0話 ステップ 私の隣には貴方がいる。それは永遠と続くものだと思いながら、彼とのダンスを楽しんでいた。私は体を彼に預けるとフフッと微笑みながら、見つめる。彼は私より若い、それでも私とのダンスを選択してくれた事が嬉しい。 「リオン」 「──ん?」 私の言葉を待ちながら、ステップを踏んでいる私達。そんな二人を遠目から見つめてくる彼女の視線が痛い。きっと私がリアンを独占している事が許せないのだろう。 現実はミシャを選ばず、私の手をとった。それが答えであり、私が彼女に勝った証明の一つ。 まぁ? 私が彼を支配しているからミシャの元へ行けないんだけどね。 嬉しそうに彼女の悔しそうな表情を思い浮かべながら、言葉を紡いでいく。 「私をダンスの相手に選んでくれてありがとう」 「……あぁ」 「今日の貴方、とても素敵ね。いつもより輝いてる」 「……そうか?」 「ええ」 彼は困ったような顔をしながらも、私の言葉に声に答えてくれる。その度に満たされていく心の中。表面的に出さないようにしないと、と自分を戒めながら、ふんわりと笑顔を作っていく。 リオンと初めて出会ったのは二年前のこの日。このダンス会場で彼を見つけたの。華奢な体に赤い髪、その間にふんわりと隠れている金色に光る髪。変わった髪色をしている子ね……それが彼の第一印象。本来なら自分より年下の子なんて興味がなかった。 私の運が悪かったのか、色々な意味での経験不足な男ばかりだった。だからきっとリオンも同じだと思っていたの。 ──もう、二年経ったのね キラキラ輝く、天井に敷き詰められているシャンデリア達が微笑みながら「あの時」へと戻してくれるの。 第一幕 私は視線を彼からシャンデリアへと注ぎ、ホウッとため息を吐く。週末になると開かれるこのダンス会場。ここには色々な立場の人達が集まり、ひと時の癒しとして出会いとダンスを楽しんでいる。 自分の意思で来た訳じゃないのに、何故だか天井から零れ落ちそうなシャンデリアを見る事が楽しみになっている。お父様が「結婚」の二文字を出して、ここに来ている訳だけど、そんな気は起きなかった。 「綺麗」 シャンデリアはまるで海のようで幻想的な絵画を見ているように感じた。私はその光景に目を奪われていると、声をかけてくる人がいた。 「シャデリーゼ様ですか?」 私はフッと我
Last Updated : 2025-10-15 Read more