、たっぷり睡眠を取れば、さほど気にするほどでもないはずだ。そう、考えていたのだが――。 本来であれば、自宅マンションで一人、ゆっくりと落ち着
Read more

第31話(10)

 長嶺組から連絡が入るかもしれないと、携帯電話を枕元に置いた和彦は、今夜はもう休むことにする。 万が一を考えて窓を開けるわけにもいかず、仕方なくエアコンはつけたままにしておく。月明かりは今夜は期待できないため、部屋の電気を消したあと、布団の傍らにあるライトの明かりを最小限に絞ってつけておく。そうすると、横になっても、床の間の掛け軸をぼんやりとながら眺めることができるのだ。 蒸し暑い日に、どこか池のほとりを散歩してみるのもいいなと、取り留めのないことを考えていた。子供の頃、少しだけ憧れていた、大きな水槽に金魚を飼ってみるのもいいな、とも。 肌掛け布団に包まって、心地のよい夢想に浸っているうちに、抗いきれない眠気がすぐに押し寄せてきて、和彦の意識を搦め捕る。 どれぐらいウトウトしていたか、唐突に、不快感にじわじわと眠りを侵食されていることに気づいた。 頭の片隅で、これは一体なんだろうかと思った和彦だが、その頭が痛かった。鎮痛剤の効き目が切れたのだと、鈍い思考でようやく結論を出したとき、頬に微かな風が触れる。エアコンの風ではないと、本能的に判断していた。 和彦は目を開けると同時に飛び起き、這うようにして逃げようとしたが、すかさず腰を掴まれた。「離せっ」 身を捩り、尚も抵抗しようとしたが、それ以上の力で引き戻され、南郷に顔を覗き込まれると、一瞬にして動けなくなった。 このとき、ズキリと頭が痛み、記憶がフラッシュバックした。頭痛と南郷という組み合わせは、総和会の隠れ家での出来事を思い出させるには十分で、ここで和彦は理解した。 朝から感じていた悪い前触れとは、英俊からの電話などではなく、今この瞬間のことだったのだと。「――あんたは本当に、躾がいい。こちらが凄むまでもなく、一瞬にして抵抗の無益さを理解する。可愛がられるオンナの条件というやつか。まあ、このきれいな顔を、喜んで殴る悪趣味な奴なんて、そうそういないだろうが」 南郷のこの言葉は、決定的だった。体はすでに竦んで動かないが、抵抗しようとする気力すら、呆気なく粉砕される。 和彦が逃げないと確認したのだろう。腰に回した腕を離した南郷は、悠然と布団の上にあぐらをかいて座っ
Read more

第31話(11)

 喉元にかかった南郷の手が動き、浴衣の合わせから入り込む。胸元を手荒な手つきで撫で回されているうちに、和彦の意思とは関係ない反応として、胸の突起が凝っていく。それを待っていたように南郷の指に摘み上げられた。痛みを感じるほど強く抓られ、喉の奥から声を洩らす。「……優しくしてほしいか、先生?」 揶揄するような口調で南郷に問われ、和彦は顔を背ける。かまわず南郷が続けた。「優しくしてほしいなら、俺にも優しくすることだな」 再びあごを持ち上げられ、唇を塞がれる。同時に指の腹で胸の突起をくすぐられ、和彦はビクリと背を反らした。南郷に唇を吸われ、おずおずと吸い返す。すぐに南郷の口づけは熱を帯び、その熱に和彦は感化される。 帯を解かれ、浴衣を肩から落とされながら、南郷と唇を吸い合ってから、舌を絡める。胸の突起を指で挟まれ、くんっと引っ張られる。小さな疼きが胸に生まれ、和彦の呼吸が弾んだ。 南郷に抱き寄せられたまま、布団の上にゆっくりと押し倒され、のしかかられる。急に怖くなって南郷の下から抜け出そうとしたが、本気ではない和彦の抵抗を封じるなど、造作もないことだろう。南郷は喉を震わせるように笑い声を洩らし、露わになった胸元をベロリと舐め上げてきた。不快さに、一瞬息が詰まる。「――先生、聞きたいことがある」 顔を強張らせる和彦にかまわず、浴衣を脱がせながら南郷が話しかけてくる。「今日、クリニックからの帰りの車の中で、あんたが電話で話していた相手は、あんたの兄貴、でいいんだな?」「……そんなことまで、報告を受けているんですか」「あんたは、総和会にとって大事な会長の、オンナだ。そのうち、ビジネスパートナーにもなるようだが。とにかく、あんたも大事な存在だ。守るうえで、あれこれと知っておかないとな」 南郷の手が下着にかかり、さすがに制止しようとしたが、ささやかな抵抗など嘲笑うように一気に引き下ろされ、脱がされていた。南郷の前に裸体を晒し、たまらず和彦は顔を背けたが、視線の先には、掛け軸の中の金魚がいた。「電話の相手は……兄です」「揉めていたよ
Read more

第31話(12)

「ひっ……、あぁっ、それ、嫌っ……」 柔らかな膨らみをゾッとするほど優しい手つきで包み込まれ、和彦は上擦った声を上げる。与えられる感覚を予期しただけで、腰が震える。なんとか腰を上げようとして、すかさず南郷の指が妖しく蠢いた。「うっ、うぅっ」 指先で弱みを探り当てられ、弄ばれる。「総和会も長嶺組も、あんたと、あんたの実家のことは徹底的に調べ上げている。隙のない、完璧なまでの名家だ。オヤジさんは個人的に、あんたの父親について知っているようだが、詳しいことは俺も教えてもらっていない。ただ、絶対に佐伯家に手を出すなと厳命されている」 容赦なく与えられる刺激に、和彦は必死に南郷の手を押し退けようとしたが、少し乱暴な手つきで柔らかな膨らみを揉みしだかれ、結局南郷の腕にすがりついていた。「……本当に、よく躾けられている体だ」 そう言って南郷が、反り返って震える和彦の欲望を軽く扱く。「しっかりしろよ、先生。まだ、ここからが本番だ」 怖い囁きに体が震える。だが、体の奥で肉欲のうねりが生じたのも確かだ。「代々続く名家に生まれた、頭もいい色男のあんたが、どういう理由で親兄弟と距離を置きたがるのか。生まれも育ちも、俺とまったく対照的なあんたが、今はこうして俺の腕の中にいる。その過程にあるものが、知りたくて仕方ない。――先生、あんたのことが知りたいんだ」 囁かれ、頬に手がかかって顔を横に向けると、南郷に唇を塞がれる。執拗に柔らかな膨らみを攻められ、半ば恫喝されるように南郷と激しく唇を吸い合い、舌を絡める。 長い口づけの最中、南郷に手を取られ、和彦は自身の欲望を握らされた。すっかり熱くなった欲望の先端からは、快感を知らせるしずくが垂れていた。「オンナのあんたが、ここを熱くして欲情している姿は、いやらしくて気に入っている。最初は、男の体になんてさほど興味はなかったんだがな。興味があったのは、長嶺組長やその跡目、うちのオヤジさんが骨抜きになっているオンナという存在に対してだった。……そのうち、俺もなるかもな」 骨抜き
Read more

第31話(13)

「よく似合ってる。普段、澄まし顔のあんたを知っているせいか、たまんねーものがある」 組み紐を結んだ南郷の興味は、さらに奥にある場所に移る。尻の間をまさぐられ、内奥の入り口を軽く擦り上げられただけで、和彦は腰を揺すって反応していた。「あっ、嫌っ……、触らないで、くださいっ……」「さっきもそんなことを言ってたが、ずいぶん感じてたな。嫌がるということは、感じすぎると自分でわかっているということか。まあ、俺もさんざん触ってきたから、知ってはいるんだが」 南郷が指にたっぷりの潤滑剤を取り、再び尻の間をまさぐってくる。ひんやりとした感触に身震いするが、かまわず南郷は内奥の入り口をまさぐりながら、潤滑剤を塗り込めてくる。そして、太い指がヌルリと内奥に押し入ってきた。和彦は異物感に呻き声を洩らし、南郷の腕に手をかける。爪も立てていたが、意に介した様子もなく南郷は指を付け根まで埋め込んだ。 滑る指に、襞と粘膜を撫で上げられ、背筋に強烈な疼きが駆け抜ける。内奥は必死に南郷の指を締め付けていた。「やっぱり好きだろ。こうやって、尻を弄られるの。必死に締め付けてくるぜ。これならすぐ、二本目もいけそうだな」 言葉通り南郷が指の数を増やし、内奥の入り口を押し広げられる。自分の秘部が容赦なく男の指で犯される光景を、必死に視覚しないようにしていた和彦だが、淫靡に湿った音を立てながら、内奥を指で掻き回されるようになると、無関心を装うことは不可能だった。 背けていた視線を自分の両足の間に向けると、組み紐で絞め上げられた欲望が、先端から透明なしずくを滴らせていた。苦しいはずなのに、明らかに快感で反応している。南郷はまるで見せつけるように、内奥から大胆に指を出し入れしていた。「はっ、あぁっ、あっ――……」 深々と押し込まれた指が、狭い内奥で曲げられる。思いがけず中を強く刺激され、甲高い声を上げた和彦はビクビクと腰を震わせていた。数瞬、頭の中が真っ白に染まる。 気がつけば、上体を捩り、南郷の胸にすがりついていた。内奥から指を引き抜いた南郷が唇の端に笑みを刻み、ひそっと囁いてきた。
Read more

第31話(14)

 両足を押し広げられても、和彦は抵抗できなかった。内奥から溢れ出るほどの潤滑剤を施されながら、屈辱と羞恥を嫌というほど味わわされたが、それでも、恐怖や嫌悪感は一切なかった。発情してひくつく和彦の秘部のすべてを目にしながら、南郷が、和彦以上に発情していたからだ。 組み紐を巻き付けたまま、反り返って空しく震える欲望をてのひらで擦り上げ、ときおり痙攣する紅潮した内腿を撫で回し、たっぷり潤い、充血して蠢く内奥の入り口を視姦してくる。柔らかな膨らみにまで潤滑剤を垂らされ、てのひらで丹念に揉み込まれると、和彦は悲鳴を上げて乱れていた。「あっ、あっ、やめ、て――」 強い快感に哀願を繰り返したが、そんな和彦を見下ろしながら、南郷は卑猥な道具を内奥に含ませてきた。「ひっ……」 張り出した部分で内奥をこじ開けられて、腰を揺する。すぐに道具が引き抜かれ、また含まされた。弱い部分を執拗に張り出した部分で擦られ、和彦は短く呻き声を洩らし、下腹部をビクッ、ビクッと震わせる。欲望に食い込んだ組み紐が痛くて仕方ないが、その痛みすら凌駕してしまうほど、内奥を嬲られて、気持ちよかった。「――先生」 そう呼びかけてきた南郷に顔を覗き込まれる。緩んだだらしない顔を見られたくなくて、横を向こうとしたが、内奥にわずかに道具を押し込まれ、声が洩れた。「俺を見ろ、先生。今のあんたは、絶対俺に逆らえない。意地を張るだけ無駄だ」 円を描くように内奥で道具を動かされ、潤んだ吐息をこぼす。南郷に軽く唇を吸われ、仕方なく視線を向ける。今度は痛いほどきつく唇を吸われ、同時に道具の侵入が深くなる。見つめ合ったまま唇を吸い合い、忙しく呼吸を繰り返していた。「ひあっ、あっ、はあっ、あぁっ……」 内奥深くまで挿入された道具は、南郷の分身だった。力強く律動を始め、潤滑剤によって潤んだ襞と粘膜を、硬い感触で擦り上げることによって、敏感に、淫らに変化させていく。和彦はその律動を受け入れ、自ら大きく両足を開き、腰を揺らして歓喜していた。「……オモチャで、この乱れっぷりか。本当にあんたは、いいオンナだ。体を繋いで
Read more

第31話(15)

 閉じきらない淫らな肉の洞に三本の指が挿入され、喘ぎ声をこぼしながら締め付ける。淫靡な濡れた音を立てながら、大胆に掻き回されていた。和彦は腰を揺らしながら、嬉々として乱暴な愛撫を受け入れる。そして、また絶頂に達する。 小刻みに震える和彦の胸元を舐めながら、南郷は残酷なほど淡々とした手つきで、内奥に再び道具を挿入してきた。 もう許してほしいと、哀願した。しかしそれは、南郷の欲情と加虐性を煽っただけだった。** 深く息を吐き出した和彦は、ゆっくりと目を開く。たった今眠ったと思ったのに、もう目が覚めたと感じる物足りなさがあった。体中がまだ眠りを求めている。そのせいか、すぐには体が動かない。 目を瞬きながら、室内が薄ぼんやりと明るくなっていることから、まだ明け方なのだと認識した。次に、床の間に掛けられた、金魚の掛け軸に気づき、意識しないまま口元に笑みを浮かべる。ただし、寝起きの幸福感を味わえたのは、ここまでだった。違和感に気づいたのだ。 目の前に、大きな手があった。明らかに自分の手ではなく、和彦は軽く混乱したが、自分の状況を一つずつ確認して、理解した。 和彦は、太く逞しい男の腕に、頭をのせているのだ。背に感じるのは、硬い壁などではなく、厚みのある男の体の感触だ。耳元では、深くゆっくりとした息遣いを感じる。体を強張らせた和彦は視線を動かし、布団の傍らに置かれた漆塗りの文箱を見つけた。 この時点で和彦の脳裏に、昨夜の自分の痴態が生々しく蘇っていた。 まだ、欲望の種火が体の奥に残っている。わずかに身じろいだ拍子に和彦はそのことに気づき、うろたえる。同時に、自分が何も身につけていない状態なのに、腕枕をしている男は服を身につけていることに、いまさらながら強い羞恥を覚えた。 南郷は、和彦を嬲り続けながら、身につけているものを一切脱がなかった。佇まいはまったく違えど、守光と同じなのだ。 和彦は起き上ろうとしたが、背後から突然声が上がり、身が竦んだ。「――まだ、起きるには早いぞ、先生」 怖くて、自分から振り返ることができなかった。耳元で男が――南郷が短く笑い声を洩らした。「昨夜のあんたは、たまら
Read more
PREV
1
...
108109110111112
...
116
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status