指輪だけじゃない。式場だって、本当はたくさん見て回りたかった。雑誌に載っている華やかな会場、緑に囲まれたガーデンウェディング、海の見えるチャペル。どれも素敵で、心躍って、夢が広がる。なのに――「俺の先輩が結婚式をあげたところ、紹介状で割引があるらしいんだよ」そんな理由で、式場見学へ。私は見学だけのつもりだった。他にも見て回りたい。式場巡りだって、立派なデートだと思ってた。ドレスの試着ができるところもあるし、コース料理のランチが楽しめるところもある。そういうのは、結婚するまでの特別な時間だ。一生に一度の、かけがえのない思い出になるはずだった。なのに、正広はその場で「ここにします」と決めてしまったのだ。もちろん、ここも十分素敵な式場だとは思った。でも、他にも見たいし、行きたかった。比較したかった。その時に、強く反発できなかった自分に腹が立つ。正広のよそ行きな言葉に絆されて、「まあ、いいか」って、流されてしまった。その結果、不満が募って、モヤモヤした気持ちを抱えたまま、今日に至っている。夢見ていたはずの結婚準備が、ただの作業になっている気がする。それくらい、つまらないものになってしまった。もっと、楽しいことだと思っていたのに。思い描いていた理想が、またひとつ崩れていく。 何も楽しくない。最悪だ。
Last Updated : 2025-12-21 Read more