「先生が鷹津に連れ去られたと聞いたとき、俺は、もう二度と先生に会えないんじゃないかと絶望しかけていた。鷹津は事前に準備をしていた。つまり、覚悟を決めていたということだ。だが、あいつは先生を解放した。……意味がわからない。いや、何か意味があるからこその行動だろう」「それは――、組長たちにも何度も言ったが、鷹津が何を思ってあんなことをしたのか、ぼくにはわからない。ただ連れ回されて、ホテルに一泊しただけだ」「一緒に逃げようと言われなかったか?」 三田村に対して、いくつもの隠し事はできなかった。「言われた」 和彦は、快感に酔わされていたとはいえ、鷹津のその誘いに頷いた。いまさらながら罪悪感に気持ちが揺れかけたが、三田村の唇が耳元に這わされ、その感触に気を取られる。「――でも、先生はこうして、俺の側にいてくれている。先生とあいつとの間にどんなやり取りがあったのか、根掘り葉掘り聞くつもりはない。俺には、今こうしている瞬間が、何より大事だ。先生を抱いているのは鷹津じゃなく、俺だということが」 誠実で優しい男が示す独占欲は、控えめではあるが、静かな情熱を確かに感じさせる。今はこの男だけを見つめて感じていたいと、強く和彦は願う。すると三田村が、不安そうに顔を覗き込んできた。「先生、気を悪くしていないか?」「まさか。……でも、あんたのせいで、自分がますます傲慢な人間になっていくのが怖い。たくさんの男と関係を持っているのに、それでもあんたが想ってくれて。いつか、呆れられて、大事なオトコもなくしてしまうかもしれない」「なんの心配もいらない。俺は、先生から要らないと言われても、離れるつもりはない。それこそ執念深すぎて、先生のほうが、呆れるかもしれないな」 三田村の言葉に心底ほっとする。長嶺の男たちのことを言えない。和彦は、欲しい返事を三田村からもぎ取ったのだ。「……三田村、背中、撫でたい」 甘えるように訴えると、握り合っていた手を離して三田村が上体を起こす。勢いよくTシャツを脱ぎ捨ててから、和彦のシャツも脱がせてくれた。 重なってきた熱い
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