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第13話「砕かれた青碧の珠①」

last update Última atualização: 2025-11-11 20:02:24

 織物の村ロマーナで、ルナパークの街に天空竜の兜があるという噂を聞いた一行は、街を目指して歩いていた。

「これでやっと二つ目か」

「あればの話だけどね」

「また魔物が襲って来るんだろうな」

「たぶん来るわね」

 ルナパークの街に着いた四人は、話を聞こうと街の人を探した。

 しかし妙に人の数が少ない。

 店の商人や宿屋の女将などはいるのだが、一般の家に住んでる人がまるでどこかに行ってしまったようである。

 そのうち急いでどこかへ向かっている人がいたので捕まえて聞いてみる。

「あんたたち旅の人かい? ここに魔物が攻めてくるそうだから、早く逃げた方がいいよ!」

 それだけ言うと、その人は走り去ってしまった。

 さらにセーラたちは人を探した。

やっと宿屋の二階で人を見つけたので尋ねてみると意外な事実が聞けた。

「数日前使い魔がやってきて街の人にこう告げたのです。天空竜の兜を取りに行くので用意しておけ。もしなかった場合にはおまえたちの街を全滅させると。それから街の人たちはどこかに避難を始めました。そして魔物がやってくるのは今日なのです!」

 宿屋から出るとだいぶ暗くなっていた。

 一行はふと異様な雰囲気を感じ、あたりを見回した。すると北西の空から大勢の魔物がやってくるのが見えた。

 やがて魔物たちは街の近くに降り立ち、その中から三つ又の槍を持った一つ目の魔物が近づいてきた。

「俺はリンガだ。おまえたち早く天空竜の兜をよこすのだ」

 四人が相談していると、リンガが気づいた。

「おまえたちは天使一行か。ちょうどいい。おまえたちも殺すように命令されているからな」

「命令しているのは誰だ!」

「これから死にゆくおまえたちには知る必要のないことだ」

 四人はまた何か相談した。

「ねえ、どうせ殺されるなら一つだけ教えて。何でセーラと天使の装備を狙うの?」

「よかろう。どうせ死ぬのだからな」

 リンガはあまり賢くない魔物のようであった。

「天の装備は我々魔族を唯一脅かすものだからだ。さらに我々の父たる存在はまだ魔力が戻っていない。魔力を復活させるためには天使どもの血が必要なのだ」

「でも魔力だったらあなたたちの方が持っていると思うんだけど」

 リンガはしばらく考えていたが答えは出なかった。

「オレがわからんことを聞くな!」

 そしていきなり槍を振り回して暴れだした。

 それに合わせて手下
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