Beranda / BL / 血と束縛と / Bab 81 - Bab 90

Semua Bab 血と束縛と: Bab 81 - Bab 90

242 Bab

第3話(21)

「信じられるか……。ヤクザが口にする言葉なんて」「ヤクザだって、形式は重んじる。特に、総和会が絡むときはな。あそこは、十一の組の守り神みたいな顔をしているが、裏を返せば、過干渉の疫病神みたいな面もある。だからこそ、先生には先に、長嶺組の加入書に名前を書いてもらう必要があった」 賢吾の話を聞いて、数日前、千尋が言っていたことを思い出した。あのとき千尋は、和彦が総和会に『召し上げられる』という言葉を使った。今の賢吾の話は、そのことに関わりがあるのかもしれない。「先生が、実は長嶺組と縁を切りたがっていると知って、さっき事務所で会った藤倉が、食えない顔をしていたぞ。今頃、ほくそ笑みながら総和会に連絡を取っているかもしれない」「……総和会の加入書に先に名前を書いたら、どうなってたんだ」「総和会の幹部の誰かのオンナにされたかもな」 和彦が眉をひそめると、賢吾はニヤリと笑う。「消耗品扱いだろうな。それなりの報酬はくれるだろうが、少なくとも自由はない。部屋に閉じ込められたうえで、ただ仕事をさせられる。痛いのは嫌いだと言っても、暴力も振るわれることもあるだろうし」「その言葉のどこまでが、本当だろうな……」「ああ、用心深いのはいいことだ。長生きできる確率が少しだけ高くなる」 指に唇を割り開かれ、すでに気力を使い果たした和彦は、賢吾を見上げたまま素直に口腔に含む。これは賢吾なりの、〈オンナ〉の服従心を試す儀式のようなものなのだと思い始めていた。 舌を刺激されてから、上あごの裏を指の腹で擦られると、ゾクゾクするほど敏感に感じてしまう。和彦の反応から察したのか、賢吾は低い声をさらに低くして言った。「ただ、お前ならわかるだろう。――今、感じるセックスを与えてくれているのは誰か、ってことは」 和彦が目を見開くと、満足したように賢吾は口腔から指を引き抜く。しかも、和彦の唾液で濡れた指をこれみよがしに舐めた。和彦の体の奥で、淫らな衝動が蠢く。 賢吾はさらに何か言いかけたが、携帯電話の呼び出し音が響いた。ドアを開けたまま部屋の外で待っている組員のも
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-29
Baca selengkapnya

第3話(22)

**** エントランスに下りて待っていると、約束の時間通りに車はやってきた。しかも二台。なんだか大事だなと思っていると、一台の車のウィンドーがわずかに下ろされ、そこから覗いた指が和彦を呼ぶ。すぐに表に出て、素早く後部座席に乗り込んだ。 「――少しはマシな顔になったようだな」  開口一番の賢吾の言葉に、和彦は軽く眉をひそめる。 「マシ?」 「鬱屈が晴れたような顔ってことだ」 「……昨日、思っていることをぶちまけて、多少はすっきりしたのかもしれない」  答えながら和彦は、自然な素振りを装いつつ、ハンドルを握る三田村へとちらりと視線を向けた。三田村の後ろ姿は何も語らないし、バックミラーにわずかに映る目も、前を見据えたまま動かない。 「いいことだ。俺のオンナに、不景気なツラはしてもらいたくないからな」 「あんたにそう言われるたびに、眉間のシワが深くなる気がする……」 「おお、いつもの調子が出てきたじゃないか、先生」  楽しげにそう言った賢吾を横目で睨みつけた和彦だが、気がつけば、口元に淡い笑みを浮かべていた。といっても、苦笑のほうだ。  賢吾のことを、嫌になるほど頑丈な男だと思っていた。肉体的なことを言っているのではなく、精神的にタフだという意味だ。成人した男一人を表の世界からさらってきて、裏の世界に沈めるどころか、自分の〈オンナ〉だと言い切る。挙げ句、息子との共同所有にまでしてしまった。  とことんまで和彦の意思など無視して、好き勝手に話を進め、決めて、呑ませてしまう。そこに、罪悪感の存在など微塵も感じさせない。和彦の当然の訴えすら、跳ね返す。  大蛇を背負った化け物みたいな男とまともにやり合っていては、こちらの精神がポキリと折れてしまう。  昨夜、広いキングサイズのベッドの上を一人で転がりながら、和彦は渋々、この事実を受け入れていた。  自分はもっと賢くならなければならない。それに、したたかにならなければ――。 「――本当に今日は、いい顔をしている」  和彦の頬をスッと撫でて、賢吾が耳元に顔を寄せてくる。突然のことに驚いた和彦は目を見
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-30
Baca selengkapnya

第3話(23)

「――総和会が、お前に目をつけた。仕事を依頼してきたときに、嫌な予感はしたんだ。自由に使える医者を抱え込めるなんて、そうないからな。しかも、完全に長嶺組の身内というわけじゃない。話があると言って、にこにこと愛想よくうちの事務所に来たと思ったら、総和会で先生を預からせてくれないかと言ってきたんだ」  三田村の話では、総和会と所属している組の間では、物品や人材を融通し合うと言っていた。しかし、賢吾の言い方は、融通というより徴収だ。召し上げるという千尋の表現は正しかったのかもしれない。 「無碍に断ることができないから、俺たちの見ている前で、加入書に署名させることになったんだ。総和会の言い分としては、一般人を脅して仕事をさせているんなら、規約違反として、総和会で先生の身柄を保護するってな。お前が自分の意思で署名するなら、引き下がるかと思ったが――」  和彦は思い切り逆上して拒否した挙げ句、逃げ出した。  うろたえる和彦の唇を、賢吾は指で何度も撫でてくる。 「少しばかり事態がややこしくなった。どう責任を取ってくれるんだ。先生」  恫喝するような口調とは裏腹に、賢吾は笑っていた。  ようやく唇から指が離され、和彦は口を開くことができる。 「……自分の理屈ばかり言うな。もしかすると総和会のほうが、長嶺組より居心地がいいと、ぼくが感じるかもしれないだろ」 「ヤクザが言うことだから信用できない、か?」  和彦は、今言ったようなことを本気で思っているわけではない。これは、駆け引きだ。総和会などというわけのわからない組織に目をつけられて怖いから守ってくれと、面と向かって賢吾に言えるはずがない。なんといってもこの男も、筋金入りのヤクザなのだ。  だが少なくとも和彦は、賢吾を知っている。肌や筋肉の感触、体を這い回る唇や舌の感触を。おぞましいのに艶かしい刺青も。  気を悪くしたふうもなく賢吾は頷いた。 「――これから行くところを見てから、答えを出せばいい。長嶺組と総和会、どちらがより、自分を満たしてくれるかな」  賢吾の提案に、ぎこちなく和彦も頷いた。**** 大通りから
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-30
Baca selengkapnya

第3話(24)

 エレベーターを六階で下りると、さほど広くないエレベーターホールは電気がついていないせいもあり少し薄暗かったが、廊下に出ると、外からの陽射しをたっぷり取り入れているため明るかった。ビルの前を歩道と車道が通っているが、遮音は万全のようだ。  廊下の先にホールがあり、そのホールに面して六つのドアがあった。かつて入っていたテナントの名残りか、ドアにはプレートが貼ってあった形跡がある。 「前まではこのフロアに、小さな会社が二つ、三つ入っていたらしい。会社として考えると、部屋の一つ一つは手狭だが、このフロア全体をクリニックにすると、広さはちょうどいい。診察室に手術室、安静室に事務室――。このホールは待合室でいいな。この廊下の奥にもう一部屋あるが、そこを寝泊りできる部屋にするのもいい」  和彦はホールの中心に立ち、ゆっくりと周囲を見回す。いままで賢吾とともに物件を見てきたが、こんないい場所を和彦にいままで秘密にしていたのだ。多分、和彦が一目で気に入ると確信があったのだろう。実際、その通りだった。 「美容外科の看板を出す以上、いい加減なクリニックにはできないからな。ここは、目くらましのための舞台のようなものだ。若くてハンサムな先生が切り盛りして、せいぜいいい評判を立ててくれ。ヤクザと繋がっているなんて、一切匂わせないぐらいのな」 「……こちらが努力しても、一目見て怪しい人間が頻繁に出入りしていたら、すぐに感づかれるんじゃないか」 「このビルには非常階段が二つある。他の階は、その非常階段に通じるドアが塞がれていて使えない。だが、この六階からは――」 「呆れた。用意周到すぎるな」 「ヤクザだからな」  賢吾なりの冗談なのだろうかと、思わず和彦はまじまじと見つめてしまう。そこに、このホールにやってくる足音が聞こえてきた。三田村だ。ビルの隣の駐車場に車を停めてから、上がってきたのだ。  三田村がやってくるのを待っていたように、急に賢吾がドアの一つに歩み寄り、ポケットから取り出した鍵で開ける。手招きされるまま和彦が歩み寄ると、肩を抱かれて部屋に足を踏み入れた。  正面に大きな窓があり、しかも景色が開けている。六階ということもあり、当然目の前には、林立する建物の一群があると思っ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-30
Baca selengkapnya

第3話(25)

「ここは、気に入ったか?」  顔を間近に寄せた賢吾に囁かれ、さすがに意地は張れなかった。 「……ああ」 「この物件を見つけて、手付を打った俺に感謝しているか?」  和彦は賢吾を睨みつけながら、乱暴に答えた。 「しているっ」  このあと賢吾がなんと言うか、わかっているのだ。案の定、賢吾はニヤニヤと笑いながらこう言った。 「なら、ご褒美をくれ、先生」 「くれ、と言いながら、いつも強引にもぎ取っていくくせに――」  唇を塞がれて、和彦はあとの言葉を奪われる。痛いほど激しく唇を吸われ、あまりの勢いに和彦の後頭部がガラスにぶつかるが、一向に気にした様子もなく賢吾は本格的に和彦を貪ってくる。  押し込まれてきたふてぶてしい舌に口腔を犯されながら、両手が体に這わされ、スーツのジャケットを脱がされて、ネクタイも解かれる。スラックスからワイシャツが引っ張り出されると、片手で脇腹を撫で上げられながら、もう片方の手にワイシャツのボタンを外されていく。 「こんな、ところでっ……、何考えてるっ」  賢吾の唇が首筋に這わされる頃になって、やっと和彦は抗議の声を上げることができる。ワイシャツの前を開かれ、ごつごつとした感触のてのひらが胸元を這い回り、危うく声が上擦りそうになる。  唇を引き結んだ和彦が反射的に賢吾の肩に手をかけたそのとき、部屋の隅に立った三田村と目が合った。  今日も三田村は、絡み合う二人から視線を逸らさない。  自分たちを見つめながら、この男は何を考えているのだろうかと、純粋に和彦は知りたかった。嫌悪しているのだろうか、それとも――。 「あっ……」  ふいに胸に小さな痛みが走り、和彦は声を上げる。腰を屈めた賢吾が、和彦の胸の突起にいきなり歯を立てたのだ。だがすぐに、熱く濡れた舌にくすぐるように舐められて、心地よさが胸に広がる。  顔を上げた賢吾と唇を啄ばみ合っていると、両足の間に片手が押し付けられた。自分の足で立っていられる自信がなくなった和彦は、やむなく賢吾の首に両腕を回してしがみついた。 「乗り気だな」 「誰がっ……」  耳元で賢吾が短く笑った気配がしたあと、ス
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-30
Baca selengkapnya

第3話(26)

「……こんな、ところで、しなくても――」 「ここだからいいんだ。まだなんの思い出もない場所に最初に刻み付けるのが、俺と先生の〈愛の行為〉の思い出なんて、素敵だろ」  賢吾の指に先端を擦られ、すでに滲み出ている透明なしずくをヌルヌルと塗り込められる。和彦は小刻みに体を震わせ、熱い吐息をこぼした。 「ヤクザが、似合わない言葉を、口にするな……」 「なら、ヤクザらしく言ってやろうか? ――早く突っ込ませろ。ケツに、お前が悦ぶものをたっぷり注ぎ込んでやる」 「最低だっ」 「ヤクザだからな」  間近で睨みつけると、和彦の反応が楽しくて仕方ないといった様子で賢吾が笑う。それから濃厚な口づけを与えられ、たっぷりの唾液を流し込まれた。唇の端から滴り落ちる、どちらのものとも知れない唾液をベロリと舐め取られ、そのまま和彦は賢吾と舌を絡ませる。  口づけと、絶えず与えられる敏感なものへの愛撫に、つい目を閉じて酔っていた和彦だが、ある気配を感じてハッと目を開く。いつの間にか、二人のすぐ傍らに三田村が立っていた。  困惑する和彦に対し、賢吾がこう言った。 「壁に先生をすがりつかせるのも、危なっかしいからな」  軽く突き飛ばされ、足元にスラックスと下着が留まっている和彦は簡単によろめき、そこを三田村に受け止められたうえに、向き合う形できつく抱き締められた。 「なっ――……」 「三田村、しっかり支えてやってくれ。感じ始めると、よく暴れるからな、先生は」  和彦は目を見開き、三田村を見上げる。三田村はいつものようにごっそりと感情を置き忘れたような無表情で和彦を見ていた。そのくせ、抱き締めてくる腕の力は強い。  賢吾に、スラックスと下着を片足から抜き取られ、足を広げさせられる。羞恥や屈辱を感じる間もなく、唾液で濡れた指が和彦の内奥を押し開き始めた。 「あっ……、うっ、うっ」  賢吾に背後から腰を引き寄せられ、指の侵入が深くなる。同時に賢吾のもう片方の手には、すでに反り返って硬くなっているものを握られ、緩やかに扱かれる。 「うあっ……」  信じられない状況に陥っても、体は与えられる愛撫を素直に受け入れる。しか
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-30
Baca selengkapnya

第3話(27)

 和彦は、賢吾が自分に持っているかもしれない執着心を想像するだけで、ゾクゾクするような興奮を覚え、身震いする。三田村の腕がその震えすら受け止めてしまうことにも、快感めいたものを覚える。  賢吾の手が尻から腰を撫で回し、さらに上へと移動して胸元に這わされる。興奮のため硬く凝ったままの突起を抓るように刺激され、引っ張られる。和彦は小さく悦びの声を上げ、三田村の首筋に顔を寄せた。意図しないまま熱い吐息をこぼすと、三田村の肩が微かに揺れる。  ふいに賢吾に腰を抱え直され、和彦のものは掴まれる。 「まだイかせない。いつもは先にたっぷりイかせてやるのが俺のやり方だが、今日は違う。俺は甘やかすばかりじゃないぞ、先生」  笑いを含んだ声でそう言った賢吾に、背後からあごを掴まれて顔を上げさせられ、熱い舌で耳を舐められる。 「くうっ……」  おぞましさと紙一重の快感に、和彦が小さく声を洩らすと、その瞬間の顔を間近から三田村に見つめられた。数秒ほど見つめ合ったが、すぐに和彦は三田村にしがみつき、肩に顔を埋める。賢吾が侵入を始めたのだ。 「ううっ、うっ、うあっ」  乱暴に腰を引き寄せられるたびに、三田村から手が離れそうになり、和彦は手繰り寄せるように三田村の肩に掴まる。それに応えるように三田村もまた、和彦をしっかりと抱き締めてくれる。 「……自分のオンナが、うちの若い衆と抱き合っている姿を見ながら、その尻を犯すってのは、初めての趣向だが――興奮する。息子とオンナを共有するぐらいにな」  そんなことを言いながら賢吾に、内奥に太い部分を呑み込まされる。和彦は荒い呼吸を繰り返しながら、背後から押し寄せてくる衝撃をなんとか耐える。  賢吾は緩やかに腰を揺らしながら、苦しさに呻く和彦に愛撫を与え始めた。 「んうっ」  反り返ったまま震える和彦がてのひらに包み込まれ、柔らかく扱かれる。 「――三田村、先生の髪を撫でてやれ。今なら、おもしろいほど感じるぞ」  賢吾は、和彦の体の反応を知り抜いていた。従順に命令に従った三田村にそっと髪を撫でられた瞬間、和彦は鳥肌が立つような快美さに全身を貫かれた。 「感じているな。中がいやらしく蠢いている」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-31
Baca selengkapnya

第3話(28)

「はっ……」  内奥で賢吾のものがドクンと力強く脈打ち、震える。賢吾が獣のように低い唸り声を洩らし、熱い精を放った。和彦は腰を震わせ、歓喜しながら賢吾のものをきつく締め付け、放たれた精をすべて自分の内で受け止める。 「――書くか?」  荒い息を吐きながらの賢吾の言葉に、逆らう術もなく頷いていた。 「いい子だ。それでこそ、俺のオンナだ」  そう言って賢吾が、内奥から自分のものをゆっくりと引き抜いていく。和彦はうろたえ、なんとか振り返ろうとするが、体内に留まり続ける快感のせいで、自由が利かない。少しでも動けば、せっかく育てた快感が逃げていってしまいそうだ。 「しっかりケツを締めてないと、溢れ出すぞ」 「な、んで……」 「今言っただろ。ヤクザの言葉を何度信じるんだって。――昨日事務所から逃げ出したお仕置きだ。ケジメは、つけておかないとな」  怒鳴りたいのに、言葉が出てこない。これがこの男のやり方なのだと、一瞬にして体に思い知らされたからだ。そして、自分が悪かったのだとすら思ってしまう。  短期間で、見事にヤクザに調教されていた。  名残惜しそうに和彦の高ぶりを撫でてから、スッと賢吾が手を離す。決定的な瞬間を逃してしまい、和彦の欲望は熱く震えるばかりだ。 「三田村、先生の後始末を手伝ってやってから、送り届けてやれ。もちろん、うちの加入書を書かせろ。俺は、総和会に顔を出してくる。もう一度藤倉を呼ぶ段取りをつけないとな。後日、先生にはにっこり笑って、長嶺組の人間ですと名乗ってもらって、藤倉の苦虫を噛み潰した顔を拝んでやる。先生が総和会の加入書に名前を書くなんざ、そのついでだ」  好き勝手言ってから賢吾は部屋を出ていき、あとには和彦と三田村の二人が残される。この状況にも、少しぐらい免疫ができてもいいようなものだが、和彦は羞恥と屈辱で体を震わせる。 「――先生、後始末をしよう」  落ち着いた声で三田村が言い、慎重に体を離そうとする。和彦は必死に告げた。 「自分で、するっ……。窓のほうを向いていてくれ」  三田村は何も言わず、和彦の手に自分のハンカチを握らせて、窓のほうを向く。  いまさら三田村に対し
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-31
Baca selengkapnya

第3話(29)

「わかった」  これだけの会話で意思疎通すると、次の瞬間には和彦の体は窓に押さえつけられ、背後から三田村に抱き締められた。和彦はその三田村の両手を取ると、自分の両足の中心と、ワイシャツがはだけたままの胸元へと導く。 「あっ」  三田村の手に、高ぶったままのものをいきなり強く掴まれる。和彦は痛みを感じるどころか、身震いするような興奮を覚え、熱っぽい吐息をこぼす。一方で、胸元もまさぐられ、和彦が促すままに突起を弄られる。  拉致されて辱められたとき、手袋越しに三田村に下肢をまさぐられ、快感を引き出された。今は直接触れられているのだと思うと、奇妙な感慨深さがあった。あのときは有無をいわさずの行為だったというのに、今は自ら求めているのだ。  三田村の手の上に自分の手を重ね、間接的に自分のものを愛撫する。三田村は、和彦が望む通りに手を動かしてくれる。  まさに、『先生の望み通りに』だ。 「はっ……、あっ、あぁ――」  本当はすぐにでも絶頂を迎えてしまいそうなのに、もっと三田村の手の感触を知りたかった。和彦は自らの快感を犠牲にして、三田村の指を取り、根元を締め付けてもらう。和彦の意図を察したのか、三田村はきつい縛めを和彦のものに施しながらも、胸の突起は甘やかすように撫で、優しく摘まみ上げる。  和彦が洩らす息遣いで、窓ガラスが白く曇る。 「……苦しそうだ。もう楽になるか?」  三田村の問いかけに、和彦は首を横に振る。まだ、この時間を終わらせたくないと思ったのだ。 「でも、すぐにでもイきそうだ、先生……」 「嫌、だ。もう少し、このまま――」 「なら、やめるか?」  この問いかけにも首を横に振ると、耳元で三田村が短く笑った。 「わがままだな、先生」  胸元を撫でる三田村の手を握り締めたのは、そのわがままを許してほしいと願う気持ちの表れだ。三田村は、和彦の手をきつく握り返してくれる。 「……本当に、苦しそうだ」  呟いた三田村に、限界まで高ぶっているものの先端を指の腹でくすぐられる。 「あうっ」  呻き声を洩らして和彦は喉元を反らし上げ、咄嗟に窓ガラスに片手を突いていた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-31
Baca selengkapnya

第3話(30)

「くうっ……ん、んっ、んぅっ」  耳朶に温かなものが触れた。それが三田村の息遣いだと気づいたときには、柔らかな感触がしっかりと押し当てられる。唇を押し当てられたのだ。 「それ、いい……」  この行為をやめられるのが怖くて、和彦は囁くような声で訴える。すると三田村の唇が、耳に二度、三度と押し当てられ、首筋へと移動した。身震いしたくなるような快感が和彦の背筋を駆け抜ける。  首筋に三田村の唇が滑り、ときおりそっと肌を吸われる。この頃には、和彦は欲望を制御できなくなっていた。 「あっ、うっ、うっ、もうっ――」  三田村の片腕に手をかける。自分でも、この状態から抜け出したいのか、まだ浸っていたのかわからず、惑乱する。  和彦の状態を素早く察したらしく、三田村の手が勝手に動き始め、和彦のものを再び扱き始めた。 「あっ、あぁっ、い、や……」  気持ちいいのに、それでも和彦は三田村の手を押し退けようとする。しかし、括れをきつく擦り上げられ、濡れた先端を撫でられると、抵抗は形だけのものとなっていた。 「はあっ、あっ、あうっ」  ビクビクと腰を震わせながら和彦は、三田村の手によって絶頂を迎え、精を迸らせる。  窓にすがりついて荒い呼吸を繰り返す和彦を、片腕でしっかり抱き締めながら三田村が支えてくれる。  和彦はずり落ちかけたスラックスのポケットから自分のハンカチを取り出すと、放った精で濡れた三田村の手を拭いてやる。 「先生がそんなことをしなくていい」 「……抱き締めてもらうと、ぼくが汚れるんだ」  言い終わると同時に、背後から、両腕でしっかりと三田村に抱き締められた。 「まだ一人で立てないから、あんたに支えてもらっているだけだからな」  自分たち以外の人間が聞いているわけでもないのだが、こうしている建前を和彦は口にする。三田村も応じた。 「そうだ。俺が、こうして先生を支えている」  和彦はハンカチを足元に落とすと、前に回された三田村の腕に手をかける。このとき三田村の唇が耳朶を掠めた。ゾクリとするような強烈な疼きが背筋を駆け抜ける。  絶頂を迎えたばかりで脱力感に支配されて
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-10-31
Baca selengkapnya
Sebelumnya
1
...
7891011
...
25
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status