自分は被害者どころか、鷹津の共犯者だ。 苦々しさを噛み締めながら和彦は、自身に言い聞かせる。物騒な男たちに守られる日常生活を取り戻しながらも、まるで棘が刺さっているかのようにときおり痛みを発するのは、俊哉の存在だ。 接触したことを口外しないのは誰のためなのか、すでにもう和彦にもわからなくなっていた。今の生活を失いたくないと思う一方で、沈黙を続けることは、長嶺の男たちを危険に晒す。だが話してしまえば、鷹津に対する追跡は厳しさを増すかもしれない。 思索の迷路に入り込みそうになったところで、中嶋が立ち上がった気配にハッとする。「ツマミがなくなってきたんで、持ってきますね」 空いた皿を手に中嶋の姿がキッチンに消えると、一度はグラスに視線を落とした和彦だが、すぐにうかがうように秦を見る。物言いたげな和彦の様子にとっくに気づいていたらしく、首を傾げて笑いかけられた。「中嶋がいると聞きにくいことがあるんでしょう、先生」「……察しがいいな」「あいつはあいつで、聞いた以上、総和会に報告せざるをえなくなりますから、わざと席を外したんだと思いますよ」 そういうことかと、ちらりとキッチンのほうを見遣る。 ためらったのはわずかな間で、和彦は声を抑えて秦に尋ねた。「――鷹津から、何か聞いてないのか?」「何か、とは……」「なんでも。どうして、あんな行動を取ったのか。警察を辞めてどうするのか。……どこに行くのか」 秦は小さく首を横に振る。「皆さんから聞かれましたが、わたしは何も。そもそも、大事なことを打ち明けてもらえるほど、わたしは鷹津さんに信用されてはいませんでしたから」「でも、仲はよさそうに見えた……」 和彦の率直な感想に、秦はなんとも複雑そうな笑みを見せた。「鷹津さんには、よくタダ酒を集られました。いつも不機嫌で、他人を一切信用してなくて、そのくせ、他人を利用する気満々で。世間一般では、〈嫌な人間〉と呼ばれるでしょうね。だけどわたしは、そういう鷹津さんをけっこう
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