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第90話

Author: 結奈々
遥真が、柚香の手にあるグラスにそっと手を伸ばした。

柚香は、思わずグラスを握った手をわずかに引っ込めた。「な、何ですか……」

「酒か、それとも新しく入れ替えたお水なのか、確認するだけだ」遥真がグラスを掴んだとき、温かい指先が、柚香の冷たい細い指に触れた。その瞬間、柚香はびくっとして手を離してしまう。

この一連のやりとりを、原栄ゲームの上層部たちは全員しっかり目撃していた。そして心の中では同じことを思っていた。

――この二人に何もないなんてありえない!

遥真の反対側に座っていた伸行は、柚香が遥真の、もうすぐ離婚が成立する妻なのではないかと考えていた。

遥真と柚香の話は業界内では知らぬ者はいない。だが実際に柚香を見たことがあり、さらに二人と同席したことのある人間はそう多くない。ましてや原栄ゲームのようにフォーチュン500企業にも入らない会社なら、なおさらだ。

それに遥真はメディア露出を一切許さない。柚香の写真が外に出回るなんてこと、起きるはずもない。前に遥真と玲奈がトレンド入りした件だって、遥真がしっかり処理させていた。知っている人は輪郭や体型から彼だと分かるが、知らない者に
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