Partager

4アップ〜6アップ

last update Date de publication: 2025-10-17 14:00:20

4アップ

 ルビーとの気まずい空間が続き、変に疲れてしまった。何を言っても丁寧に返されてしまうから、何も言えなくなった私は無言でいるしかなかった。ルビーも何か考え事をしていたようで、会話を続ける気がないようにも見えた。

 私は癒しを求めるようにフラリと自室を出た。お茶が欲しい。そこまで知識はないけど、私はお茶好きで有名。自分でも理解している。それほどお茶を愛しているのだ。

 「フランス……いないかしら」

 フランスは、執事だ。お茶を入れるのが上手くて、何かある事に彼の元へ行くのが習慣になっていた。呼び鈴を鳴らしてくれれば、こちらから行きますと何度も言われたが、それじゃ意味がない。

 屋敷を歩くのも癒しの一つになっているから、楽しめる。まるで逃げているフランスを見つけるゲームをしているよう。彼はいつも上手く隠れているから、中々の暇つぶしになる。

 「おや。どうした? シャデリーゼ」

 「げっ……お父様」

 一番会いたくない人に遭遇してしまう事もある。それは運が悪かったと思うしかないのだが、どうしても言葉や態度に出てしまうのだ。

 「「げっ」とは何だ。父に言う言葉か?」

 「いえ。そのような事はありませんわ。お父様がお屋敷にいるとは思わなかったので……」

 忙しいお父様が屋敷にいる事自体が珍しい。それもまだ昼間。何かあったのかしらと首を傾げてしまったが、ハッと我に返り、体制を元に戻した。

 「今日は来客があるのでな。お前こそ何をしている」

 「……フランスのお茶が飲みたくて彼を探しているのです」

 フランスに用事があると言う事は|また《・・》気に入らない事があったと言う事。それに気づいたお父様は頭を抱えながら、言葉を落とした。

 「何か嫌な事があったのだな。お前は……少しは自分と言うものを理解す──」

 「説教は夜にしてください。私はフランスに用事があるのですから」

 私はお父様の言葉を遮って、自分の言葉を無理矢理被せた。今説教を受けるのなら、いつものように夜受ける方がいい。昨日は私があんな状態だったから説教はま逃れたが、毎日の日課になっている。

 「ところでフランスは何処にいますか?」

 「はぁ……私の書斎だ」

 「探しても見つからない訳ですわ」

 「私が呼んでこよう」

 「いえ。お父様のお手を煩わせ訳にはいきませんから、自分で行きます」

 「そう……か」

 いつもの私ならお父様の説教を受けていたかもしれない。私の様子が変わったと実感したお父様は、私の背中を試すように見つめている。

5アップ

 お父様の書斎に着くと、こっそりと中の様子を確認した。フランスはお父様の仕事の手伝いをよくする事があるのだ。書斎にフランスがいると言う事は何かしらお父様から頼まれている物事がある可能性があると言う事。

 「隠れていないで出てきてください」

 フランスは私のたてた些細な物音に気付いていたようで、私の傍まで来た。邪魔はしたくないと思っていたのだが、自分の癒しの為にはフランスの存在が必要不可欠。

 意を決して、私の我儘を口にする事にした。

 「ごめんなさい、邪魔するつもりはなかったの……ただ」

 「……ただ?」

 「どうしてもフランスに頼みたい事があって探していたの」

 「そうだったのですか」

 「お時間は大丈夫かしら?」

 断れるかもしれないと、顔色を見ながらオドオドと自分の発言をしていく。フランスは資料置き、私に向き合いながら言った。

 「大丈夫ですよ、お嬢様。私も丁度、休憩が欲しかったところですから。よろしければ、私と共にティータイムなんて、いかがでしょうか?」

 フランスの方から提案されるとは思いもよらなかった。

 (フランス、気をきかせてくれたのね)

 私からどう切り出していいものか悩んでいたから、ホッとした。彼の邪魔はしたくなかったけど、どうしても彼との時間を、安らぎを感じたいと思っていた。

 いつもタイミングが悪く、同じ状況に遭遇してしまうのだ。最初は自分の意見を言えていたのだけれど、こういう事が何度もあると、さすがに言い出すのに躊躇いが出てしまうものだから。

 「是非。ご一緒したいわ」

6アップ

 応接室に移動した私はフランスが用意してくれているのを待つ。作業を中断させてお茶を用意させるなんて、我儘すぎたかしらと思ったりもするけど、いつも許してくれるフランスに甘えてしまう自分がいた。

 皮で包まれているソファーに腰をかけると、力が抜けていく。今日はいつも以上に疲労を感じている。何かがあった訳でもないのに、自分の当たり前だった環境が新鮮に感じて、子供のようにはしゃいでいる。

 (この年になって、はしゃいでるとか、考え物ものね)

 自分の感情の変化に目を向けようとしているが、何も知らずに楽しむのも有りだと思い、考える事を止めた。

 ──とりあえず、楽しみましょう。

 結論に辿りついた所で、気を抜いて待つ。微かに遠くからコポコポと音が聞こえてくる。お湯を沸かしているのだろう。両手で顔を包み込み、音の余韻に浸っていると、あっと言う間に、フランスがお茶とお菓子を持ち、歩いてくる。

 「今日のお茶はこちらになります」

 カタンと透明なティーポットの中に赤い花が咲いている。今まで見た事のない美しさに目を奪われていると、クスリとフランスの笑う声が耳を掠めた。

 「お湯を注ぐ事で花開く、異国から取り寄せた珍しいお茶でございます」

 「……綺麗」

 「気に入られたようで安心しました。今日のお嬢様はなんだかいつもより「癒し」を求めているような気がしたので、このお茶をセレクトしました」

 私の求めるものをサッと魔法のように用意してくれる執事フランス。それは仕事にも同じ事が言える。だからお父様が仕事を任せているのも納得が出来るというもの。

 コポコポコポ──

 ティーポットからゆっくりと注がれる様子を見るのも、一つの楽しみ。仕草の一つ一つが美しく、まるで芸術を鑑賞しているような気分になるのだ。

 (綺麗な注ぎかただわ……)

 待つ楽しみも、醍醐味だろう。

 

Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application

Dernier chapitre

  • シャンデリアの舞う海へ   3スウィブル〜最終話 本当の始まり

    3スウィブル ソッと触れた手から温もりが広がっていく。リオンとの関係性とはまた違った新鮮さを感じた。だけど、きっとこの予感は心の中から消してしまわないといけない。自分が苦しむ結果になると予感してる。 「ここまでくれば大丈夫でしょう」 口調が元に戻っている事に気が付いた。私はクロウを見つめると、悪戯な笑みでウィンクをする。二人の内緒だと言うサインでもあるようだ。どうにか察する事が出来た私は、ソッと手を離し、いつものシャデリーゼに戻った。 「それではご案内しますね、|シャデリーゼ《・・・・・・》様」 「はい」 私はここから歩いていく。勿論リオンの元へと満面の笑みで向き合う為に、だ。令嬢として、一人の女として歩いていく決意は出来ている。リオンの傍にミシャがいようと、そんな事なんて関係がなかった。 歩いていくと、皆様が待っていると言う部屋についた。緊張しながらもコンコンとノックをし、ドアを開ける。私がクロウと一緒に現れる事により、周りの視線が少し気になるけど、ここはひるんではいけない。 「──失礼します」 私の背中には見守るようにクロウがいる。私は真っすぐな瞳でリオンを見つめた。その横にはクベルト伯爵が驚いた表情でこちらを見ている。 「遅れて申し訳ありません」 私が一言添えると、我に返ったクベルト伯爵はいつもの表情を取り戻し、笑みで迎えてくれる。リオンは少し表情が曇っている様子だが、今の私には関係ない。視線を動かしてミシャがいるのか確認したのだが、そこに彼女はいなかった。 少し気が抜けそうになるが、まだ予断は許されない。もしかしたら遅れてくるかもしれないからだ。クロウが親戚なのだから、ミシャも来るに決まっている。私はそう判断していた。 彼女を見ていて分かる。リオンに対して愛情よりも恐ろしいものを抱いているのが。執着心に近い

  • シャンデリアの舞う海へ   運命〜2スウィブル

    運命 二人の令嬢が交わる時、本当の運命が動き出す。一人は光の力を扱う者、もう一人は闇の力に支配される者。全ては繋がっていないように見えて、繋がっているのだ。 「おとう……さま」 「……」 「お父様!!」 考え事をしていたグール伯爵を現実へと引き出したのはシャデリーゼだった。ずっと何度も何度も呼ばれていた事に気が付かない程、過去の忌々しい思い出に支配されていたのだろう。 しかし何も知らないシャデリーゼからしたら、いつものグール伯爵と様子が違う事でかなり心配をしている。ハッと我に返ったグール伯爵は、何事もなかったように口を開いた。 「シャデリーゼ、来ていたのか」 「やっと気がつきましたか? 顔色が悪いですわ」 この純粋な瞳を守る為に、今まで生きてきた。あんな過去の事を今になって思い出すとは……|その瞬間《とき》が近いのかもしれないとグール伯爵は悟る。 「体調が悪いのですか? そうなら無理はいけませんわ」 「大丈夫だ、考え事をしていただけさ」 「あんな長時間ですか?」 何かを隠しているグール伯爵に疑いのまなざしを向けるシャデリーゼ。いつもの彼女ならきっと「お父様」の言葉を鵜呑みにしていたのかもしれない。しかし彼女は直観力に優れている部分がある、何かが起こりそうな感覚がすると、グール伯爵に忠告をするのだ。 「とりあえず横になってください。お母さまを呼んできますわ」 「……すまない」 一度言い出したら聞かないのを知っているグール伯爵は、安心したかのように苦笑いをして提案を受け入れる。じゃじゃ馬で女らしくない娘、だが本当は誰よりも真っすぐで純粋なのだから。 そこには愛がある──  香るのは不思議な匂い 私の心をかき乱そうとする匂い 嫌な感覚の中でも自分の道を守るしかない その先に何があるのかは誰にも分かる事などないだろう お父様の様子が変だった。何度呼んでも抜け殻のようで、何かに魂を取られ

  • シャンデリアの舞う海へ   6スイング〜8スイング

    6スイング 花の香りが部屋中に充満している。その中で『お香』と言う異国のもので匂いを漂わせているらしい。炎を灯す事で煙と共に香りが出るような仕組みになっている。 私はこの匂いがあまり好きではない。その香りを纏っている一人の女を連想させてしまうからだ。だから一端、別の場所で民を装う服装に着替えて、あの部屋へと向かう。 表の道はおもおもの店で成り立っている。そこには私達が口にするものとは見た目も匂いも違う食べ物が並べられている。最初の頃は物珍しさに購入して食してみたが、私には合わなかった。 その部屋があるのは黒い建物で作られた裏路地にある店だ。独特の雰囲気の中で存在を醸し出している。普通の店でないのは分かり切っていた事だった。 私の配下の者達が調べてくれたおかげでこの店に辿り着く事が出来たのだ。 ザッ── 慣れていない靴を履いているせいか、どうも歩きにくく感じる。足が少し重いような感覚の中で店の内部へと踏み入れた。 「いらっしゃいませ」 この国とは思えない程の異空間の中に迷い込んだようだった。異国の地の生地を初めて見た。何重にも羽織っているような着こなしに、目を奪われてしまいそうだった。 「ブルーの瞳の方がこの店に来るのなんて珍しいですわ。さぁさぁ、部屋の方へ」 「……ああ」  黒い着物と呼ばれる羽織を着た女性が先頭に立ち、道案内を始めた。外観からしたらシンプルな作りのように見えたのだが、色々な仕掛けがある。急に武器が飛んできたりとか、こんな屋敷は初体験だ。 「この屋敷の造りは……」 「カラクリと呼ばれています。この店に来る方は簡単に超える事が出来るかと……貴方様も軽やかに避けているじゃありませんか」 「……」 「ふふっ」 無表情で女の話を聞く事しか出来ない。自分から言葉を発してしまうとボロが出そうになる。武器が飛び交う中で冷静に判断するのは、いくら私とて、難しいもの。 「無言を貫く……それも一つの選択肢でしょう」 意味

  • シャンデリアの舞う海へ   3スイング〜5スイング

    3スイング 「クベルト貴様!!」 十人の兵士に囲まれているクベルトと父親。二人が逃げれないように円陣を組まれてしまっている。 「お久しぶりですね……クレイ伯爵」 ドアの向こうからゆっくりと近づいてくる人影と声。兵士はその人物が通れるように間を開け、敬礼する。 「グール・リベスタ!!」 「閣下の名前を呼び捨てにするなどど、愚弄だ」 一人の兵士が怒号を鳴らすのをクスクスと笑いながら、いいのだよ、と諭した。兵士の横をスッと通り、二人との距離を詰めていく。クベルトは自信を持ち、凛としたリベスタの横顔を見つめる。自分とは違う世界で生きている人間。妬ましくもあり、羨ましくもあり、そして美しく感じた。 それがクベルトとグールの出会いだったのだ── ガシャンと机を叩くクレイ伯爵、その姿はあまりに哀れだった。リベスタがここにいると言う事は、違法取引の密売に気付かれたとしか思えなかったクレイ伯爵は、自分の息子の裏切りを知る事になった。 「私が|ここ《・・》に来た意味が理解出来ていますよね?」 二人の間を割るように、大量の資料を机の上にばらまき、目を通すようにと命令する。『お願い』ではなくあくまで『命令』なのだ。国家権力を使っているから逃げる事は出来ない。 クレイ伯爵に冷静な眼差しを向けていたかと思うと、思い出したかのようにクベルトの方へ向き、困ったように笑みを見せた。 「クベルト様も確認していただけますか?」 「は……い」 こんな大物に話をかけられるなんて考えもなかったクベルトは自分が大きな物事を動かしてしまった事実を回らない頭で受け入れようとした。自分が望んだ事なのだ、こうでもしないと自分の運命も立場も変化はない、と言い聞かせながら……

  • シャンデリアの舞う海へ   ミシャの心〜2スイング

    ミシャの心 ねぇ、あの時の事覚えてる?── あたしは貴方の事が大嫌いだった。理由はどんくさいから。いつもあたしの後ろを追いかけてきては、転ぶの繰り返しで、何度振り返って、駆け寄ったか消してしまいたいくらい、心の中に想い出として残っている。 『嫌い』は『好き』の反対でありイコールなの。 いつの間にかそんな貴方の事を可愛いと感じるようになった。男の子らしくない貴方と触れ合う度に、優しさが満ちていく感覚がした。 心が満たされるって言うのかな? あたしより年上の貴方の名前は『リオン』 年齢を重ねれば、重ねる程、彼は大人になり、たくましくもあり美しい男性へと変貌を遂げていく。あたしは昔と何も変わらない、悪く言えば変化がないのかもしれない。人の見方によれば『安心』に結び付くものかもしれない。 他の女性の影なんて、見えなかった。特別はあたしだけ。他の女性はあたしの立場を超える事なんてないと過信していた……今、考えると幼稚な考え方だったのかもしれない。 今のあたしはクロウの膝の上で眠っている。暴走なんてしたくなかった。迷惑かけたくなかったのに、どうしても止めれなかった。クロウはこんな情けないあたしでさえも受け入れてくれる人。私とは血が繋がっていない事も、幼少の頃、お父様とお母様の話を盗み聞きしていたあたしは、その事実を聞いて、泣きそうになったのを覚えている。 「……あたしは一人ぼっち」 両親もあたしと血の繋がりがない、身近な存在であたしの心を守ってくれているクロウでさえ、他人なのだから、ショックが隠せなかった。一人だけの空間に置き去りにされた感じに、絶望を感じてしまった。 「もう期待なんてしない」 そう決めていたはずなのに、リオンの存在があたしの心を癒したの。だから、もう一度『信じて』もいいかもしれないと、淡い気持ちを抱いていた。 あたしはクロウ

  • シャンデリアの舞う海へ   4シェイプ〜7シェイプ

    4シェイプ リオンの部屋で穏やかな時間を過ごす私達。この満たされた空間を邪魔する人なんて誰もいない。見つめ合う私達はゆっくりと微笑み合う。この世界に二人しかいないようにーー リオンの手が私の頬に触れようと手を伸ばしてくるーーひんやりとした感触を確かめるように瞳を揺らした。 彼の瞳は真剣な光を灯しながら訴えかけてくる。リオンが何を望み、語りかけているのかを理解した私は受け入れるように頷く。 「……分かっているわ」 覚悟は出来ている。男性の部屋に入る事の意味を理解している私は高鳴る心臓の音を抑えながら目を瞑った。 余裕があるように見えたリオンはただポーカーフェイスを演じているだけ。余裕があるように見えるが、全くない。感情が突き走って体がついていかない。早る気持ちを緩ませながら、私の唇へキスを落とした。 「……ん」 最初は壊れないように優しく、啄むようにキスをする。私の反応を確かめるように、次第に深く深く絡めていった。どこにも行き場のない熱をお互いの体温へ送りながら、息が高まっていく。 「はぁ……ん」 勝手に出てしまう声を止める術はなかった。私はその甘さに理性を壊され、自分を保つ事に必死になっている。これ以上されると壊れてしまうだろう。覚悟を決めていたはずなのに、経験した事のない感覚は知らない自分を見せようとしている。怖くなってしまった私は後ろへ逃げようとすると、リオンは私の後頭部に手を添え、逃さない。 私達は「恋人」と言う立場を捨て「婚約者」へとなった。 5シェイプ リオンが自分以外の女性を愛する所なんて見たくない、想像もしたくない。私の隣にはいつもリオンがいて、その横で笑っている自分がいて……クロウとクベルト伯爵は見守ってくれる。それがミシャの願いであり、夢だった。 リオンの顔が見たく鳴ったミシャはルンルン気分で彼の部屋へ行った。急に現れた自分の姿を見て、どんな表情をするのか、喜んでくれるのかドキドキしながらドアの隙間から様子を見ていた。 「……は?」 彼女の視界が捉えたのはリオンとダンスをしていた相手、あの時の女性がいた。どうして彼の部屋にいるのか分からない。二人は見せつけるように唇を重ねていく。見たくない現実を受け止める事が出来ないようだった。 「何よ……あれ」 隠れて見ている事も忘れて、静かに呆然と立ち尽くしている。その様子に

  • シャンデリアの舞う海へ   8カウント〜10カウント

    8カウント 私達が一緒にいる事なんて知らない彼女は、自室で寝転んでいた。ミシャの屋敷からリオンの屋敷へ行くのは近い。歩いていける距離だ。元々、幼馴染の二人は自然と遊ぶ事が多くなっていった。ミシャはリアンの二つ下になる。今年17でこれから女性としての魅力が増していく時期だろう。 「ねぇ、クロウ。凄く暇なんだけど遊びに行っちゃダメ?」 「リオンの所か?」 「うん。ダメかなぁ?」 クロウはミシャの様子を見る為に彼女の自室に訪れていた。ダンス会場での出来事をきっかけに自分がミシャを支えないと、と思う事が増え

  • シャンデリアの舞う海へ   7アップ〜10アップ

    7アップ 私達がティータイムを楽しんでいる時、お父様は来客してきた方と客室で話をしていた。応接室を私達が使用しているから、こちらを選んだようだ。ここは客室なのだが、基本的にお客を持て成すのは応接室と決まっていた。 「すまないね。狭くて……」  困ったように話をかけるお父様。今、娘が使用しているから、ここしか場所がなくてね、と苦笑しながら椅子に座った。 「この部屋も美しいではないですか。狭くもないですし」 応接室に比べたら狭い、しかし一般的には広い方なのかもしれない。来客の男はお父

  • シャンデリアの舞う海へ   タイミング〜3アップ

    タイミング いつの間にか寝てしまっていた。私はムクリと起き上がると、昨日お風呂に入ってない事に気付く。気を張っていたのと、お酒がまわっていたので疲れたのかしら。 この事がお父様に気付かれたら、|また《・・》怒られる。私も一応令嬢だから、そういう所はきちんとしなさいと叱られた所で、今日だ。まぁ自室にも簡易的なお風呂があるのだからいいのだけど…… 私には専属のメイドがいる。いつも私の生活や体調管理をしてくれているルビー。私とルビーは年が近い。今年30になった私の二つ上になる。 昔は優しかったの

  • シャンデリアの舞う海へ   第八幕~第十幕

    第八幕 テラスに着いた私達は夜風に当たりながら、ふうと一息を吐く。少し喉が渇いたなぁと思いながらも、この場所から離れるのがおしくて、留まってしまう。 そんな私に気付いていたように、グラスを二つ手にし、戻ってくるリオンの姿が目に入った。 「何処に行ったのかと思ったわ。自分から誘っておいて、逃げたのかと勘違いしちゃったじゃない」 「そんな事しませんよ、僕は」 「……知ってる」 さっきまでリオンに翻弄されていた私はもういない。 「どちら

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status