結局、澪が作業室から出てくるまで丸一日かかった。千晃はまさか澪のスタジオで丸一日無駄にするとは思ってもみなかった。スマホをいじるのにも飽きてしまった。菖蒲と恵子は千晃のように退屈してはいなかった。極度に緊張していたのだ。澪がようやく作業室から姿を現し、二人の緊張はピークに達した。椅子に座っていたミランダは澪をちらりと見上げ、口角を上げた。「時間をかけてもったいぶったからといって、私の目に適うとは限らないわよ」ミランダが言い終わるや否や、澪は突然彼女の右手を取った。ミランダは眉をひそめた。だが、澪の次の行動を見て、その眉は完全に解けた。澪はミランダの指に指輪をはめたのだ。ミランダのその手には、すでに指輪がはめられていた。人差し指と薬指に一つずつ。人差し指には「セルペンティ」の指輪。ピンクゴールドにブラックエナメル、蛇の胴体にはダイヤモンドが敷き詰められている。薬指には「アルハンブラ」の四つ葉のクローバー。イエローゴールドにカーネリアン、そしてパヴェダイヤモンド。この二つの指輪は、ブランドもデザインも世界最高峰と言える代物だ。だが、ミランダの視線は真っ先に自分の中指に引き寄せられた。その場にいた全員の視線が、ミランダの中指に集中した。千晃は立ち上がり、金縁眼鏡を外して拭き、掛け直した。ミランダの右手中指には、蝶の指輪がはめられていた。蝶は羽ばたく姿で立体的に作られており、本物の蝶がミランダの指に静かにとまっているかのようだった。砕けたエメラルドの破片が、蝶の羽の自然な模様と光沢を見事に構成していた。合成宝石の輝きを増すため、極小の破片の裏には一枚一枚ミラーホイルが貼られている。ミランダは息を呑んだ。彼女が右手を揺らすと、中指の蝶は光を放ち、煌々と輝いた。隣にある二つの超高級リングにも全く引けを取らない。これはただの合成宝石だ。もし本物の天然エメラルドでこれを作ったらどうなるのか?ミランダは想像するだけで鳥肌が立った。「繭を破って生まれ変わる……」ミランダは小さくその言葉を口にした。傍らで、恵子と菖蒲は歓声を上げそうになっていた。澪のデザインと技術の凄まじさに、敬服したい気分だった。千晃は、澪が不正をしたに違いないと思った。だが、口には出さなかった。出さ
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