大輔はずっとこっそり後をつけていた。つければつけるほど違和感が増していく。買い物のはずが、どうして空港に来てるんだ?!スマホを取り出し、弟の健太に電話をかける。視線は逸らさず、柚香を見つめたまま。「柚香さんが陽翔くんと安江さんを連れて空港に来てる。この件、社長に報告したほうがいいか?」健太「は?」健太「どこだって?!」大輔「空港」健太は一気に慌てた。「そんなの決まってるだろ、報告に決まってる!」「でも社長は、今日は柚香さんたちに危険がない限り報告はいらないって言ってたよ」大輔は正直に答える。「これって、柚香さんが出ていくの分かってて、わざと放置してるってことか?」健太は言葉に詰まる。たしかに社長は、監視を全部引き上げたと言っていた。だが、柚香さんが去るとなれば話は別だ。「とりあえず見張っててくれ。俺が社長に報告してくる」「了解」大輔は電話を切った。その頃、柚香は人の流れに乗って空港の中へ入り、搭乗手続きをしようとしたところでスマホが震えた。弘志からのメッセージだった。【ごめん。】柚香は一瞥すると、そのままスマホをしまう。心はまったく揺れなかった。安江と手をつなぎ、陽翔を連れて飛行機に乗り込む。飛行機は離陸した。張り詰めていた心が、少しだけほどける。……遥真は会社で会議中だった。健太は会議室の外をしばらくうろうろした末、ようやく恭介の注意を引き、スマホを見るよう合図する。恭介はスマホを取り出す。内容を確認した瞬間、目の色がわずかに変わった。数秒考えたあと、遥真のそばに身をかがめ、声を潜めて伝える。「社長、大輔から連絡です。柚香さんたちは空港に行っていて、5分前に蒼海市行きの飛行機で出発したそうです」遥真の黒い瞳に、ひやりとした光が宿る。だがそれは一瞬で消えた。「会議を続けろ」恭介はわずかに眉をひそめた。外では健太が指示を待ちながら落ち着かない様子で待ち続け、気づけば三十分が過ぎていた。会議が終わるやいなや、健太は真っ先に遥真のもとへ駆け寄り、そのまま社長室へ向かう一行に付き従いながら報告する。「社長、柚香さんたちが陽翔くんを連れて出ていきました。追いますか?」「誰が言った」遥真はそのまま執務室へ入る。「大輔です」健太は上司の考えが読めない。「本人が空
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