一度気づいた可能性は、和彦の中で不穏な触手を伸ばしていた。 自分の父親が、現在、自分をオンナにしている男と、かつて肉体関係にあったなど考えたくはない。しかし、頭から振り払えないのだ。 おぞましいと身震いをした次の瞬間、では自分の現状はなんだと自問し、ここで和彦の思考は停止する。そこでまた、俊哉と守光の関係について、一人では答えの出せない思索に耽る。その繰り返しだ。 若い頃の俊哉が、かつて面倒事を守光に処理してもらったことは、守光自身の口から教えられた。そのとき和彦は、〈縁〉による二つの家――というより、二人の男の意外な繋がりにただ驚いたのだが、今となっては、守光は何か含みを持たせていたのではないかと疑わずにはいられない。 それともただの考えすぎなのだろうかと、一縷の望みにすがるように思ったりもする。 俊哉が若かったということは、当然守光も若く、今のように刺青を隠したりはしていなかったのかもしれない。千尋が知らないだけで、当時は他人に気安く肌を見せていた可能性だってある。だが、エリート官僚である俊哉が目にする可能性は、どれぐらいになるのか。 和彦は胸苦しさを覚え、ふっと息を吐き出す。自分は父親を信じたいのか、それとも貶めたいのか、それすら判断できないということは、まだ頭も気持ちも混乱しているのだ。 わかりきったことを自分の中で確認した和彦は、何げなく視線を上げてドキリとする。御堂が真剣な顔をしてこちらを見ていた。目が合うなり、すかさず指摘される。「――今晩は、心ここにあらずといった感じだね」 動揺した和彦は反射的に視線をさまよわせたあと、すみませんと小声で謝罪する。「何か気になることがあるみたいだ」「いえ、そんな……」 一緒にいるのが御堂だからと、安心感からつい気を抜いていたらしい。和彦は座椅子に座り直すと、グラスを取り上げる。ワインを勧められたが、今日は冷茶にしてもらった。 目の前にはすでに料理が並び、最近肌で感じている秋の訪れを、使われている食材でも知ることができる。お茶を一口飲んでグラスを置いた和彦は、飾りとして添えられている紅葉を指先でつついた。 今日、いつも
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