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第558話

Auteur: 鈴木真知子
こんな女には、生まれて一度も出会ったことがなかった。ひとたび目にしてしまえば最後、抗いようもなく惹き込まれてしまうだろう。

彩葉の言葉は、崩れた山肌から転がり落ちる岩石のように、一つひとつが蒼真の胸に重く叩きつけられ、大小無数の傷を刻んでいった。

毅然とした眼差しで立つ妻を見つめながら、蒼真はほとんど無意識に手を上げ、そっと自分の胸に押し当てた。

そこに、鈍痛が走った。力を込めて押さえると、やがてその痛みは徐々に薄れ、静かに消えていった。

多恵子の目の前が真っ暗になった。さきほどまでは倒れるふりをしていただけだったが、今は本当に膝から崩れ落ちそうだった。

出身、学歴、そして彼女が長年誇りにしてきた、あの浩一郎との一目惚れから始まった純愛物語。立て続けの衝撃に、彼女が必死に作り上げてきた仮面に、ついに決定的なひびが入り始めた。崩壊の始まりだった。

「彩葉……でたらめを言わないで!うちの母は愛人なんかじゃないわ!」

雫は目を真っ赤にして声を荒げた。蒼真の中で自分が必死に築いてきた可憐なイメージが崩れ去ることを、何よりも恐れていた。

「今日、わけのわからない男を連れてきて母を
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