こうして考えているうちに、玲奈は急に立場をはっきりさせたくなった。「遥真」「なんだい?」遥真は彼女を見た。「あなた、柚香と離婚したら……私と結婚してくれるの?」そう聞いた瞬間、玲奈の鼓動は早まった。緊張ではなく、不安と、望まない答えを聞くのが怖いから。遥真の整った眉がふっと曇る。まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかった。「急にこんなこと聞いてごめん」彼が答える前に、玲奈が慌てて続けた。気まずい空気にしたくなくて。「ただ、事前に知っておきたかったの。心の準備というか」「最初から言ってるだろ」遥真の声は相変わらずまっすぐだ。「途中で何があっても、結果は変わらない」「そっか……」玲奈は無理に笑みを作る。遥真は「うん」とだけ返した。「それじゃ、他の誰かと結婚する可能性はある?」玲奈は恐る恐る聞いた。底の見えない視線が彼女に落ちる。彼女が何を考えているのかも、なぜこんな質問をするのかも分かっている。だが、それでも彼は彼女の望む答えを与えるつもりはない。玲奈はしばらく待ったが、答えは返ってこない。自分と結婚する気がないことだけは、もうよく分かった。「ただ……もし他の人を選ぶなら、その人が私の存在を受け入れられないと困るから」自分が惨めにならないよう、玲奈は慌てて合理的な理由をつけ足した。「そうなると、いろいろ面倒だし」遥真はようやく口を開く。「『奥さん』の席は、柚香だけだ」彼女が望もうが望むまいが。配偶者欄に書かれる名前は、ずっと彼女一人。「……なら、よかった」胸の奥が鋭く刺さるのに、玲奈は平気なふりをした。「もし前にした選択を後悔してるなら、やり直してもいい」遥真は彼女の表情の揺らぎに気づかないわけではない。けれど、最初からずっと言ってきたことだ。与えられないものは、与えられない。「君の選択は尊重する」「いいえ」玲奈はすぐさまかぶせた。「今のままでいい」遥真はそっと、彼女の肩に掛けたショールを整える。しばらく一緒に過ごしたあと、会社に用事があることを理由に去っていった。……柚香が病院に着いたのは、ほとんど昼前だった。まず病室に寄り、安江の様子を見て、たくさん話しかけた。そして、病状が心配で、医者のところへも話を聞きに行った。幸い、すべての数値は安定していた。昼食を終えたころ。高橋先生
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