「水鏡さま、あたし迎えにきたんだよ」 「秋華、わらわの心は夕月夜さまのモノ。それは貴方も……わかっている事でしょう?」 「いいえ、こんな所にいたら闇に染まってしまうわ!」 水鏡さまはその言葉を受けると、睫毛を伏せた。そうして哀しみの色を帯びた瞳で、あたしに視線を向けたの。 「秋華、もう帰った方がいいわ」 「そんな事言わないで……! あたし、水鏡さまが人じゃなくてもいいんだよ! またあのお屋敷で、一緒にごはん食べたり、丸くなってお昼寝したり。春は縁側で桜を愛でて、秋は虫の音色をゴロゴロしながら聞いていたいの!」 「秋華……」 「迎えにきたんだ。あたしね、諦めないから……っ!」 シュン──── あたしと水鏡さまの間を、刀が割って入った。 「させないわ。水鏡さまはもう、夕月夜さまの姫君」 あたしと千年さまに刃を向けたのは、夏妃さんだった。 「覚悟」 「ちくしょう……っ、どうしてだよおおおおおおおおおおおおお!!!!」 千年さまが悲痛な咆哮をあげる。 ごめん、今は戦うしか術がないよ! 夏妃さんの大きな剣が、舞う。 冷たく潤んだ表情で、夏妃さんは確実に、あたし達がいる方向に刃をブンブン振ってくる。ヤバイ! こんな速さじゃ、全力で避けるのが精一杯だよ! もしもあの大きな刃が刺さったら、体なんて真っ二つになるかもしれない……っ! 「オンアビラウンケン!」 安倍晴明さまが、2本の指を刀のように構える。 そそうして下から斜めに、一気に斬り上げた! ザシュ────── 花蓮が同時に飛ぶ! 夏妃さんの手首をパアンと叩くと、空中に真紅の残像を描いた。 カラン……カラン…… 夏妃さんは大きな剣を床に落とし、そのまま呆然と立ち尽くしている。そのままガクンと膝から崩れおちた。あれ、なんか様子が変じゃない……? 「思いだした……」 「え……?」 夏妃さんは、紫の花を背にゆっくりと立ち上がる。 背後に揺れる藤のしだれが、紫の海のさざなみのようだわ。彼女の指は、千年さまを真っ直ぐに指し示す。大きく見開かれた瞳、その唇から言葉がほろりと零れおちた。 「千年……あなた……なのね?」 「夏妃……?」 まさか記憶が戻ったの────── 今、こんな時に? 「あたし、どうして此処にいるの? あれ、死んだんじゃ……なかったっけ?」 「嘘だろ
Terakhir Diperbarui : 2025-12-24 Baca selengkapnya